16億人のイスラム市場を目指せ!
イスラム教徒の人口は2010年に約16億人に達し、宗教別の人口では世界最大となった。今後もイスラム教徒は増加し続け、2050年には世界人口の4人に1人がイスラム教徒になるという推計もある。さらに注目すべきは、その拡大する一方のイスラム教徒の実に6割がアジア地域に居住していることだ。意外に知られていないことだが、日本のビジネスパーソンにとって、イスラム市場は無視できない存在なのである。
イスラム市場へ参入する場合、切り札となるのがハラル認証だ。ハラルとはイスラム教の戒律のことであり、ハラル認証とはイスラムの戒律に沿って対応、生産されたものであることをイスラム政府当局が保証するという意味だ。イスラム教徒の消費者の心をつかむには、ハラル認証の取得が不可欠となっている。このハラル認証は、近年では、食品のみならす化粧品、医薬品、シャンプーや歯磨き粉等のトイレタリー製品、物流、ホテルや観光施設等のサービス業までも広がりつつある。
これまでの日本でのハラル認証の取り組みは、一部の大手企業の先行事例が中心であったが、最近のアジア新興国の購買力の向上や、震災、円高基調に伴って、ビジネス展開の一部に海外戦略、特にハラル認証の取得を検討する中小の企業が増加している。いまや日本企業のビジネス展開上、イスラム教徒消費者のニーズへの対応が不可欠となっている。
また、現在はハラル製品の輸出に関心を持っていない企業でも、取引先や納入先がハラル認証への取り組みを始めた場合、サプライヤーもハラル認証を取得していく必要性が出てくる。ビジネスを継続させるために、自らもハラル認証を取得せざるをえないというケースも増加すると考えられる。
ハラル認証を申請する際には、企業は最終製品のみならず、製造・加工の工程にかかわるフローも審査の対象となる。原材料がハラルであることはもちろん、製造過程で使用される香料や添加剤、製造の過程で製品に触れる機械の状態、製造過程や製造後の保管状況、保管場所等、広範囲に審査がなされる。
こうした認証取得のノウハウを、豊富な具体的事例を交え解説したのが、本書である。。