なぜ、むだに 長い会議が続くのか。
なぜ、いつも 議論が空回りするのか。
福沢諭吉(1835~1901)の最高傑作といわれる『文明論之概略』(1875年刊)には、議論の本意を定めること、物事の軽重をはっきりさせること、予断・偏見にとらわれないこと、争論のすすめなど、ものの見方・考え方に関する知恵にあふれています。
本書の著者で、経済政策論・金融論の第一人者である岩田規久男教授は、長年にわたって、経済評論を書く際の道標として、『文明論之概略』や『学問のすゝめ』を愛読してきました。本書では、著者自身が福澤の言葉から何を学んだのかを中心として、「ロジカル・シンキング」の教科書として『文明論之概略』や『学問のすゝめ』を読み直します。
第1章 議論の本位を定める 第2章 一層高尚な視点から軽重を判断する 第3章 我が心をもって他人の身を制すべからず 第4章 惑溺するなかれ 第5章 臆断するなかれ 第6章 欠点主義・限界主義の戒め 第7章 極端主義の戒め 第8章 多事争論は自由の気風を生む 第9章 スピーチのすすめ
岩田規久男
いわた・きくお
1942年生まれ.66年東京大学経済学部卒業.73年同大学院経済学研究科博士課程修了.上智大学経済学部教授等を経て,現在,学習院大学経済学部教授.
主な著書:
『土地と住宅の経済学』日本経済新聞社,1977年(エコノミスト賞受賞).
『金融政策の経済学』日本経済新聞社,1993年.
『経済学を学ぶ』ちくま新書,1994年.
『金融入門』岩波新書,1999年.
『デフレの経済学』東洋経済新報社,2001年.
『昭和恐慌の研究』(編著)東洋経済新報社,2004年(日経・経済図書文化賞受賞).
『日本経済を学ぶ』ちくま新書,2005年.
『日本経済にいま何が起きているのか』東洋経済新報社,2005年.
『ゼミナール 経済政策入門』(共著)日本経済新聞社,2006年.
『テキストブック 金融入門』東洋経済新報社,2008年.
『「不安」を「希望」に変える経済学』PHP研究所,2010年.
『経済学的思考のすすめ』筑摩選書,2011年.
『デフレと超円高』講談社現代新書,2011年.