「高い技術力」「優れた製品」だけでは、生き残れない!
「下請け業者」から脱却し、グローバル競争を勝ち抜くための処方箋はここにある。
日本の競争力の源泉は、素材や部品などのBtoB企業によるところが大きく、日本の成長はこうしたBtoB産業や企業に依存している。日本企業の部品や素材にかかわる技術力は、世界で高い評価を受けており、高いシェアを有している企業も数多く存在している。しかし、それに見合った利益率を確保できているとはいえない。技術力があっても、それを十分な利益に結びつけることには失敗しているのだ。
BtoB企業の産業財(ビジネス財・生産財)のマーケティング(つまり、法人営業)は、日本がこれから生き残っていくためにもニーズの高い領域である。とりわけ、近年の市場のグローバル化の中で、部品や素材メーカーは欧米企業と中国をはじめとする新興国企業との狭間に立たされて、苦戦する企業も少なくない。
本書では、そうした企業に対して、今後の成長シナリオを策定する際の道標をマーケティングの視点で提供することをねらいとする。
序 章 BtoB企業の現代的課題 第I部 BtoB企業の課題とマーケティング 第1章 BtoBマーケティングの戦略論理と実践 第2章 BtoBビジネスにおける市場の理解 第II部 顧客接点強化によるBtoB企業の成長シナリオ 第3章 ブランディングによる市場深耕 第4章 成分ブランドによる 部品・素材メーカーの戦略強化 第5章 営業人材による顧客関係の強化 第III部 BtoB企業の新たな利益創出エンジン 第6章 BtoB企業における顧客満足経営 第7章 インターネットによる BtoBマーケティングの戦略進化 第8章 BtoB企業における マーケティング組織と市場志向
余田拓郎
よだ・たくろう
慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授。
1960年広島県生まれ。東京大学工学部電気工学科卒業、住友電気工業入社。慶應義塾大学大学院経営管理研究科博士課程修了。名古屋市立大学助教授などを経て、2007年より現職。博士(経営学)。
主な著作に『カスタマー・リレーションの戦略論理』、『マーケティング科学の方法論』(共編著)(ともに白桃書房),『ゼミナール・マーケティング入門』(共著)、『B2Bブランディング』(共編)(ともに日本経済新聞社などがある。