すべての思考は「
新しいアイデアは「借りてきて組み合わせる」ことで生まれる。では、どうやって既存のアイデアを「借りてくる」のか? そこで用いられるのが、アナロジー思考である。
アナロジー(類推、類比)とは、このときの「借りる力」である。たとえば、他業界のヒット商品の「コンセプト」を借りてくることで新たなヒット商品を生み出せることがある。他人が気づかないような遠くから借りてくるのに必要なのが抽象化思考力であり、これがアナロジー思考の肝となる。
また、アナロジー思考のプロセスにおいては課題設定力や仮説思考力も駆使することになる。地頭力のひとつともいえるアナロジー思考力はどのようにトレーニングすれば鍛えることができるのか? ベストセラー『地頭力を鍛える』の著者が示す「考える」ことの原点。
第1章アナロジーとは何か、なぜ重要なのか 「アナロジーとは「比例関係」のこと ビジネス場面でのアナロジーの「3つの目的」 アナロジーとは借りる力 ケーススタディ:「かばん」と「予算管理」のアナロジー 第2章アナロジーのメカニズムを解明する 「アブダクション」としてのアナロジー アナロジーの4つのステップ どこから「借りてくる」のか アイデア発想では進んだ世界から借りてくる 第3章アナロジーの基本は「構造的類似点」を探すこと 「似ている」とはどういうことか 構造的類似とは? 関係/構造の基本パターン 第4章アナロジーに必要な抽象化思考力 一般化・モデル化によって共通点を見つける 抽象化するほど「遠くから」借りられる 抽象化思考が得意な人の思考パターン 抽象と具象は車の両輪 第5章 科学やビジネスに応用されるアナロジー アナロジーが最も貢献しているのは科学 共通点を探すのに必要な「事業特性」 歴史の「構造」から未来を予測する 「個人」と「組織」のアナロジー 「お金」と「時間」のアイデアを交換する 第6章 アナロジー思考力を鍛えるために 「つなげる力」としてのアナロジー 常にすべての事象を自分の関心事に持ち込む 抽象化思考力のトレーニング方法 アナロジーの「使用上の注意」
細谷功
ほそや・いさお
クニエ マネージングディレクター
1964年神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティング→クニエの前身)に入社。製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業、生産等の領域の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定量化、プロジェクト管理、ERP等のシステム導入およびM&A後の企業統合等を手がけている。
著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』(東洋経済新報社)、『いま、すぐはじめる地頭力』(大和書房)、『「Why型思考」が仕事を変える』(PHPビジネス新書)などがある。