「幸せを連れてくる鍋」
「心の充足をもたらす消火器」
「木味を愉しめる床材」
「5キロ5000円の幻のみかん」
「ひと軸」ビジネスの3つのアプローチで、「この商品をあなたから買いたい」という動機が生まれる。
「ひと軸」ビジネスの3つのアプローチに連なるフレームワークと実践手法を詳説。
「価値要素採掘マップ」で、新商品は期待通りに売れ、既存商品はよみがえる。
「顧客の旅デザインマップ」で、顧客の購買行動をデザインできる。
「"絆"モデル&"顧客の旅"シミュレーション」で、未来の収益を予測できる。
本書で語られているビジネス現場での実践事例のほとんどは、著者がさまざまな企業と共に「計画して起こしてきた・起こしている出来事」である。
事象を計画的に引き起こすには、それがなぜ起こるのか、どのようなことをすれば起こるのかを理解し、実際に起こせるように実践を積み、知恵を獲得しなければならない。
そして今重要なことは、正確な理解の上に立ち、「いつも起こせる」ようになることだ。
第1章新しい消費と見えざるシステム 幸せを連れてくる鍋 「胃袋」ではなく「頭」で食べる時代 ネオポストモダン消費 「所有権の移転」から「体験の取引」へ 応えるべきたったひとつの欲求 商品価値の新しい公式 心を豊かにする床 「新しい消費社会」の読み解き方 社会をシステムとしてとらえる 大事故や無駄遣いがなくならないワケ 手強そうだが無視できないもの 見えざるものの大切さ 第2章なぜ、価値創造がいつまでも「実現」できないのか 第1のアプローチ 企業に見えていないもの 「ラー油がきた」のではなく なぜ、わざわざ値引きするのか こうして価値は失われてゆく 価値を認識する脳の働き 「価値」はお客さんの頭の中にしかない その「情報」は伝わっていない 情報のデザインによる影響力の変化 感性情報―購買行動モデル 「たまたま」でも「思いつく」のでもなく 概念化・言語化とはどういうことか 自転車の乗り方を言語化できるか 商品がしゃべれるならば 第3章今ある商品をよみがえらせる方法 売れる商品と売れる要素 価値要素を「掘り起こす」 価値要素採掘マップの「四つの質問」 第1の質問:「究極の質問」 人の行動に不可欠なもの 質問を変えてはいけないワケ 素朴に理由を尋ね合う 第2の質問:「認識的価値」と「情緒的価値」 第3の質問:「問題解決」と「心の充足体験」 商品がもたらす心の充足 第4の質問:物語要素(バックストーリー)を掘り起こす 創業者の苦労が心を動かす 本社にあるオリーブの木が客の心を打つ 価値要素採掘マップの効果的な使い方 実際にマップを使うときには 消火器がもたらす心の充足とは 価値要素をメッセージに落とし込む 留意点1:具体的な言葉にする 留意点2:長くするか、短くするか 留意点3:理性と情緒のバランス あの商品はいかにメッセージを届けたか パターンを見出し、モデル化する 「眠れる市場」は「失われた売上」 第4章お客さんの"充実の旅"を計画する 第2のアプローチ お客さんに行動してもらうための手立て 行動を分解する カギとなる行動の発見 購買行動を導く「感性消費行動デザイン」 顧客の旅デザインマップ お客さんが旅する五つの地 見込み客の地から新規客の地へ なぜ顧客は奥地へと旅するのか 奥地への旅と冒険の度合い 休眠の地・流出の地 デザインマップの三つの有意義な使い方 ひとつの施策を次につなげるツール 高められるマーケティングシステム 第5章顧客を「絆顧客」と「応援者」にする 顧客の分類と「絆」 「絆顧客」と「応援者」 「応援者」は誰か 「応援者」は「上得意客」か 絆とコミットメント 満足は絆を生まない 絆を生む四つの要素 顧客への適切な自己開示 顧客に情緒的な体験を与える ポジティブ・フィードバックという魂のごちそう 着ぐるみが踊るスーパー 絆がなぜ利益を生み出すのか 育まれる強固な二重の絆 第6章こうして未来の収益と失う危機を予測する 第3のアプローチ 未来を予測し、財務的判断を支援する われわれの社会の複雑性 社会システムを上手に扱う技法 「絆」と「収益」をモデル化する 未来を予測する 三つのアプローチは相互に作用する 「ひと」という軸 第7章 「ひと」を軸にしたビジネスと社会の「実現」へ向けて 幻のみかんの応援団 価値創造の本質とは 産業文化の絶滅危惧種 「いいモノづくり」と手をたずさえて 匠の継承 共創のコラボレーション 価値創造という国際競争力 社会から応援されるビジネス
小阪裕司
こさか・ゆうじ
博士(情報学)。オラクルひと・しくみ研究所代表。
九州大学客員教授、静岡大学客員教授、中部大学客員教授、日本感性工学会理事。
山口大学人文学部卒業(専攻は美学)。1992年オラクルひと・しくみ研究所を設立。人の「感性」と「行動」を軸にした独自のビジネスマネジメント理論を研究・開発し、2000年からは、その実践企業の会である「ワクワク系マーケティング実践会」を主宰。現在、全都道府県から約1500社が集う。2011年、工学院大学大学院博士後期課程修了。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は、多方面から高い評価を得ている。
『日経MJ』(日本経済新聞社)での長寿人気コラム「招客招福の法則」をはじめ、連載・執筆多数。産官学にまたがり、年間80回以上の講義・講演を行う。
『「買いたい!」のスイッチを押す方法』(角川書店)、『「感性」のマーケティング』(PHP研究所)、『そうそうこれが欲しかった! 感性価値を創るマーケティング』(東洋経済新報社)など著書多数。