凋落 木村剛と大島健伸

高橋 篤史著
2011年2月25日 発売
定価 1,980円(税込)
ISBN:9784492654408 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:296


「振興銀・SFCG事件」は何を物語るのか



破綻した日本振興銀行の木村剛と、SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸の人生を辿り、「振興銀・SFCG事件」が意味するものをえぐりだすノンフィクション。金融史上かつてない特異な事件の全容を描く。



日本振興銀行は木村の超個人主義的な独自の思考によって破綻し、わずか6年ちょっとというその浅い業歴に比べればあまりに巨額の損失をあとに残した。日本振興銀行の経営破綻から3カ月後、無惨な廃墟の後片付けに入った預金保険機構が取りまとめた数字によれば、同行の債務超過は6700億円という途方もない金額であった。



大島が一代で築き上げたSFCG(旧商工ファンド)が経営破綻したのは2009年2月のことである。当時の公表額だけでも負債は3380億円に上った。SFCGの資金繰りが綱渡りの状態に陥っていた最中、大島は自らの報酬を月額2000万円から9700万円へと大幅に引き上げている。混乱するばかりだった現場で呻吟する従業員を尻目に、倒産間際の会社からひと月に1億円近い報酬を受け取ることができる神経は並大抵の図太さではない。



2010年に逮捕・起訴されたこの二人の成功と転落を通じて、日本の戦後経済社会史を透視する。東大卒・日銀出身でバブル崩壊後の不良債権処理に強い影響力を持っていた金融エリートの木村と、在日・帰化人で商工ローンという金融の辺境から世界的な富豪にのし上がった大島という二人の人間の異なった人生が一瞬だが交錯し、ともに奈落の底に落ちていく様を描写する。

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概要

SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸と日本振興銀行の木村剛。彼らはどのように一時の成功者となり、転落していったのか。2人の人生をたどりながら、他人を犠牲にした個人主義の蔓延に警鐘を鳴らす。

目次


第1章 上野アメ横の戦後
第2章 不良債権の焦土
第3章 松濤物語
第4章 新銀行の乱気流
第5章 転落の予兆
第6章 暴走
第7章 一瞬の邂逅
第8章 狂気と執着と
第9章 ペイオフ発動

 

著者プロフィール

高橋 篤史
たかはし・あつし

1968年愛知県生まれ。93年早稲田大学教育学部卒業。日刊工業新聞社を経て98年から東洋経済新報社記者。2009年に同社を退社。現在はフリーランスのジャーナリスト。

著書に『ドキュメント ゼネコン自壊』(2002年)、『粉飾の論理』(2006年)、『兜町コンフィデンシャル』(2009年、いずれも東洋経済新報社)。