産業支援策・地域経済対策としての
中小企業金融支援はどうあるべきか?
景気の悪化による影響を非常に強く受ける中小企業金融は、1990年代の貸し渋りに代表されるように、市場メカニズムに任せているだけでは中小企業が生き残れなくなる可能性がある。
また、地域金融機関の不良債権処理の大きな負担、長期不況による地域経済格差の拡大、従来と大きく異なる金融監督行政(リレバン、アクションプログラム、金融再生、金融円滑化法、バーゼル2))、情報通信技術の急激な進展などに直面して、地域金融機関の預貸率の低下、信金・信組の急激な再編、地域金利格差の縮小など地域金融の姿は大きく変わろうとしている。
しかし、産業支援策、地域経済対策としての中小企業金融については、従前の制度に対する分析が不十分であったこともあり、必ずしもどのような制度が効果的な対策となるのかがはっきりしていない。
本書では、理論と実証の両面から中小企業金融の実態に迫り、望まれる政策について分析する。
第1章 変化する中小企業と金融支援
第2章 中小企業の負債満期構成
第3章 ディスカレッジド・ボロワーズと貸金業市場
第4章 1990年代における地域金融機関貸出行動
第5章 不況期における地域の中小企業向け貸出
第6章 貸出市場における効率性と信用保証
第7章 供給サイドを考慮した信用保証の分析
第8章 都道府県による制度融資の実証分析
終 章 中小企業金融支援政策の課題
「第37回中小企業研究奨励賞」(平成24年)を受賞
今 喜典
こん・よしのり
1949年青森県に生まれる.1971年小樽商科大学商学部卒業.1973年大阪大学大学院経済学研究科修士課程修了.1974年同博士課程中退,同年大阪大学助手.その後,京都産業大学経済学部専任講師,小樽商科大学商学部助教授,同教授を経て,1993年青森公立大学(開学)経営経済学部教授,現在に至る.この間,同経営経済学部長,同大学院経営経済学研究科長.経済学博士(大阪大学).