セントラル・バンキングの歴史・理論・政策
中央銀行論(銀行論)の専門書・テキスト。中央銀行に関しては、銀行論のなかでは部分的に扱われるが、まとまった形で歴史や制度とその変遷をまとめた類書はなく、研究者にとっても有用で便利な一冊となっている。
1668年のスウェーデン国立銀行、1694年のイングランド銀行にはじまるとされる中央銀行であるが、当初はそれらも商業銀行にすぎず、長い時間のなかで徐々に中央銀行へと発展していったものであるにすぎない。また中央銀行の設立目的は歴史的には、第一に通貨価値の安定、第二に金融システムの安定、第三に政府への財政支援(戦費調達、国債の目的)であるが、第三は平時には副次的なものとされ、従来は平時には前二者が重視されてきた。
それが今日では、日本においてはバブル崩壊以降の失われた20年、世界的にはリーマンショック以降の世界金融危機、ユーロ危機のなかで、中央銀行が果たしてきた役割の見直しが行われ、従来は副次的であった第三の「政府への財政支援」が重視されるようになっている。
本書では、このような状況を踏まえて、歴史的にも、制度的にも、政策的にも見直しがなされている中央銀行について、その創立当初の17世紀に遡りその歴史や、商業銀行が中央銀行へと変貌する過程なども検証、政策手段の変遷と発達の歴史など分析することを通して、中央銀行の経済的役割について分析するものである。