日本はデンマークに学べ!
高福祉・高負担のスウエーデンとデンマーク、低福祉・低負担のアメリカ、中福祉・中負担のドイツとイギリス。それでは日本の福祉はどのような姿であるべきか?
福祉や社会保障制度の改革が問われ、かつ議論されてきて久しいが、社会保障を福祉の思想史、経済学の思想史から系統的に論じた本はあまりない。
本書では、先進国において人々が福祉をどう理解し、国民がどう対処してきたかを福祉思想という観点から総合的に評価する。この評価にあたっては、福祉を社会学、経済学、哲学・思想、政治学がどのように考えて、どのような政策を提言し、かつ実行してきたかに注目して分析を行うものである。これらの歴史は国によって大きく異なり、日本にとって学べることと学べないことがある。
福祉を担うのは誰か? 財源は税か、社会保険料か? 日本における望ましい制度改革のあり方を、安心と経済効率性を同時に考慮しながら提言する。
第1章 福祉の先進国 イギリス 第2章 政治主導で福祉を達成 ドイツ 第3章 恵まれた福祉大国 スウェーデンとデンマーク 第4章 自立を重んじる非福祉国家 アメリカ 第5章 家族と企業に頼ってきた非福祉国家 日本 第6章 社会保障制度をどう改革するか
橘木俊詔
たちばなき としあき
同志社大学経済学部教授.
1943年生まれ.ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.).
仏英独米で教育職・研究職,京都大学教授を経て現職.元日本経済学会会長,日本学術会議会員.
著書に,『格差社会』,『日本のお金持ち研究』(共著),『個人貯蓄とライフサイクル』(日経・経済図書文化賞受賞),『日本の経済格差』(エコノミスト賞受賞),『家計からみる日本経済』(石橋湛山賞受賞)など.