ネットテレビの衝撃

志村 一隆著
2010年10月22日 発売
定価 1,650円(税込)
ISBN:9784492761939 / サイズ:サイズ:四六判/ページ数:224

地デジは第一歩。
お茶の間の主役が「パソコンみたいなテレビ」に交代




「地デジははじめの一歩」にすぎない。地上波デジタル放送(以下、地デジ)が2011年7月24日に移行する。この日を境にいままでのテレビでは番組が見られなくなる。この事実ばかりが、日本では注目されているが、本当に衝撃的なのは、テレビがネットにつながったインターネット対応テレビ、通称ネットテレビが登場することだ。実際、2009年6月に地デジ移行した、アメリカでは大きな変化が起きている。本書は、アメリカのテレビ事情をみながら、日本のテレビの将来を見通す。



 アメリカでは、地デジを契機に多くのテレビがネットにつながった。2010年10月にはソニーがグルーグルのOS、アンドロイドを搭載した「ソニー・インターネットTV」を発売し、この流れは一気に加速しそうだ。



 ネットテレビが普及した結果、起こったことはテレビ局によるネット経由の無料番組配信を利用し、視聴者は「見たいとき」「見たい番組」を「検索して」見る(オンデマンド視聴)ようになった。つまり、通信の映像を見るようになり、放送の映像を見なくなってしまった。



 放送を見るのはせいぜいスポーツの生中継という状況になってしまったのだ。こうなると、視聴率の意味が薄れてしまう。視聴率、そして「いつ放送するか」「どんな人たちがその番組を好んでいるか」をもとに広告を出していた企業たちはテレビCMをださなくなってしまった。広告収入の減少により、大手テレビ局は大きな打撃をこうむっている。



 さらに、ネット検索機能がついたため、YouTube(一般人による映像投稿サイト)、ユーストリーム(一般人がライブ中継を行なうサイト)などもテレビで見るようになった。テレビ局のつくった映像は、一般人のつくった映像(GCM、Consumer Generated Mediaの略)と競争する状況ができあがってしまったというわけだ。選択肢が増えたため、ケーブルテレビの解約が相次いでいる。



 さらに、テレビ広告市場はもう以前の規模に戻ることはない。オンデマンド放送、リアルタイムメディア(ツイッターなど)に対応した安価なネット広告配信技術に取って代わられつつある。



 本書は、アメリカで起こっている出来事をもとに、テレビの将来をハードとソフトのどちらか一方に片寄らず解説していく。さらにはテレビにまつわるビジネスに新規参入してくる勢力(グーグル、ヤフー、新興テレビメーカー)についても最新の情報を提供する。

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概要

お茶の間の主役「テレビ」にパソコンの検索機能、コミュニケーション機能がつくと何が起こるのか。その近未来を見通した1冊。テレビ業界、IT業界に精通する、人気ブロガーが解説。

目次


第1章 テレビジネスの大変革が進行している
第2章 品質でなく、使い勝手が問われるネットテレビ
第3章 アマチュアに撃破される
      プロフェッショナルコンテンツ
第4章 プラットフォームの統合が進む
第5章 モバイル・ブロードバンドへ
      舵を切ったアメリカ
第6章 テレビは「いまのテレビ」とは別物になる

著者プロフィール

志村一隆
しむら かずたか

情報通信総合研究所主任研究員。
1991年早稲田大学卒業、WOWOW入社。2001年ケータイWOWOW設立、代表取締役就任。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学でMBA、2005年高知工科大学で博士号を取得。文系・理系に通じ、さらには国内外のメディア事情、コンテンツ産業に精通している。

著書に『明日のテレビ チャンネルが消える日』(朝日新書)がある。

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