日本独自の経営体はいかにして成立したのか!?
総合商社は、1990年代以降に大きな変貌をとげ、多様な商品・サービスを扱う従来の事業に加えて、大きなバリューチェーンの中で商品の製造や輸送まで複合的に行うようになっている。
加えて資源やインフラなどのプロジェクトの事業化とともに、それらの保守・運営に携わっている。こうした総合商社の近年の動き、姿だけでなく、その成り立ちから今日までの歩みを整理するとともに、原点に立ち返って、総合商社の本質と果たしてきた役割を日本経済のなかでとらえなおした総合商社原論。
長い「冬の時代」を脱却し、いまや絶好調と言える日本の総合商社の背景を知りたいビジネスマンや経営者、商社への就職を希望する学生などにも最適な一冊です。
序 章 なぜ総合商社研究か 第1章 総合商社の概念、定義、類型――研究の出発点 第2章 戦前の「総合商社」形成と成立の条件 第3章 戦後の総合商社体制の成立とその条件 第4章 総合商社は日本独自の業態なのか――海外の類似業態との比較 第5章 総合商社体制成立後の展開 第6章 構造変化のとらえ方と総合商社の現在 終 章 総合商社はどこへ行くのか
田中隆之
たなか たかゆき
1957年長野県生まれ。東京大学経済学部卒業。日本長期信用銀行産業調査部、同調査部ニューヨーク市駐在、長銀総合研究所主任研究員、長銀証券投資戦略室長チーフエコノミスト、専修大学専任講師などを経て、現在、専修大学経済学部教授。博士(経済学)。
専攻:日本経済論、財政金融政策。
著書に、『現代日本経済 バブルとポスト・バブルの軌跡』(日本評論社、2002年)、『「失われた十五年」と金融政策』(日本経済出版社、2008年)、『金融危機にどう立ち向かうか』(ちくま新書、2009年)などがある。