雇用と失業対策の再考:1929~31年の諸活動
「訳者あとがき」より
本書はRethinking Employmentand Unemployment Policies:Activities1929-1931(The Collected Writingsof John Maynard Keynes,VolumeXX, edited by Donald Moggridge,1981)の全訳である。邦訳の表題はケインズ全集第二〇巻『雇用と失業対策の再考--一九二九~三一年の諸活動』である。
本巻の対象期間は、ニューヨーク証券取引所で株式が大暴落した一九二九年一〇月から、イギリスが金本位制から再び離脱した一九三一年九月までの二年間である。この期間におけるケインズの活動のうち、マクミラン委員会への出席、新聞・雑誌への寄稿、講演などの活動が本巻に収録されている。本巻の対象期間内である一九三〇年一〇月三一日に出版された『貨幣論』は、ケインズ全集第五巻と第六巻に収められている。
本巻は以下の七章から構成されている。
第一章 「私は再び人気者になった」 一~三八頁 (一九二九年一〇月~一九三〇年二月)
第二章 マクミラン委員会 三八~三一二頁 (一九二九年一一月~一九三一年五月)
第三章 不況に対する最初の反応 三一二~四〇一頁 (一九三〇年二月~一九三〇年一〇月)
第四章 エコノミスト委員会 四〇二~四六七頁 (一九三〇年七月~一九三〇年一〇月)
第五章 失業と保護貿易策 四六七~五二八頁 (一九三〇年一〇月~一九三一年五月)
第六章 アメリカ訪問 五二九~五八九頁 (一九三一年五月~一九三一年七月)
第七章 一九三一年の金融危機 五八九~六二三頁 (一九三一年七月~九月)
第一章から第五章は、イギリス経済の不況と失業問題に対するケインズの取り組みを収録している。この取り組みにおけるケインズの分析と対策は、第二章「マクミラン委員会」で体系的に述べられている。