原発 最後の選択

週刊東洋経済eビジネス新書no.219

週刊東洋経済編集部編
2018年5月30日 発売
定価 770円(税込)
ISBN:9784492920206 / サイズ:e新書/並/248

原発が抱える問題の本質は変わっていない──。

2011年3月から6年以上の時間が経過した。福島第1原発事故をめぐる処理費用の負担スキームが決定するなど、時間経過とともに新たな事実もある。
しかし、原発が抱える問題の本質は変わっていない。リスクの正確な把握や公表、そして公開の場での自由な議論がないままで原発の再稼働は危うい。
ましてや「世界最高水準の安全性」という新たな「安全神話」すら作られ始めている。そうしたことへの危機意識から本テーマを計画した。
そのため、本書では福島第1原発の廃炉・賠償問題だけではなく、核燃料サイクル、プルトニウム管理、高速増殖炉「もんじゅ」、原子力発電所等核施設の安全・テロ対策など幅広く取り上げた。原子力と核をめぐる諸問題を考える一助になる1冊。

本書は『週刊東洋経済』2016年10月22日号より8回にわたり連載した記事、約60ページ分を大幅な加筆のうえ電子化したものです。

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概要

福島原発の廃炉・賠償問題だけではなく、核燃料再処理、核燃料サイクル、プルトニウム、高速増殖炉、原発施設等の安全対策など原子力と核をめぐる問題を幅広くピックアップ。原発と核を考える一助となる1冊。

目次

この国に巨大技術を扱う能力はあるのか
国民に8兆円の請求書 膨れ上がる廃炉費用
経産省が練る新電力懐柔策
〔INTERVIEW〕廃炉・賠償費用の負担はどうすべきか?
 慶応義塾大学大学院特任教授・遠藤典子
 立命館大学教授・大島堅一
行き詰まる東電支援
〔COLUMN〕柏崎刈羽は完全売却 東電は送配電会社として生き残る
電力自由化の裏で原発支援 経産省が描く“抱き合わせシナリオ”
〔INTERVIEW〕廃炉・賠償費用の負担、電力自由化はどうあるべきか
 nacs 代表理事・大石美奈子
 都留文科大学 教授・高橋 洋
福島第一原発 困難極める廃炉・汚染水対策
汚染水問題 地下水の流入阻止に手間取る
〔INTERVIEW〕汚染水対策に全力 廃炉はまだ登山口
 東京電力 廃炉・汚染水対策最高責任者・増田尚宏
もんじゅ廃炉へ 未完の原子炉の終焉
〔INTERVIEW〕もんじゅの廃炉は高速増殖炉開発に大きな痛手
 福井大学特任教授・竹田敏一
“もんじゅ廃炉”の高いハードル
〔INTERVIEW〕高速炉、核燃料サイクルの開発は続けるべきか?
 法政大学大学院 客員教授・宮野 廣
 長崎大学教授・鈴木達治郎
混迷する核燃料サイクル 再処理工場稼働の必要は?
〔INTERVIEW〕再処理をやめ、乾式貯蔵・直接処分を
 米プリンストン大学 名誉教授・フランク・フォンヒッペル
東海再処理施設の難題 手仕舞いまでに70年
大量のプルトニウムに米国が懸念
〔INTERVIEW〕プルトニウム増産競争をあおる六ヶ所再処理工場の稼働を一時凍結せよ
 米ジョージタウン大学教授、元米国国務次官補・ロバート・ガルーチ
〔INTERVIEW〕日本が核軍縮に対する抵抗勢力? 核の先制不使用に支持を
 米メリーランド大学教授、元ホワイトハウス科学技術政策局次長・スティーブ・フェター
原発の安全対策は大丈夫か? テロ、火災、航空機衝突
“福島”の教訓と今後の課題
地震と原発災害
地震動過小評価は防げるか
故郷喪失、賠償打ち切り さまよう被災者
福島の商工業者調査で賠償未請求の多さが浮き彫りに
相次ぐ乳牛の病死に困惑する福島の畜産農家

著者プロフィール

週刊東洋経済編集部  【編】
しゅうかんとうようけいざいへんしゅうぶ