マイナス金利下における金融・不動産市場の読み方

一般財団法人 土地総合研究所編
2017年3月29日 発売
定価 4,180円(税込)
ISBN:9784492961285 / サイズ:サイズ:A5判/ページ数:256

斯界の研究者、エコノミストが様々な知見をもとに市場への影響を読み解く



 2016年1月29日に、日本銀行が「マイナス金利付量的・質的金融緩和政策」の導入を決定し、従来の「量」、「質」に「金利」を加えた三次元の金融緩和手段がとられた。

さらに同年9月21日には、金融緩和の効果をいっそう強化するため、日本銀行は「長短金利操作付量的・質的金融緩和政策」と称した新たな枠組みの金融政策を実施に移した。



 超金利緩和政策の 継続・推進は、不動産向け融資のさらなる増大を通じて既成市街地での都市再生や良質な住宅ストックの形成に寄与するとの評価がある一方、資産価格の行きすぎた上昇をもたらし、資産価格の下落の引き金になることはないのかという意見や不動産向けの融資拡大が他産業の設備投資・ベンチャー融資を阻害し、産業の新陳代謝の足を引っぱることにはならないかという懸念もある。



 本書は、金融・不動産市場を巡る諸問題について、斯界の研究者、エコノミストが様々な知見をもとに市場への影響を読み解くものである。

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概要

長期化する超金融緩和は、不動産市場にどのような影響を与えるのか。元日銀副総裁はじめ研究者、アナリストが読み解く。

目次

第1部 特別論文
世界経済三つの地殻変動と金融・財政政策の「政策飽和」
  東京大学大学院経済学研究科 教授 西村 淸彦

第2部 金融政策・不動産市場の理論と現実
・日本不動産投資市場概観
  ジョーンズ ラング ラサール(JLL)リサーチ事業部長 赤城 威志
・世界的な金融緩和と住宅価格の状況について
  内閣府参事官 茨木 秀行
・金融緩和政策と住宅価格の関係―金融危機後の日本と諸外国の比較―
  麗澤大学経済学部 准教授 大越 利之
・2013年以降の日本経済と不動産市場
  同志社大学経済学部 教授 北坂 真一
・日銀の超金融緩和政策を巡る最新事情と課題
  経済アナリスト 小松 英二
・マイナス金利政策をどう考えるか:7つの論点
  上智大学経済学部 教授 竹田 陽介
・金融緩和が不動産市場に及ぼす影響
  宮城大学事業構想学部 教授 田邉 信之
・日米独の不動産価格と投資の比較
  南カリフォルニア大学 教授 濵尾 泰
・金融緩和と経済活動・不動産取引
  関西外国語大学 教授 堀江 康熙
・長期化する金融緩和と熱狂なき不動産市場
  日本不動産研究所 不動産エコノミスト 吉野 薫

第3部 不動産市場の計量分析
・中古マンションの不動産価格指数の推計におけるリピートセールス法導入の可能性
  政策研究大学院大学 教授 沓澤 隆司
・J-REITのインプライド・キャップレートを使った金利感応度分析
  ニッセイ基礎研究所 研究員 佐久間 誠/ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋 康次
・家計の流動性制約と転居行動の実証分析
  武蔵野大学経済学部  教授・慶應義塾大学 名誉教授 瀬古 美喜/東洋大学経済学部 准教授 隅田 和人/慶應義塾大学経済学部 准教授 直井 道生
・民間住宅投資の変動要因に関する一考察―人口要因と金利要因―
  土地総合研究所 研究顧問 妹尾 芳彦

著者プロフィール

一般財団法人 土地総合研究所
いっぱんざいだんほうじん とちそうごうけんきゅうじょ

平成4年3月に、日本経済が地価の急激な変動を経験する中で、総合的な土地対策及び不動産業の健全な発展のための基本的な調査及び研究を行うことを目的として、当時の建設大臣、国土庁長官の許可する財団法人として設立された。初代理事長は石原舜介東京工業大学名誉教授(当時)。現在の理事長には平成28年6月に澤井英一(国土交通省都市・地域整備局長、同総合政策局長、内閣官房都市再生本部事務局長、(株)三井不動産専務執行役員、同顧問を経て現職)が就任。平成24年4月に一般財団法人に移行。平成27年2月に日本FP協会からFP継続教育研修機関に認定された。現在、都市計画法制、土地の所有と管理、不動産流通に関する3つの研究会等を設け、産学官による研究を行うとともに、月刊「メールマガジン」、月刊「今月の不動産経済」の配信及び季刊「土地総合研究」の刊行、FP継続教育研修の実施のほか、その時々のトピックスを中心に有識者による「定期講演会」を年5、6回程度開催。
 

訂正情報

本書籍におきまして、誤りがありました。
お詫びの上、以下のように訂正させていただきます。

*8ページ1行目
 
:日本国際の金利上昇にも上昇圧力がかかり
正:日本国債の金利上昇にも上昇圧力がかかり