経済学で考える 人口減少時代の住宅土地問題

山崎 福寿著/中川 雅之著/一般財団法人 土地総合研究所編
2020年8月28日 発売 在庫なし
定価 3,630円(税込)
ISBN:9784492961827 / サイズ:A5/並/308

 日本では「少子高齢化」「人口減少」「都市部への人口集中」といった問題が長らく社会的な課題とされている。また、大規模な自然災害やパンデミックの経験を通じて、将来への備えも求められている。
 こうした課題は、私たちが住む住宅や街のあり方とも不可分に結びついている。本書は、人口減少時代における住宅や土地について、読者に卑近な問題を取り上げつつ、経済学や行動経済学の知見を用いて答えていく。
 一例として、「持ち家を購入するか」「借家に住み続けるか」という、マネー誌などでも定期的に取り上げられる定番のテーマがある。それぞれにメリット・デメリットがあり、あいまいな結論で片づけられる傾向もあるが、本書は「情報の非対称性」というキーワードをもとに、経済学の視点から鮮やかに解き明かす。
 あるいは、災害と住宅という観点では、自然災害による被害を最小限に食い止めたいなら「危険な地域には住まない」というのが合理的な判断であるが、合理的な人でも危険な地域に住むことはある。ここでは、そのような現象が成立するメカニズムを明らかにした上で、「ではどうすれば災害を防止できるのか」について考える。
 4部12章にわたって展開される「住宅土地問題」にまつわる素朴な疑問と、明快な論旨で提示される回答は、読み手の知的好奇心をひきつけて離さない。
 住宅問題や都市政策に関心を持つ人はもとより、経済学の考え方や行動経済学について学びたい人にも最適のテキストである。

 

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概要

現在の土地住宅問題の本質を、経済学の観点から平易に解説。近年発達が著しい実験経済学、行動経済学の知見を盛り込む。

目次

序章 少子高齢化・人口減少時代の住宅土地問題とは何ですか?
 第1部 誰もが安心して生活を送るために考えなければならない住宅土地問題
第1章 自然災害による被害を防ぐにはどんな手段があるのでしょうか?
第2章 空き家・空き地はどうして存在するの?
第3章 誰もが豊かな住宅に住めるようにするためにはどうすればいいのですか?
 第2部 豊かな生活を支える生産性を向上させるために考えなければならない住宅土地問題
第4章 なぜ、人は集まりたがるのですか?
第5章 都市の構造はどのようにして決まるのですか?
第6章 東京に人口が集まると、日本の人口が減る?
 第3部 地域の持続性を支えるために
考えなければならない住宅土地問題
第7章 コンパクトシティって何ですか?
第8章 どうして相続税が空き家を増やすのですか?
第9章 どんどん進む高齢化にどう対応すればいいの?
 第4部 ライフスタイル、ライフステージに合った快適な生活を支えるために考えなければならない住宅土地問題
第10章 持ち家と借家は結局どちらが得なのですか?
第11章 既存住宅の価格は安いのに、誰も買わないのですか?
第12章 マンションは買って大丈夫ですか?

著者プロフィール

山崎 福寿  【著】
やまざき ふくじゅ

1954年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。上智大学経済学部教授、日本大学経済学部教授を経て現職。経済学博士(上智大学)。著書に『土地と住宅市場の経済分析』(東京大学出版会、1999年、日経・経済図書文化賞)等。


中川 雅之  【著】
なかがわ まさゆき

1961年生まれ。京都大学経済学部卒業。建設省入省後、国土交通省都市開発融資推進官、大阪大学社会経済研究所助教授を経て現職。著書に『都市住宅政策の経済分析』(日本評論社、2003年、日経・経済図書文化賞)等。


一般財団法人 土地総合研究所  【編】
いっぱんざいだんほうじん とちそうごうけんきゅうじょ

平成4年3月に、日本経済が地価の急激な変動を経験する中で、総合的な土地対策及び不動産業の健全な発展のための基本的な調査及び研究を行うことを目的として、当時の建設大臣、国土庁長官の許可する財団法人として設立された。現在、都市計画と法政策学、土地の所有と管理、不動産と災害に関する3つの研究会等を設け、産学官による研究を行うとともに、月刊「メールマガジン」、月刊「今月の不動産経済」の配信及び季刊「土地総合研究」の刊行、FP継続教育研修の実施のほか、その時々のトピックスを中心に有識者による「定期講演会」を年5、6回程度開催。