リアライン

ディスラプションを超える戦略と組織の再構築

ジョナサン・トレバー著/安藤 貴子訳/NTTデータ経営研究所Re:Align研究チーム訳/池上 重輔 監訳
2023年8月23日 発売
定価 2,640円(税込)
ISBN:9784492962213 / サイズ:四六/上/448

デジタルディスラプション&ポストパンデミックの時代に合わせて、事業戦略や組織の体制を「リアライン(Realign)≒再構築」することの重要性を説き、具体的な解決策を提供する本。
パーパスと戦略、そして組織の整合性の重要性が多くの人に理解されている一方で、どうすればそれらをうまく整合させられるのかを具体的に知っている人は少ない。本書はこの問題に対する処方箋として、通常は個別に議論されることの多いパーパス、事業戦略、組織ケイパビリティ、組織アーキテクチャー、経営管理システムを包括的に語っている。特に組織に関する要素を組織ケイパビリティ、組織アーキテクチャー、経営管理システムの3つに区分けし、具体的な事例を交えて説明している点は非常に実践的である。
著者は最適な戦略や組織が常に1つだけではないことを指摘しつつ、単に「状況による」と述べるだけでなく、戦略と組織をいかに整合させればよいかを具体的に考察するための軸を「戦略的アラインフレームワーク(SAF)」として提示している。SAFが軸に据えている、連携性と自律性、安定性と俊敏性という4つの要素はすべて戦略上重要だが、連携性と自律性、安定性と俊敏性はトレードオフの関係にあるため、自社がどの要素において秀でたいかによってとるべき戦略的アプローチは異なる。それぞれの戦略的アプローチにおいて必要な組織ケイパビリティや組織アーキテクチャー、経営管理システムが、多様な事例を交えて説明されている。
著者はオックスフォード大学のサイードビジネススクールで教鞭を執る傍ら、日本を含む各国で企業幹部の育成やコンサルティングも行ってきた。そのため本書は、実践と理論が高度に融合しており、日本企業への洞察も随所に表れている。
成功のシンプルな法則ではなく、組織の状況と目標に合わせて最適な戦略と組織を構築するための指針を提供する本書のコンセプトを理解し、SAFを適切に適用することで、読者は自社に合った戦略を構築でき、その戦略の実効性は飛躍的に高まるだろう。
巻末には日本語版オリジナルで著者・ジョナサン・トレバー博士(オックスフォード大学准教授)へのインタビュー「日本企業における戦略的リアラインの捉え方~DXはリアラインをどのように加速させるのか?~」(聞き手:監訳者・早稲田大学池上重輔教授+NTTデータ経営研究所Re:Align研究チーム)を収録。

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概要

破壊的変化の時代に戦略と組織をいかにリアライン(再構築)するか。独自の「戦略的アラインフレームワーク」と豊富な事例で示す。

目次

日本語版序文
はじめに
第1章 戦略的アラインの概要
 1.1 どこかで聞いた話?
 1.2 戦略的アライン
 1.3 戦略的アラインが実現した企業内バリューチェーン
 1.4 アラインがパフォーマンスに直結するなら、ミスアラインはリスク
 1.5 アラインによって混乱を乗り越え、業績を向上させる
第2章 戦略的リアライン
 2.1 必要は発明の……いやリアラインの母
 2.2 戦略的リアライン
 2.3 戦略的リアライン、リーダーシップの課題
 2.4 戦略的アラインフレームワーク
 2.5 戦略的リアライン、リーダーシップの機会
第3章 企業パーパス
 3.1 なぜ企業パーパスが必要なのか?
 3.2 企業パーパス
 3.3 企業パーパス、リーダーシップの課題
 3.4 パーパスによって企業を導く
第4章 事業戦略
 4.1 戦略とは、何の戦略か?
 4.2 事業戦略
 4.3 事業戦略のアライン、リーダーシップの課題
 4.4 戦略的アラインフレームワーク、事業戦略
 4.5 事業戦略のリアライン、リーダーシップの機会
第5章 組織ケイパビリティ
 5.1 正しい意図、誤った実装
 5.2 組織ケイパビリティ
 5.3 組織ケイパビリティのアライン、リーダーシップの課題
 5.4 戦略的アラインフレームワーク、組織ケイパビリティ
 5.5 組織ケイパビリティのリアライン、リーダーシップの機会
第6章 組織アーキテクチャー
 6.1 得体が知れない
 6.2 組織アーキテクチャー
 6.3 組織アーキテクチャーのアライン、リーダーシップの課題
 6.4 戦略的アラインフレームワーク、組織アーキテクチャー
 6.5 組織アーキテクチャーのリアライン、リーダーシップの機会
第7章 経営管理システム
 7.1 戦略的でもなければ統合されてもいない
 7.2 経営管理システム
 7.3 経営管理システムのアライン、リーダーシップの課題
 7.4 3つの経営管理システムの再設計にまつわる物語
おわりに
謝辞
APPENDIX――日本語版オリジナルコンテンツ
著者ジョナサン・トレバー博士へのインタビュー
 日本企業における戦略的リアラインの捉え方
   ~DXはリアラインをどのように加速させるのか?~
 『リアライン』の日本語化を終えて
監訳者あとがき
参考文献
索引

著者プロフィール

ジョナサン・トレバー  【著】
じょなさん・とればー

戦略と組織をテーマに研究を行うかたわら、執筆、講演、授業をこなし、企業顧問としても活躍する。オックスフォード大学サイード・ビジネススクール、マネジメント・プラクティス准教授で、『バーバード・ビジネス・レビュー』『MITスローン・マネジメント・レビュー』をはじめ、一流雑誌に定期的に論文を発表。また、日本を含む世界各国のさまざまなセクターの経営幹部チームに助言を行い、目的に適した組織改革に力を貸している。ケンブリッジ大学で経営学の博士号を取得。マサチューセッツ工科大学で客員研究員を務めた。

安藤 貴子  【訳】
あんどう たかこ

英語翻訳者。早稲田大学教育学部英語英文学科卒。外資系銀行勤務などを経て翻訳者に。訳書に『デザイン組織のつくりかた』『This is Service Design Doing サービスデザインの実践』(以上、ビー・エヌ・エヌ新社)、『セックスロボットと人造肉』(双葉社)、『シリコンバレー式心と体が整う最強のファスティング』(CCCメディアハウス)、『ロケット科学者の思考法』(サンマーク出版)、『約束してくれないか、父さん』(共訳、早川書房)、『私たちの真実』(共訳、光文社)などがある。

NTTデータ経営研究所Re:Align研究チーム  【訳】
えぬ・てぃ・てぃ・でーたけいえいけんきゅうじょりあらいんけんきゅうちーむ

NTTデータ経営研究所は『新しい社会の姿を構想し、ともに「情報未来」を築く』というミッションの下、社会動向に関する調査研究や社会課題の分析を通じた政策提言、及び民間企業向けの戦略立案から実行支援までの経営コンサルティングサービスを提供している。
Re:Align研究チームは「企業の事業変革・事業創造」や「国際・産業間連携」を支援するコンサルタント(ビジネスストラテジーコンサルティングユニット、クロスインダストリーファイナンスコンサルティングユニット)で編成されており、本書の翻訳にはコンサルティングの現場で直面した変革の課題やノウハウ、国内事業環境への適応観点などを反映している。

池上 重輔   【監訳】
いけがみ じゅうすけ

早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授。早稲田大学商学部卒業。一橋大学博士(経営学)。英国ケンブリッジ大学ジャッジ経営大学院MBA、英国国立シェフィールド大学 政治学部 大学院修士課程国際関係学修士、英国国立ケント大学 社会科学部 大学院修士課程国際関係学修士。Academy of International Business Japan chair, 国際ビジネス研究学会 理事、異文化経営学会 理事。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、MARS JAPAN、ソフトバンクECホールディングス、ニッセイ・キャピタルを経て2016年より現職。著書に『ミドルからの変革』(共著、プレジデント社)、『インバウンド・ルネッサンス』(編著、日本経済新聞社)、『マーケティング実践テキスト』(編著、日本能率協会マネジメントセンター)、『インバウンド・ビジネス戦略』(監修、日本経済新聞出版)、『チャイナ・ウェイ』(監訳、英治出版)、『シチュエーショナル・ストラテジー』(中央経済社)などがある。