つくる人がいきるスキルマネジメント

現場と経営をつなぎ、製造業の未来をひらくアプローチ

山川 隆史著
2024年10月30日 発売
定価 1,870円(税込)
ISBN:9784492962398 / サイズ:四六/並/264

労働人口の減少が続く中で企業の競争力の源泉が「人」であることが改めて注目される時代に、人が保有する「スキル」をベースとする「スキルマネジメント」の重要性を説き、具体的な事例を交えてその導入ステップを解説する一書。製造業に特化して人材育成、スキルマネジメントの課題に取り組んできた著者が、ものづくりに関わる人と企業への熱い思いを込めて現場と経営層の双方に向けて示す、変革への提案である。

◆いま注目の集まる「スキルマネジメント」とは何か◆

「スキルマネジメント」とは、技術・経験・資格などからなる「スキル」のデータを精緻に蓄積・活用することで、従業員の力を最大限に引き出し、事業目標を達成する活動である。製造業では、技術者・技能者の専門性の高さ、現場で求められるスキルの細かさ、最新技術への更新と従来技術・技能の伝承がともに重要、などの特質から、スキルマネジメントの有効性はひときわ高い。
製造現場を中心に、技術者・技能者のスキルデータを体系化・一元化・可視化することで、高度な専門性を持つ人材の育成や多様な組織・プロジェクトに対する最適人材の配置、ひいては人材ポートフォリオの充足が実現する。

◆組織のみならず、個々の従業員のパフォーマンスも向上◆

またスキルデータの活用は、従業員個人の自律的なキャリア開発にもつながる。望むキャリアのために必要なスキルを強化・習得し、そのスキルを存分に発揮できる場が得られれば、従業員の成長実感や職場満足度は高まる。同時に、成長した個人が組織や事業に貢献することが、事業の成功や企業の成長には不可欠だ。スキルマネジメントは、人と組織がともに成長を続けることができる仕組みなのである。

◆入門者にもわかりやすい本書の基本構成◆

本書の第1章では製造業の現状や課題などを、第2章ではスキルデータの重要性や役割、スキルマネジメントの概略をまとめている。第3章から第5章では、現場と経営をつなげるスキルマネジメントの導入や運用のポイントを実践的に解説している。第3章は人材マネジメントにおける実践場面を、第4章は現場業務への適用場面を紹介。第5章では推進していくうえでの難所やその乗り越え方など実践アプローチを取り上げている。エピローグでは、改めてスキルマネジメントが実現する製造業の未来について記されている。

製造・開発の現場を数多く知り、ものづくりの実相を深く理解する著者ならではの知見が集約された本書は、とくに製造業の技術・製造部門および人事部門にとって、今日から踏み出す第一歩の実践的な後押しとなる。さらに、事業目標の達成に向けて人材マネジメントの課題がある、従業員の育成方法やキャリア開発支援の模索を続けている、などの場面で業種業界を問わず役立つ一書となっている。

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概要

製造業において、組織と従業員の双方を活かす「スキルマネジメント」。その有効性と導入ステップを、事例を交えて解説する。

目次

はじめに

◆第1章 製造業の現在とスキルマネジメントへの要請
○製造業を取り巻く環境
○高まる人材マネジメントとスキルマネジメントの重要性

◆第2章 スキルマネジメントとは何か
  スキルデータを活用した人材マネジメントで事業目標を達成する
  スキルをベースにした人材戦略へ
  スキルの違いが明確に認識されれば個に光が当たる
○スキルデータを事業目標の達成に貢献させるのが「スキルマネジメント」
  体系化を構成する3つの要素
  点在するスキルデータを一元化する
  可視化によって行動に向けた示唆を提示
○スキルマネジメントの類似概念や既存手法
  「能力管理」の考え方
  ISO9001の力量管理
  適切に運用されていないスキルマップ
  製造現場で求められるスキルは細かい
○現場で「使える」スキルマネジメントにするために
  ITの進化がスキルマネジメントを容易にしている
  事業部門にローカライズした人材マネジメントが必要
  タレントマネジメントシステムと事業部門の業務システムをつなぐ
【COLUMN】
  -株式会社明電舎-

◆第3章 人材マネジメントにおけるスキルデータの活用方法
○1. 要員計画 :ものづくり人材ポートフォリオ構築
○2. 育成・キャリア開発 :スキル習得の方向性と手法
 (1)多能化
 (2)専門化
 (3)基礎力向上
 (4)組織の技術・技能伝承
 (5)個人の目標設定・学習
○3. 配置
 (1)プロジェクト配置
 (2)異動ローテーション
【COLUMN】
  -川崎重工業株式会社-

◆第4章 現場業務におけるスキルデータの応用方法
○1. 品質維持・強化
 (1)作業スキル担保
 (2)QMS力量管理の効率化・徹底
○2. 生産性向上
 (1)予知保全
 (2)作業応援
○3. 安全確保 :安全衛生教育
○4. 技術革新 :技術コラボレーション創出
【COLUMN】
  -アスザック株式会社-

◆第5章 スキルマネジメントの実践アプローチ
○スキルデータ運用の流れ
○スキルマネジメントの活動における難所とは
○3つの難所を乗り越える

◆エピローグ そして、つくる人が、いきる世界へ

あとがき

著者プロフィール

山川 隆史  【著】
やまかわ たかふみ

早稲田大学理工学部卒。信越化学工業株式会社入社。電子材料事業本部にて 新規技術のビジネス開発や開発品の市場開拓などに従事。10年間にわたり、半導体用材料の次世代技術開発など、アジア・欧米のグローバル企業とのプロジェクトに 多数参画。
2006年に製造業の人材育成を支援する会社を創業、2016年に株式会社Skillnoteを設立、現在に至る。
製造業の人材育成、スキルマネジメントの課題に一貫して取り組んでいる。