一柳良雄の目指す「日本の未来」と"一流"の仕事術
●伝説の元エリート官僚、ビジネスリーダーを育てる私塾を創る
一柳良雄(いちりゅうよしお)――10年以上続く土曜朝のBS番組のキャスターとしてご存じの方も多いだろう。東大から通産省、そしてハーバード・ケネディスクールへ。田中角栄、宮澤喜一という2人の巨星の大臣秘書を務めたキャリアは、まさに国家を動かすエリート官僚だった。だが彼は、ある出来事をきっかけに訓戒処分を受け、官僚の世界から退く。失意の底で彼が選んだのは、「天下り」ではなく、自分ひとりの力を頼りにキャリアを再構築する道。経済・産業政策や「官と民の関係」の知見を武器に、企業コンサルティングやベンチャー支援に身を投じる。そして2008年、「若者の可能性こそが日本を救う」との信念から、一流の経営者を育てる私塾――その名も「一流塾」を創設した。
●昭和のオヤジに令和の起業家が惹きつけられるワケ
一流塾の塾生はまさに多士済々、年齢もキャリアも多様な顔ぶれが並ぶ。大事故による会社存亡の危機を乗り越えたメーカー社長、シンガポールから毎月通う不動産仲介業社長、64歳でMBAを修得した医師起業家(大学医学部教授)、そして大手300社以上のSNS起点マーケティングを支援する20代の女性起業家。彼らは皆、一柳の人間力と“熱”に惹かれて塾に集ったのだ。さらに彼らに講義を行う講師陣もまた、錚々たるメンバーだ。故・安倍晋三、故・塩川正十郎、小池百合子、福川伸次、斉藤惇、木村皓一、三枝匡――。政界・財界の頂点に立つ面々が、塾生たちに全力で知恵と経験を授ける。なぜこの私塾にそれだけの力が集まるのか? その源は、一柳が身をもって示してきた「突破力」にある。原発立地交渉の現場で、相手の信頼を勝ち取るために“パンツを脱いだ”という衝撃のエピソードは、理屈や役職では動かない「人間の本気」がいかに現場を動かすかを教えてくれる。人とつながり、信頼を築き、物事を動かす。その極意が、本書には詰まっている。
●理屈・知性を超えて仕事と人を動かす「異色のビジネス書」誕生
一柳は語る。「アホなことをいうのもあり」と。知性だけでは人は動かない。理屈では人はついてこない。ときには型破りな行動、意外性、そして何よりも“志”の熱量が、人の心を動かすのだ。本書では、一柳の行動哲学、交渉術、ネットワーク構築力、そして“巻き込み力”の神髄が、彼の長年の友人・知人や、塾生、講師たちのリアルな証言とともに描かれる。そこから見えてくるのは、昭和の豪胆さと令和の柔軟さを融合させた、一柳の唯一無二の「生き様」だ。閉塞する社会の中で、「何かを変えたい」と願うすべての読者に向けた、強烈なエールであり、異色のリーダー論、行動のビジネス書だ。リーダーに、そしてすべての挑戦者に告ぐ――常識を超えろ。アホになれ。熱い志を持て。未来はそこから始まる。