特集「鉄道 大変革」を担当した梅咲です。
今回、鉄道特集を企画するにあたり、編集部で話し合ったのは「何を切り口にするか」ということでした。一口に鉄道といっても、範囲は実に広いのです。例えば、最近注目されている安全やメンテナンスの問題、あるいはアクティビスト(モノ言う株主)との攻防に焦点を当てることも考えました。廃線が取り沙汰されるローカル線や、自動運転の今後など社会的な問題として取り上げる話題もたくさんありました。
多くのテーマの中から、私たちは日頃から各社の経営戦略を追い、業界の厳しい状況を身近に感じていたため、ビジネスの側面と経営姿勢の変化を真正面から取り上げることに決めました。おりしも、JR東日本が会社発足以来の組織改革を打ち出し、JR西日本もスマートフォン決済サービスを新たに投入しました。私鉄では、小田急電鉄や西武ホールディングスが「箱根」を軸にした観光戦略に力を入れるなど、独自の路線を進んでいます。私たちは、こうした新しい分野の現状と課題に注目しました。
実は、誌面の都合で、特集から泣く泣く外した企画もあります。特集の中では、電鉄会社が今後展開を強化する分野として「DX推進やドローン開発」を図で紹介しているのですが、これらについても取り上げる予定でした。また、夜行特急列車の需要や、いすみ鉄道の脱線事故の影響についても、それぞれコーナーを準備していました。これらの企画は残念ながら特集には掲載できませんでしたが、一部は後日、東洋経済オンラインで配信する予定です。もしごご興味があれば、そちらをご覧いただければ幸いです。
今回の特集ではそんな注目のテーマに、ビジネスパーソンにとって必読の情報を盛り込みました。ぜひ手にとってご覧下さい。
担当記者:梅咲 恵司(うめさき けいじ)
ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。