週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2020年2月15日号
2020年2月10日 発売
定価 730円(税込)
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【第1特集】信じてはいけない クスリ・医療

「患者にとって、役に立つクスリ・医療」とは何なのでしょうか。本特集では、エビデンス(科学的根拠)に徹底的にこだわり、飲みたくないクスリ、受けたくない医療を具体的に取り上げました。 薬剤乱用や身体拘束が蔓延する「精神科病院」、自由診療で高額の請求を行う「がん免疫療法」など、日本の医療界が抱えている大問題にもメスを入れました。
 

【第2特集】マツダの試練 米国販売改革の最前線


CASE時代と呼ばれる大変革期にある自動車産業。世界シェアわずか2%のマツダは生き残れるのでしょうか。カギを握る主戦場は、来年トヨタとの合弁新工場が稼働する米国。安売りと決別した販売改革の現場に迫りました。

担当記者より

今回の特集では、日本のEBM(Evidence-Based Medicine=科学的根拠に基づいた医療)をけん引してきた武蔵国分寺公園クリニックの名郷直樹医師にご登場いただいています。EBMとは、医師の経験や主観だけでなく、現時点で最も信頼できる臨床結果やデータを基に患者にとって最良の医療を行うという考え方。名郷医師は、日本で日常的に行われている医療について、見過ごされているいくつかのエビデンスを指摘しています。
 
たとえば、認知症治療薬の代表として知られるアリセプト。認知症に効果のある世界初のクスリとして、今でも広く使われていますが、実は最近になって効果に疑問を投げかける動きが出てきています。実際の臨床現場では、プラセボ(偽薬)と比べて大きな差はないとのこと。フランスでは2018年に公的保険の対象から外されています。
 
また、高血圧については、そもそも正常・異常の境目が明確ではありません。血圧の目標値は、最高血圧が130mmHg未満、最低血圧が80mmHg未満とされていますが、この数値にも実は決定的な根拠はありません。名郷医師によれば、高血圧の大部分は症状がなく、血圧が高いだけであれば何の問題はないとのこと。極端な話、血圧が下がらなくても脳卒中などが予防できればいいので、絶対視する必要はないそうです。
 
名郷医師は、こうした例を挙げながら、医師に言われるがままに治療を受けたり、世にあふれる情報を鵜呑みにするのではなく、自分自身で考え、医師と話をすることが重要だと強調しています。
 
実はみなさんの身近にある医療にも「無駄」なものが含まれていませんか。今週号「医療・クスリ」ではほかにも多数レポートしていますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

担当記者:長谷川 隆 (はせがわ たかし)
『週刊東洋経済』編集委員。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
信じてはいけない クスリ・医療

受けたくないムダな医療50
抗菌剤が効かない耐性菌の脅威

Part1 クスリの罠
飲んではいけない薬
高齢者への安易な処方で認知症患者が数十万人
薬害に腰の重い厚生労働省
規制だけでは解決できない 増える10代の市販薬乱用

Part2 病院の裏側
量産されるムダな入院
気づけば「透析漬け」に… 人工透析天国ニッポン
産婦人科医の過労、その危険な実態
県立病院で主導権争い勃発 医師不在に翻弄される町
医師偏在の解消は道半ば 地域枠が嫌われる理由
[ ルポ ]精神科病院の深い闇
理由なき4年間の強制入院 42歳女性が味わった地獄
「身体拘束の最小化を目指す」東京都立松沢病院院長 齋藤正彦

Part3 がん治療・検査の闇
がん見逃し誤診に要注意
”ステージ0”で発見する最新検査 生存率の低い膵臓がんに光
[ 告発スクープ ]湘南美容外科グループの“独自療法”
民間がん免疫療法の真相
「患者は正しい情報の収集を」 国立がん研究センターがん対策情報センター長 若尾文彦

第2特集
米国販売改革の最前線 マツダの試練
「売り方を180度変える」マツダ社長兼CEO 丸本 明

スペシャルリポート
背水の陣で臨む手数料ゼロ ネット証券5社の曲がり角
チャールズ・シュワブの無料化で急展開 米国の手数料競争は最終局面へ

ニュース最前線
日本企業を襲う新型肺炎 業績・生産への打撃は不可避
前田道路にTOBを断行 ゼネコン前田建設の焦り
しまむらが異例の社長交代 業績回復へ険しい道のり


連載
経済を見る眼|企業の感染症リスク対策は機能するか|太田聰一
ニュースの核心|2020年代は長期的視野とバランス重視で|大崎明子
『会社四季報』ルーキー登場|ランサーズ
トップに直撃|GCA CEO 渡辺章博
フォーカス政治|英国のEU離脱が暗示する「国家の復権」の危うさ|牧原 出
グローバル・アイ|AIは社会保障を根底から揺るがす/若い人口はアフリカの資産
INSIDE USA|小さな政府の保守派がなぜ 論争呼ぶ新・産業政策論|会田弘継
中国動態|中国が国運託す硬骨の医師 新型肺炎が示す「人治」の実|田中信彦
マネー潮流|ECB新総裁が仕掛ける議論|木内登英
少数異見|タイ人が約束を守ることを喜べない理由
知の技法 出世の作法|「やられたらやり返す」 ロシアによるスパイ事件|佐藤 優
経済学者が読み解く現代社会のリアル|総合的な分析が可能に 行政データ活用のすすめ|別所俊一郎
人が集まる街 逃げる街|犬山市(愛知県) 世界に向けて犬山ブランドを発信|牧野知弘
クラシック音楽最新事情|伝説のカストラート よみがえる奇跡の歌声|田中 泰
話題の本|『小説 「安楽死特区」』著者 長尾和宏氏に聞く ほか
「英語雑談力」入門|infectious(伝染性の)|柴田真一
ゴルフざんまい|曲がっちゃうボールと曲げるボールの違い|三田村昌鳳
経済クロスワード|日本の医療
編集部から|
読者の手紙 次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2020年2月15日号」(2月10日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
73ページ ■国立がん研究センター 若尾文彦氏の肩書き

【誤】がん対策情報室長
 ↓ 
【正】がん対策情報センター長