週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2020年4月18日号
2020年4月13日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】牙むく株主 あの投資家は敵か? 味方か?

「コロナ禍も投資チャンスだ!」── 今、国内外の「アクティビスト(物言う株主)」が攻勢を強めています。コロナ危機の中でメディア取材が手薄になったからなのか、乱暴な要求も目立っています。

今号の特集「牙むく株主」では、アクティビスト、大株主などによる「騒乱」を徹底取材。株主総会シーズン到来を前に、企業経営者の立場からみた「対抗策」も伝授します。経営者や総会担当者だけでなく、金融機関、機関投資家、個人投資家…などなど幅広いビジネスパーソンにとって必読の特集です。
 

【スペシャルインタビュー】DCMベンチャーズ・本多央輔


コロナによる株式市場の混乱で、ベンチャーへの投資資金の“逆回転”が始まろうとしています。freee、Sansanなど、日本発のユニコーンを立て続けに生んだ気鋭のベンチャー投資家は、現状をどうみているのでしょうか。

担当記者より

特集校了の最終日のまさに最終段階のことです。電子機器製造のサン電子の臨時株主総会で、取締役4人の解任と取締役5人の選任を求める株主提案が可決されたというリリースが飛び込んできました。株主提案をしていたのはアクティビスト(物言う株主)として知られる香港のファンド、オアシス・マネジメントです。

その約2週間前、電話インタビューでオアシスの最高投資責任者のセス・フィッシャー氏は4期連続で最終赤字(見通し)の同社経営陣を舌鋒鋭く批判。オアシスが推薦する取締役によって経営が改善すると強調していました。勝利の味は格別でしょうが、新たな経営陣が結果を出せなければ今度は批判にさらされることになります。

今回の特集でアクティビストと呼ばれる投資家、攻められる側の企業経営者、攻守それぞれにつくアドバイザーなど匿名で応じていただいた方も含めて多数にお話を伺いました。特にアクティビストの言うことは正論が多いのですが、長期的に企業の繁栄を考えているようには響いてきませんでした。

実際、2000年代に村上ファンドの投資行動を詳細に分析したことがありますが、当時は建前と実際の投資行動に乖離がある案件も見受けられました。もちろん、彼らは投資家ですから配当や株価上昇で儲けることが第一です。そして株価が上がれば売却して去っていく。それ以上を求めて彼らを批判するのは筋近いなのかもしれません。

一方、企業側にもやはり問題はあります。株主と真剣に向かい合おうとしない経営者は少なくありません。今回の特集では取り上げられなかった企業ですが、同社の命運を決める臨時株主総会に新型コロナウイルスの影響で出席できない株主から、様子を見てきて欲しいと代理人出席を頼まれました。預かった委任状を提出して会場に入りましたが、その後に代理人は株主に限っていると慇懃に追い出されました。

同社は、定款規程により株主総会の代理人資格を株主に限定しており、招集通知にもその旨を記載しています。 実は、こうした定款を持つ企業は少なくないのですが、それは株主総会を妨害する特殊株主(総会屋)対策だったものです。しかし、株主総会への出席は株主の権利です。会場の席は余っていて、オンライン中継もしていません。出席できない事情がある場合、代理人を排除する大義があるとは思えません。

本来、株主と会社は敵対関係ではありません(敵対関係をあおっているのはメディアという声もありますが)。お互いが正しいと思うことを主張し合っていけば、経営はよくなるはずです。昨今はアクティビストという名の株主の声ばかりが目立っています。経営者は自分たちが正しいと思うならば、もっと丁寧に説明する必要がある。特集作りを通じてそんなことを痛感しました。

担当記者:山田 雄大(やまだ たけひろ)
東洋経済・解説部コラムニスト。1971年生まれ。1994年上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車業界などを担当。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。2019年秋から現担当に。社内に山田姓が多いため「ゆうだい」と呼ばれる。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
あの投資家は敵か味方か 牙むく株主

Part1 日本企業を狙う物言う株主
黒船襲来でバトルが過熱
物言う株主の栄枯盛衰 政策の後押し受け大復活
「劇場型」から「理詰め」に変化 大企業を襲う強欲な手口
[狙われた会社のその後①]圧力テコに経営改善を断行

Part2 アクティビスト対処法
直伝!“最強防衛策”
 [激論]株主の利益追求、悪いことですか?
否定派:評論家 中野剛志 × 肯定派:創発プラットフォーム代表理事 安延 申
ハゲタカか、それとも救世主か アクティビスト「 害悪論 」に大反論!
[狙われた会社のその後②]村上ファンドが残した爪痕
新型コロナで割安さ増す 狙われる会社ランキング
アクティビストに「便乗」して稼ぐ方法

Part3 会社は誰のものなのか?
迫り来るESGの波
「価値創造のストーリーをアクティビストに打ち返せ」 一橋大学CFO教育研究センター長 伊藤邦雄
乾汽船 vs. アルファレオで判明 大手損保、信託銀行のおざなり
NTTと2000億円ずつ 持ち合い進めるトヨタの焦燥
官邸・経産省がリード、尻拭いは財務省 改正外為法の同床異夢
アクティビストファンドだけではない 続々と声を上げる 株主の乱
会社はよくなったのか LIXIL騒動が残したもの
「会社はモノでありヒト 会社財産は会社の所有物」 国際基督教大学特別招聘教授・東京大学名誉教授 岩井克人

巻頭リポ ート
何が起きる? 10のQ&A
緊急事態宣言の真実


スペシャルリポート
子どもへの体罰禁止が法制化
小4女児虐待事件の真相


スペシャルインタビュー
DCMベンチャーズ 日本代表 本多央輔
「コロナ危機の今こそ 投資家の真価が問われる」


ニュース最前線
コロナ対策に「民間の知見」 データ活用への期待と懸念
 「不況こそチャンス」と豪語 ニトリ増収増益宣言の衝撃
今秋にも東証1部に復帰 東芝が込めた「ある思惑」


連載
経済を見る眼|医療崩壊をどのように防ぐか|佐藤主光
ニュースの核心|東芝の1部復帰問題が内包する取引所の罪|山田雄大
『会社四季報』ルーキー登場|JTOWER
トップに直撃|デンカ社長 山本 学
フォーカス政治|政府・国会も振り回された首都封鎖デマの「感染力」|千田景明
グローバル・アイ|コロナ危機に潜む「独裁の脅威」|ヤン゠ヴェルナー・ミュラー
INSIDE USA|大統領が招いたコロナ危機 米国が直面する2つの爆弾|ジェームズ・ショフ
中国動態|新型コロナで先進国と衝突 途上国支援が中国の重荷に|益尾知佐子
財新|米国制裁でファーウェイの成長が鈍化中国政府が映画館営業再開に「待った」
マネー潮流|過去の金融危機とは異なる動き|森田長太郎
少数異見|コロナ禍で変わるアジアが日本を見る目
知の技法 出世の作法|新型コロナウイルスによる国家の危機と翼賛の思想|佐藤 優
経済学者が読み解く現代社会のリアル|禁煙による改善期待 企業の生産性と賃金|高橋孝平
人が集まる街 逃げる街|北九州市(福岡県)製造業で栄えた九州の玄関口|牧野知弘
クラシック音楽最新事情|美術館で明かされる“ピアノの詩人”真実の姿|田中 泰
話題の本|『 流人道中記』著者 浅田次郎氏に聞く ほか
「英語雑談力」入門|keep coming back(繰り返し~する、~し続ける)|柴田真一
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