週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2020年7月25日号
2020年7月20日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】生命保険の罠

2019年は異常気象によって大型台風が襲来。20年はコロナショックが続いているだけでなく、九州や中部地方をこれまでになかったような集中豪雨が襲っています。暮らしをめぐる不安は高まるばかりといえるでしょう。
 
そうした中で、保険への関心も高まっています。しかし、保険商品は極めて複雑なものであり、素人にはわかりにくい。いとも簡単にだまされてしまいます。冷静に選ばなければ、痛い目に遭うかもしれません。
 
あえて売り手目線を排し、ユーザー目線に集中特化。「コロナ時代の正しい保険の選び方」を学ぶ特集をお届けします。
 

【スペシャルインタビュー】後藤高志・西武HD社長


新型コロナの影響で、鉄道もホテルも収入が激減。それでも「ピンチのたびに強くなった」と、後藤社長はコロナ時代の経営に自信を示します。「埼玉はどこよりも安心安全、価値が見直される」。沿線住民必読のインタビューです。

担当記者より

今、この記者通信を「JP改革実行委員会」が始まる直前の会場で書いています。午前8時15分開場、同9時00分開始。かんぽ生命保険と日本郵便の不正募集の再発防止策を検証する場、なのだそうです。早くも今日が第4回。

日本郵政は不正募集を根絶できるでしょうか。実際にお会いした被害者家族の憤りに鑑みれば、「顧客のための生命保険の営業に変わってほしい」と心の底から思います。一方で、「そう簡単ではないのでは」という思いも強くあります。

というのは、前身の簡易保険の時代から、不正募集は何度となく蔓延してきたからです。
 
起源は戦前にまで遡ります。『簡易生命保険誕生100周年史』によれば、「1937年の日中戦争勃発以降に大都市での不正募集が蔓延するようになった」そうです。不正募集の蔓延は高度成長期の1960年代にも。郵便局員の度が過ぎた話法は当時の国会でも取り上げられたそうです。
 
昨年6月に大量発覚した不正募集の代表例は「乗り換え話法」でした。郵便局員が募集手当(通称ボテ)をもらうためやノルマを達成するために、解約と新契約を巧みに持ちかける話法です。

35年前に刊行された内部告発本『簡易保険・悪の構図』によれば、1980年代前半にも乗り換え話法による不正が蔓延しました。すると、旧郵政省は「優績者(=営業成績が優秀な局員)」らを霞が関に呼びつけて「二度と不正募集をしません」との誓約書を書かせたそうです。ところが現場の管理者は優績者に甘く、本部や現場の管理者処分も緩かったそうです。

なんか、今起きていることとデジャブです。現役局員から漏れ聞こえてくる話からすると、甘さと緩さは既視感ありまくりです。

…と、この記者通信を書いていたら、委員会はすでに始まっていて、「かんぽの営業再開の条件はおおむね満たしている」との驚きの報告が。異論も出ませんでしたが、日本郵政の増田寛也社長は「再開のための必要条件は満たしたとしても、十分条件を満たしているかどうかは」と慎重に応じました。

ところが委員会終了後には「今夏にも営業再開へ」という速報が流れました。「あれ、社長は再開するとは言っていないし、時期も明言しなかったよね? それにもう夏だし」と不思議な気持ちに包まれました。

担当記者:山田 雄一郎(やまだ ゆういちろう)

東洋経済記者。1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
生命保険の罠

[緊急寄稿]保険の本質は「損な賭け」 ●経済評論家 山崎 元

Part1 「コロナだから生命保険」に騙されないで
ウィズコロナ時代の生命保険との関わり方 第2波に備える生活防衛術
自然災害では生保よりも損保が助けに 床上浸水に備える「水災補償」
大手生保&保険ショップ&郵便局 実録・コロナ営業トーク
統計からわかる日本におけるコロナの真実 コロナは本当に怖いのか
病気への備えは保険より貯蓄 「医療保険」は要らない
先進医療特約の罠 無駄な治療を受けるおそれも
知っていれば、むやみに恐れる必要はない 「高額療養費制度」と「付加給付」
[誌上座談会]顧客との接触NG 生保販売員の苦悩
 
Part2 「生命保険で運用」は大間違い
苦情減らず、金融庁が名指しで批判 外貨建て保険にご用心
外貨建て保険の営業現場で体験したこと 銀行への信頼が落とし穴
高齢者を狙い撃ちする外貨建て生命保険 不適切な説明に苦情が殺到
外貨建て保険は欠点だらけ 運用に不向きである5つの理由
高利率は高リスクの裏返し 「利率が高い」のには訳がある
35年前の内部告発本は語る 昔から変わらないかんぽ「不正の手口」
お得でない商品が売れたワケ かんぽでも仇になった「信頼関係」
通信費よりも多い保険料 日本人は保険に入りすぎ?
[家計経済のプロが教えます]「一番安い保険」がいいに決まっている ●経済ジャーナリスト 荻原博子

Part3 [総点検]忙しい人のための保険のカルテ
「わかる」「みえる」「助かる」の3評価で攻略 保険選びは難しくない
就業不能保険/定期死亡保険/収入保障保険/がん保険/認知症保険/
健康増進型保険/介護保険/学資保険/長寿保険/個人年金保険/
終身保険/変額年金保険/変額保険/都道府県民共済/団体保険/わりかん保険

スペシャルインタビュー
西武ホールディングス 社長 後藤高志
「埼玉はどこよりも安心安全 沿線の価値が見直される」


ニュース最前線
伊藤忠がファミマにTOB 一体化の「強み」は未知数
自治体や住民が大混乱 給付金騒動から得た教訓
売上2桁減続きの百貨店 見えてきたECという曙光


連載
|経済を見る眼|これから起きる景気議論の注意点|小峰隆夫
|ニュースの核心|規制の下でも日韓企業の協働は進化する|大崎明子
|トップに直撃|ミネベアミツミ 会長兼社長 貝沼由久
|フォーカス政治|夜会合再開を主導した二階氏の思惑|歳川隆雄
|グローバル・アイ|コロナ禍で加速する行動追跡 監視社会の脅威を忘れるな|ステファニー・ハンキー
|INSIDE USA|黒人男性死と1619年論争 米国を揺るがす歴史の再検討|会田弘継
|中国動態|米覇権に挑む「中国標準2035」|小原凡司
|財新|新興EVの「バイトン」が事業活動停止「サービス業」景況感が10年ぶり高水準
|マネー潮流|ハイイールド投資には慎重であるべき|中空麻奈
|少数異見|「公正な価格」を裁判所が決められるはずがない
|知の技法 出世の作法|中央の政争の具となる辺野古新基地建設問題|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|感染症の予防行動はなぜ徹底されにくいのか||井深陽子
|人が集まる街 逃げる街|熊本県 熊本市|牧野知弘
|クラシック音楽最新事情|「夏の風物詩」的音楽祭 今年はハイブリッド開催|田中 泰
|話題の本|『戦争をいかに語り継ぐか』の著者 水島久光に聞く ほか
|「英語雑談力」入門|phase out|柴田真一
|ゴルフざんまい|今季初、無観客でのJLPGAツアー|小林浩美
|経済クロスワード|公的医療保険と民間生保
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2020年7月25日号」(7月20日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
39ページ ■「床上浸水に備える『水災補償』」の記事

4段目表記について
【誤】浸水深1㍍未満であれば「半壊相当」で、給付金はわずか35万円となる。
 ↓
【正】損壊率が全床面の50%未満で浸水深1㍍未満であれば、給付金は35万円。