週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2020年10月3日号
2020年9月28日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201311002

【特集】激震! エアライン・鉄道

新型コロナウイルスの感染拡大によって人々の長距離移動は急減しました。それに伴って公共交通機関の経営基盤は大きく揺らいでいます。

海外では航空と鉄道の垣根を越えた経営統合も進む中、日本の公共交通はどこへ向かうべきなのでしょうか。 コロナ危機が長引けば、経営破綻や再編といったシナリオも現実味を増すことになるはずです。 アフターコロナをにらんだ業界動向を大胆に展望しました。
 

【第2特集】菅新政権大研究 行方を占う5つのポイント

歴代最長の7年8カ月に及んだ安倍政権から何が変わるのか。「自助」好き、「経産省内閣」の継承の有無、解散総選挙など5つの観点で読み解きます。エコノミスト17人へ緊急アンケートを実施、経済見通しと課題も浮き彫りに。

 

【スペシャルリポート】現場に厳しく、幹部に甘い 日本郵便・社員大量処分の杜撰


かんぽ生命の不適正販売をめぐって、社員の大量処分が進んでいますが、その現場からは不満の声ばかり聞こえてきます。営業現場に責任を押し付けるのではなく、日本郵便の本社・支社、かんぽが自らの非を認める日はいつ訪れるのでしょうか。

担当記者より

特集「激震!エアライン・鉄道」を担当した森創一郎です。現在放送されているTBSの人気ドラマ「半沢直樹」。ご覧の方はご存じの通り、10年前のJAL破綻劇がモデルになっています。劇中で銀行に巨額の債権放棄を迫る国交相は、白いスーツに身を包んだ女性。そのモデルは当時の前原誠司国交相か、あるいは元キャスターで白いスーツがトレードマークの蓮舫参議院議員か、ネットでもさまざまな憶測が飛び交っていましたが、私はどちらも今ひとつピンときませんでした。

実は、10年前、実際に銀行団と真正面からぶつかり合って激しいやり取りを繰り広げていたのは、当時国交副大臣だった辻元清美衆議院議員です。なるほど、3人を足して3で割ると、確かにあの白井大臣のなんとも言えぬ表情にぴったりです。今回の取材では、当時の銀行との交渉がいかに厳しいものだったかを振り返っていただいています。会議の席上でさんざんやり合ったある銀行員に会議後にアメを1つ差し出され、そのやさしさが心にしみて涙が溢れたというこぼれ話も。

もう一人、ドラマには「帝国航空再生タスクフォース」のリーダーとして、主人公半沢と敵対する弁護士・乃原正太も出てきます。実際の「JAL再生タスクフォース」でリーダーを務めたのは弁護士の高木新二郎氏ですが、この人物のモデルは年齢的にもサブリーダーを務めた経営コンサルタントの冨山和彦氏のほうが近いのかもしれません。でも、実際の冨山氏は劇中の乃原のように、厭味な雰囲気でギリギリ攻めてくるタイプではなく、人物像としては少しかけ離れている印象です。今回の特集ではまた、冨山氏にも当時の話を伺いました。

今年、新型コロナの世界的流行で大きなダメージを受けた航空会社。JALが破綻した当時、あの恐怖を体験したミドル社員たちが今は経営の中枢を担っています。ドラマで演じられている緊迫した状況が、まさにリアルで起こりつつある今の航空業界を徹底検証しました。

担当記者:森 創一郎(もり そういちろう)
1972年東京生まれ。出版社、雑誌社、放送局を経て2020年7月から東洋経済記者。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
激震! エアライン・鉄道

自力で再生できる? 鉄道と航空の惨状

PARTI 崖っぷちエアライン
半沢直樹もびっくり エアラインのリアルな惨状
「最大の懸案は出資者だった」 ●経営共創基盤CEO 冨山和彦
「銀行とは連帯感が生まれていた」 ●衆議院議員 辻元清美
2009年にもあった国際線統合論 JAL・ANA統合説の真贋
「消極戦略」貫いたJALと明暗 王道歩んだANAの大誤算
市場戦略の再考は不可避 中堅航空たちのサバイバル
「コロナ禍を乗り切る力はある 独立性維持にこだわりたい」 ●スカイマーク 会長 佐山展生
「ANAとの依存関係に変化も」 ●AIRDO 社長 草野 晋
「空のお仕事」人気に異変 
日系エアラインも明日はわが身か 外国エアラインの断末魔
欧州で起きていること 手を結んだ航空と鉄道
「旅客サービスという点で 航空業界は鉄道を上回る」 ●えちごトキめき鉄道 社長 鳥塚亮
 消えたインバウンド 羽田が迫られる変化

PARTII 大揺れの鉄道
工事ストップで正念場に リニア問題 決着への道
県から静岡市への権限移譲で動き出す リニア「工事再開」への“秘策"
電車の未来像を独自取材 変動運賃で「満員ゼロ」へ ●JR東日本 社長 深澤祐二 ●JR西日本 社長 長谷川一明
私鉄も追随か? 終電の繰り上げ
JR北海道救済のウルトラC 貨物が握る「北の鉄路」の命運
貨物新幹線は1つの解決策 ●JR北海道 社長 島田 修
新幹線は物流の価値を高める ●JR貨物社長 真貝康一
全線フル規格開業は可能なのか 長崎新幹線の突破口
人口減にコロナが追い打ち 四国に新幹線は走るか
高速バスとの競争は厳しい ●JR四国 社長 西牧世博
在宅勤務の普及で環境激変 私鉄・三セクの瀬戸際
「住む人が誇れる路線にする」 ●西武鉄道 社長 喜多村樹美男
多発する自然災害にどう対処するか 鉄道と道路で復旧に大きな差
日本の公共交通予算は貧弱だ 道路予算で鉄道の再生を

第2特集
菅政権大研究
新政権を読み解く 5つのポイント
エコノミスト17人に緊急アンケート 中長期の成長戦略が焦点
「菅首相はベンチャー大好き 抜群の突破力で産業再生を」 ●サントリーホールディングス 社長 新浪剛史

スペシャルリポート
現場に厳しく、幹部に甘い 日本郵便・社員大量処分の杜撰
紙一枚で契約無効! 日本郵便、かんぽの蛮行


ニュース最前線
ドコモ問題で露呈した 銀行の甘すぎる安全認識
MBOの臆測呼ぶ資産売却 ソフトバンクG次の一手
アーム買収のエヌビディア 「半導体の覇者」になれるか


連載
|経済を見る眼|ジョブ型雇用時代の住宅・教育費|藤森克彦
|ニュースの核心|新政権は、エネルギー基本計画の抜本見直し着手を|岡田広行
|トップに直撃|積水化学工業 社長 加藤敬太
|フォーカス政治|菅首相の手本は「小泉流」の改革路線|塩田 潮
|グローバル・アイ|コロナが変える消費行動 この爪痕は何十年も消えない|ケネス・ロゴフ
|INSIDE USA|岩盤層がないバイデン氏 「ラストベルト」が課題|肥田美佐子
|中国動態|中国「ワクチン外交」が試す大国の器|田中信彦
|財新|ネスレが中国の飲料水事業から撤退中国国鉄がコロナ直撃で巨額赤字に
|マネー潮流|菅新政権へのマーケットからの期待|佐々木 融
|少数異見|わが国の民度は本当に高いといえるか
|知の技法 出世の作法|菅義偉首相の誕生による 内閣・官房人事を考える|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|多様性を尊重する教育に 差別是正の効果はあるか|辻本隆宏
|人が集まる街 逃げる街|東京都 板橋区高島平|牧野知弘
|クラシック音楽最新事情|世界一の弦楽四重奏団 コロナ禍に光を注ぐ|田中 泰
|話題の本|『未来のプルードン』の著者 的場昭弘に聞く ほか
|経済クロスワード|航空業界の現在
|「英語雑談力」入門|opt for|柴田真一
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2020年10月3日号」(9月28日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
24ページ 積水化学工業・加藤敬太社長のインタビュー

【誤】プラスチックカンパニー
 ↓
【正】プラスチックスカンパニー

【誤】配水管
 ↓
【正】排水管