特集「電子部品、最強列伝。」を担当した徳田菜月と印南志帆です。
「村田製作所は先端品だけじゃなく、ボリュームゾーンでもシェアを譲らない」「ヒロセ電機はコネクター専業でずっと営業利益2割超を維持している」「マブチモーターは顧客ごとにカスタマイズせず、標準品のモーターだけ扱っているのに高収益」・・・・・・。
1年近く前、オフィスの打ち合わせテーブルで電子部品特集の構想を初めて話し合いました。石川陽一記者から各社の話をきくうちに、体温が一度上がるような胸の高鳴りを覚えました。各社の“勝ちパターン”である経営戦略を「名将の列伝」のようにまとめたら、業界を問わずビジネスパーソンの役に立つ内容になるのではないかーー。そう感じたのをきっかけに、この企画が生まれました。
かつて世界で隆盛を極めた日本の半導体や家電は、いまやすっかり存在感を失っています。一方、いまだ世界生産額の3割を日本勢が占めているのが電子部品です。スマートフォン、自動車、空調機器といった身近な家電の内部を見ると、そこには高確率で日本製の部品が入っています。
そんな各社の競争力の源泉を探るべく、日本津々浦々の開発・製造現場を訪れました。厳重なセキュリティが敷かれた工場も多く、「これは見せられない」といわれるシーンもしばしば。取材調整自体が難航したページもありました。
ご協力によって目の当たりにしたのは「そこまでやるのか!」と唸るような各社のこだわりです。数センチ、数ミリ、いや100分の1ミリ、といった目視不可能な次元に知恵を結集させるのです。あるエンジニアが製品について熱っぽく語る様子からは、世界中の人々の日常生活を自社製品が左右している、という自負をひしひしと感じました。
本特集では、世界で進撃を続ける村田製作所、TDK、ミネベアミツミ、ヒロセ電機、マブチモーターの5社の経営戦略を深堀りしました。あなたの仕事にも役に立つヒントがきっと見いだせるはず。是非、お読みください。
担当記者:徳田 菜月(とくだ なつき)
電子部品業界を担当。東京大学文学部卒業、2025年東洋経済新報社入社。中学2年生まで4年間をアメリカ・デトロイトで過ごし、大学時代は硬式野球部のマネージャーとして駆け回る。緑が好きで、ガジュマルを育てようか検討中。
担当記者:印南 志帆(いんなみ しほ)
早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。