週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2020年10月24日号
2020年10月20日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】半導体狂騒曲

半導体の覇権争いが沸騰しています。王者・インテルの時価総額がゲーム向け半導体に強いエヌビディアに抜かれるなど業界秩序は激変しつつあります。

5GやAIの普及に加え、コロナ禍によるテレワーク加速で、半導体需要は今後の爆増が確実。成長市場で勝ち残る世界企業・日本企業を探りました。
 

【スペシャルリポート】中国を知り尽くす異能の外交官 垂秀夫 新中国大使


中国に幅広い人脈を持ち、アグレッシブな仕事ぶりで知られてきた垂秀夫・在中国大使。世界情勢が激動する中で国力差が開く日中関係をどう舵取りするのでしょうか。中国が最も恐れる男が日中関係のリアリズムを語ります。

 

担当記者より

特集「半導体狂騒曲」を担当した田中理瑛です。5GやAIの普及に伴って情報通信のデータ量が爆発的に上昇し続ける中、半導体の業界は激動の時代を迎えています――。
とは、日々のニュースで理解しているものの、「いったい半導体って何?」と思っている方は少なくないのではないでしょうか。

実は私自身もその一人。日々持ち歩くスマホのスペックでさえまったく関心がなく、理系の友人にスマホのCPUについて熱く語られてもさっぱり理解できなかった私です。半導体関連の企業の資料を調べ、先輩記者に質問したり、取材についていったりするうちに、だいぶ知識はついたものの、それでも自分で文章に書き起こすとわからないことが次々出てきます。

ナノという目に見えない世界で起こっている技術進化を、いったいどう表現すれば伝わるのか。数百ある製造工程をどう説明すればいいのか。その1工程では不要な部分を「溶かす」のか「削り落とす」のか、あるいは「削り出す」のか。使う言葉の一つひとつに迷っているとなかなか筆は進みません。「早めに入稿します」と宣言はしたものの、結局ぎりぎりに。

こうして書き上げたのが、「今さら聞けない半導体の基本」というQ&Aのページです。私自身が、半導体関連のニュースを読み解くうえで欠かせないと実際に感じた基礎知識を、自分の目線でまとめました。特集を読む前、あるいは読み進めながらも参照することで、理解をより深めていただけるはずです。

担当記者:田中 理瑛(たなか りえ)
東洋経済記者。北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。工作機械・ロボット・ドローン・医療機器を担当。趣味は東洋武術とエスニックタウンで料理を食べること。最近のマイブームは、ウクレレ、キックボクシング、セネガルなど。北海道日本ハムファイターズファン。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
半導体狂騒曲

この10年でTSMCは10倍、エヌビディアは60倍に 
─ 主な半導体企業の時価総額の変化 ─

第1部 日本勢は生き残れるか
打倒サムスンへ高い壁 躓いたキオクシア上場
売れないキオクシア株 東芝、誤算の株主還元策
Q&Aでわかる! 今さら聞けない半導体の基本
国産CPUが世界首位に 米中抜いたスパコン「富岳」
「富岳」 の開発責任者に聞く 自動運転車などに技術を普及させたい
ソフトバンクグループからアーム買収 エヌビディアが狙う覇権
[INTERVIEW]米半導体2トップを直撃
●エヌビディア 日本代表兼米国本社副社長 大崎真孝 ●インテル 日本法人社長 鈴木国正
薄れる王者インテルの強み アップルも自社開発に転換
スバルの新世代 「アイサイト」 日の丸半導体が消えたわけ
次世代車向け半導体開発で合弁 トヨタ・デンソーが総力戦
半導体製造工程を全解剖 装置と材料に強い日本勢
EUV露光装置で地殻変動 転落するキヤノン、ニコン
[INTERVIEW]3トップが激白! 半導体業界勝利の方程式
●SCREEN ホール ディングス 社長 廣江敏朗 ●SUMCO 会長兼CEO 橋本眞幸 ●レーザーテック 社長 岡林 理
『会社四季報』最新号でランキング 半導体関連の有望会社を探せ!
今後の注目点は? 半導体銘柄は「勝ち馬」に乗れ!

第2部 米中半導体戦争
中国は半導体覇権を握れるか 深刻化する米中対立の全貌
ファーウェイ禁輸の苛烈 巻き込まれる日本企業
米国新工場の見返りは何か 台湾TSMCの深謀と勝算
日本優位の材料に迫る影 韓国が急ぐ脱日本の真相
[INTERVIEW]「中国はDRAMを量産化する」 ●中国紫光集団高級副総裁 坂本幸雄
[INTERVIEW]識者が読む半導体の地政学 「中国は米国に妥協せざるをえない」 ●英オムディア シニアコンサルティング ディレクター 南川 明

スペシャルリポート
中国を知り尽くす異能の外交官 垂 秀夫 新中国大使
中国が最も恐れる男が語る 日中関係のリアリズム
リアリストが見据える中国との国力差

注目閣僚に聞く
総務相 武田良太
携帯の利益率は高すぎ 電気・水道並みにしたい

ニュース最前線
ANAが希望退職実施へ 雇用維持貫くJALとの差
カインズを抜いてトップに 「DCM・島忠」連合の思惑
施工不良発覚のレオパレス スポンサー決定でも茨の道


連載
|経済を見る眼|菅政権「成長戦略」への期待と課題|早川英男
|ニュースの核心|ワクチンへの過度な期待は禁物|大崎明子
|フォーカス政治|菅政権の信頼揺るがす学術会議問題|牧原 出
|グローバル・アイ|横行する忖度、隠蔽、ウソ・・・ トランプが壊した情報機関|ケント・ハリントン
|INSIDE USA|強まる米国の対中強硬姿勢 菅首相を待つ厳しい踏み絵|ジェームズ・ショフ
|中国動態|習体制でイノベーションは可能か|益尾知佐子
|財新|雑貨チェーン「メイソウ」が米国上場へ輸出ブームで医療用資材が供給過剰に
|マネー潮流|コロナ後の景気回復は「急速」?|森田長太郎
|少数異見|デジタル庁への期待と注文
|知の技法 出世の作法|記者出身の柿崎明二氏が 首相補佐官になる論理|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|本来存在しない能力差が 差別で現実となりうる|原 朋弘
|トップに直撃|リゾートトラスト 社長 伏見有貴
|人が集まる街 逃げる街|東京都品川区 武蔵小山|牧野知弘
|クラシック音楽最新事情|年末の風物詩『第九』 多彩な編曲版にも注目|田中 泰
|「英語雑談力」入門|turn around|柴田真一
|話題の本|『SDGs思考』の著者 田瀬和夫に聞く ほか
|ゴルフざんまい|優勝への重圧は 無観客でも変わらず|小林浩美
|経済クロスワード|半導体
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|

 

訂正情報

「週刊東洋経済2020年10月24日号」(10月20日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
46ページ ■エヌビディア・大崎真孝日本代表のインタビュー

【誤】われわれが展開してきたGPUは演算能力では(インテルが強い)CPUより劣るものの、多くの情報をリアルタイムで並列処理できることが強みだ。
 ↓
【正】われわれが展開してきたGPUは、多くの情報をリアルタイムで並列処理できることが強みだ。