週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年11月1日号最新号
2025年10月27日 発売
定価 950円(税込)
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【第1特集】銀行員人生の明暗

マイナス金利政策が解除され、好業績に沸く銀行界。行員が浮かれているかと思いきや、彼らの顔は冴えません。人事制度改革によって銀行の常識が覆り、将来が見通しづらくなっているからです。第1特集「銀行員人生の明暗」では、現役世代で進む脱年功の状況や、新卒採用の異変など、銀行員キャリアの明と暗に迫っています。第2特集は「日本アニメ狂騒曲 第2幕」、産業リポートでは「半導体商社“再編・淘汰”」を掲載しています。
 

【第2特集】日本アニメ狂騒曲 第2幕


北米での熱狂はさらなる成長劇の序章か、バブルか。
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担当記者より

特集「銀行員人生の明暗」を担当した田島です。これまで何度も銀行に関する特集を制作してきましたが、今回はあえて「銀行員」に焦点を当てました。というのも、メガバンクに勤める40代後半の男性の表情が浮かなかったからです。マイナス金利政策の解除によって銀行界に大きな追い風が吹いているにもかかわらずです。

なぜなのか。詳しく話を聞いてみると、その原因は銀行が進めている人事制度改革にありました。「われわれが銀行に入ってから今に至るまで“常識”だとされてきたことが根底から覆されており、安泰と思っていた将来が急に見通せなくなった」と男性は嘆きます。

その代表が、銀行にはびこっていた「年功序列」です。人的資本経営が叫ばれる中で銀行も積極的に取り組んでおり、年功序列から卒業して実力主義に向かおうとしています。これまでであれば大過なく過ごしていれば「いつかは支店長」などと言われてきましたが、今後は実力があり成果を収めなければかなわない夢となってしまいます。

そしてもう一つが出向の縮小です。役職定年を迎えると役職を失うばかりか給与も激減してしまいます。そうした事態を避けるための温情として、銀行は出向制度を運用してきました。ところが金利の上昇で攻めの経営に転じたことで人手不足が顕著になり、シニア層にも残ってもらおうと出向を縮小しているわけです。ただ銀行に残ったからといって幸せとは限りません。こうした現状があるため男性は思い詰めていたのです。

そのため今回の特集では、人事制度の詳細を徹底解説。現役行員を取り巻く環境の変化について詳しくご紹介。合わせて新卒の獲得競争についてもお伝えします。銀行員と言えば高給取りで安定した職業の代表格でした。しかしその根底が今、揺らいでいます。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。『セブン&アイ 解体へのカウントダウン』が小社より24年12月発売。

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
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    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
金利復活で新時代到来!
銀行員人生の明暗
[プロローグ]常識覆す大手行の人事制度改革 銀行員が抱える困惑と葛藤

Part1 現役編
出世と給与の争奪戦が幕開け

メガバンク「脱年功」の衝撃
3メガ銀人事担当役員インタビュー 改革の目指すゴールは
 三菱UFJ銀行 CHRO 南 宏/三井住友フィナンシャルグループ CHRO 小林 喬/みずほフィナンシャルグループ CHRO 人見 誠
「出向」の終焉で激変する シニア行員「第二の人生」
[匿名座談会] たそがれ行員が激白 「俺たちに居場所はあるか」
20代で支店長への道も! 地銀人事改革の光と影

Part2 新卒編
初任給アップ、配属ガチャ解消
銀行就職戦線に大異変
本誌独自! 人気のメガ、穴場の地銀 銀行の新卒「採用」倍率
資格取得に明け暮れる 若手行員の理想と現実

[エピローグ]銀行員は数年後不要に!? AIエージェントの衝撃
年間20億ドル投じる JPモルガンの挑戦

第2特集
日本アニメ狂騒曲 第2幕
[インタビュー]KADOKAWA 執行役 Chief Anime Officer 工藤大丈
  KADOKAWAアニメ責任者が語る 「最重要市場 北米」の現在地 
[ルポ]ロサンゼルス 「アニメの巨大祭典」で見た熱狂
日本からはアクセスできない“アニメの秘境” 「クランチロール」が見せつけた迫力

産業リポート
ルネサス・三菱系が台風の目
半導体商社“再編・淘汰”

[インタビュー]
■マクニカホールディングス 社長 原 一将
  圧倒的トップは揺るがない 規模を追う再編に疑問
■加賀電子 社長 門 良一
  業界再編を主導していく 積極的なM&Aに挑戦
■リョーサン菱洋ホールディングス 社長 中村守孝
 「明快な2番」を狙う もっと規模を大きくしたい

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|西野智彦の金融秘録|90年代「危機の扉」①
|21世紀の証言|三菱UFJフィナンシャル・グループ 元副社長 田中正明 その2
|編集部から|
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今後の発売スケジュール

  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号