週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年10月25日号最新号
2025年10月20日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】大解剖 新章NTT 


国内外に34万人の従業員を擁するNTT。民営化から40年となる節目の今年、グループ再編の最終章としてNTTデータグループの完全子会社化に踏み切りました。さらに、人事改革、新規事業開拓といった、さまざまな変革も推し進めています。何がどう変わり、これからどこに向かうのか。知られざる巨艦の実像に迫ります。深層リポートは「アメリカの農業は米中貿易戦争に耐えられるか」。『起業の天才!』の著者・大西康之氏の連載「新約 ソニー」もこの号から始まります。
 
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担当記者より

特集「大解剖 新章NTT 変わる巨艦の行方」を担当した茶山瞭です。

郵便、放送、そして通信――。いずれも国家主導で全国各地をカバーする制度が整備され、長期にわたり、日本の情報インフラを支えてきた存在です。しかしその分、時間の経過とともに設備は大規模になり、組織は硬直化のリスクを抱えやすいといえます。インターネットやスマートフォンの普及で社会のデジタル化が進む中、郵政や放送は強固に構築されたシステムの制約が大きく、時代の変化への対応に苦慮してきたように見え、近年は一部でガバナンス上の問題も目立ちました。

本特集で取り上げたNTTも、国が整備を主導した固定電話網を担う公社を起源とし、かつて単一事業を維持する「官僚より官僚的」な社風と評されることもありました。しかし昨今、トップの強いリーダーシップのもと、事業、組織風土ともに変革が進んでいます。グループ再編や海外展開、人事大改革、メタル固定電話縮退、新規事業育成といった、さまざまな動きが加速しています。島田明社長は「つねに自分たちが変化することで、小さな優位性を維持していく必要がある」といいます。

今年はちょうどNTT民営化から40年の節目、NTTデータグループの完全子会社化で主力事業会社が再結集する歴史的な転換点を捉え、NTTの知られざる過去、現在、未来を明らかにすべく、NTTグループの幹部、現役社員やOB、産官学の有識者の方々と、数多くの業界関係者から話を聞いて回りました。取材にご協力頂いた方々には、この場を借りて感謝を申し上げたいです。

特集では、グループ体制や人事制度の構造改革、成長領域グローバルの将来像、成熟期を迎えた国内通信市場の今、次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の可能性など、さまざまな切り口で巨大グループの実像をひもときました。NTTデータグループ、NTTドコモ、NTT東日本・西日本、NTTコミュニケーションズ(現NTTドコモビジネス)と各主力会社の視点を網羅した点も特徴です。

なぜNTTは変わる必要があり、どう変わってきたのか。そしてこれから、どこに向かっていくのか。もがき続ける巨艦の姿は、多くの示唆を与えてくれると思います。ぜひ、お手に取り下さい。

担当記者:茶山 瞭(ちゃやま りょう)
1990年生まれ、大阪府高槻市出身。京都大学文学部を卒業後、読売新聞東京本社に入社。岐阜支局や経済部に在籍し、 司法や調査報道のほか、民間企業や中央官庁を担当した。 2024年に東洋経済に移り、通信、SIer、データセンター業界を取材。メディア、都市、AIといった領域にも関心がある。趣味は、読書、散歩、旅行。学生時代は、理論社会学や哲学・思想を学んだ。

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

​​特集
変わる巨艦の行方
大解剖 新章NTT

序章
グループ再結集

変わるグループ企業の序列 NTT再編の過去・現在・未来
国産クラウドはなぜ外資に敗れたのか 看板を降ろした名門NTTコム

第1章
グローバルIT企業へ

買収と再編の末に一体化 海外展開を背負うNTTデータGの実力
REIT化で投資サイクルを早める データセンター巨額投資の成否
[トップインタビュー ]  NTTデータグループ社長 佐々木 裕
 「もっと大きな船に乗り、グローバルで本格的に戦う」

死語になる「最早組」、37歳の部長誕生… 激変!人事制度大改革の全貌

第2章
飽和する国内通信市場

シェア縮小と品質問題に苦しむ 稼ぎ頭ドコモの悩み
地球25周分の銅線に熱視線 NTT東西「埋蔵金」の行方

第3章
成長領域の模索

デバイスメーカー目指すが競争激化 光電融合IOWNの勝算
エヌビディアも光電融合に参戦
[トップインタビュー ] NTT社長 島田 明
 「つねに変化することで優位性を維持する」


深層リポート
大豆の最大輸出先 中国向けがゼロに
アメリカの農業は米中貿易戦争に耐えられるか

[インタビュー]「最大の課題は"生産過剰"」 アイオワ州立大学教授(農業経済学) チャド・ハート

NEWS&TOPICS最前線
車両停止拡大の日本郵便 逆境の中で放った一手
シャープが失った「らしさ」 鴻海流・経営改革の功罪
アサヒGHDで影響続く サイバー攻撃被害の深刻度


連載
|経済を見る眼|「成果に時間がかかる政策」の重要性|柳川範之
|トップに直撃|ボストン・コンサルティング・グループ アジア・パシフィック会長 佐々木 靖
|フォーカス政治|高市新総裁で力得る「リフレ派2.0」|軽部謙介
|マネー潮流|日銀保有ETFは事実上のSWF?|阿部健児
|中国動態|着々と進んでいる智能化戦争の準備|小原凡司
|Inside USA|トランプ政権下で民主党が「格段に不人気」な理由|会田弘継
|少数異見|「黄金株」への懸念が現実になった
新連載 新約ソニー|第1章 はじめに言葉ありき|大西康之
|ゴルフざんまい|今年の優勝争いはまさに戦国時代|小林浩美
|月1連載 ドキュメント|伝説のマンション王国 大京
|ヤバい会社烈伝|某運送会社 残業300時間 寝るんじゃねえ!|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|89年、プラハの神学生はアメリカ流の価値観の信奉者に|佐藤 優
|話題の本|『マンションポエム 東京論』の著者 大山顕に聞く ほか
|名著は知っている|『平和の条件』[下編]
|ビジネスと人生は絶望に満ちている|希望名人ゲーテのひそかな絶望|頭木弘樹
|西野智彦の金融秘録|「プラザ」から「バブル」へ⑥
|21世紀の証言|三菱UFJフィナンシャル・グループ 元副社長 田中正明 その1
|編集部から|
|次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号
  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号