翌年の政治・経済などを展望する恒例の年末・年始大予測号。今年は特別企画として100のテーマを3号にわたって徹底分析していきます。第1弾は政治・経済編。アメリカのトランプ大統領に振り回され続けた世界。片や、実力未知数の高市政権に運命を託す日本。2026年はより大きな混乱に見舞われるのでしょうか? 国内の政治から、景気、金融政策といったマクロ経済、そして米中間選挙やガザ、ウクライナ戦争といった海外情勢まで、大胆に予測します。
特集「2026年大予測 政治・経済編」を担当した野村明弘です。
いつもの年ですと、年末・年始の合併号は「◎◎◎◎年大予測」との大特集を組んで、200ページを超える特大号をつくりますが、今年は趣向が違います。年末年始の3号(つまり3回)にわけて、「2026年大予測」の特集を掲載します。
1号目は、12月15日発売 「政治・経済編」
2号目は、12月22日発売 「株・マネー編」
3号目は、1月5日発売 「業界・企業編」です。
3回に分けたぶん、それぞれの号が「濃い内容」になっています。
さて1号目の紹介です。アメリカの民主主義の危機や、トランプ大統領とヨーロッパの亀裂、中ロの接近などなど、2025年は世界の戦後秩序が崩壊した年として記憶されそうです。では、2026年はどんな年になるのでしょうか。
企画会議では、従来以上に日本国内の記事を読みたいとの声が相次ぎました。政治の流動化や「責任ある積極財政」を掲げる高市政権の発足など先行きに対する不安ゆえでしょう。私はすぐにかつての財務省事務次官の嘆きを思い出しました。彼曰く「インフレで国の実質債務負担が減るならこんなに楽なことはない。でも、それでは国民に迷惑をかけるから財政健全化を訴えているのが……」と。
企業収益や賃金の名目値が膨らんだ結果、今年度の税収上振れは2.9兆円に上ります。この額は消費税を1%強増税したのと等しいですが、今の日本で消費税率引き上げは政治的に困難でしょう。テレビからは「物価高で家計のやり繰りが大変」という街の声が聞こえてきても、政府を直接批判する声は少ない。増税とは明らかに反応が違います。
消去法的にこの道を選んでしまった日本にとって大切なのは、インフレを奇貨として、債務とバランスを取って歳出を工夫することなのだと思います。
1号目の特集は、国内外の政治・経済を総ざらいしています。手に取っていただければ幸いです。
担当記者:野村 明弘(のむら あきひろ)
編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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