週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年7月26日号
2025年7月22日 発売
定価 950円(税込)
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【第1特集】解読! 地政学

関税、ウクライナ問題、イランへの空爆。アメリカのトランプ大統領が世界を混乱させています。その一挙手一投足は第1次政権以上に予測不能です。本特集ではアメリカと、翻弄される世界の現在地を読み解いていきます。ゲーム理論でトランプサイドの関税交渉のスタンスを分析するほか、アメリカ国民の考えや、中東のパワーバランス、ウクライナ・ロシア戦争の行方、中国、欧州、北朝鮮の動向など、世界の今の情勢を俯瞰しながら解読できる内容になっています。第2特集は「新生ドンキ 爆勝への道」です。
 

【第2特集】新生ドンキ 爆勝への道


40代プロパー2人が率いる「異端児」はどこまで勝ち続けるか。

担当記者より

特集「解読!地政学』を担当した兵頭輝夏です。

特集の準備を始めた4月末からの2カ月間、米国の関税交渉やイラン空爆など、世界は目まぐるしく動きました。寝ている間に世界情勢が一変しているかもしれず、朝のニュースをチェックするのが恐い毎日でした。

今回の特集では、まず各国経済に混乱をもたらす「トランプ関税」の読み解き方に迫りました。

世界最大の輸入国である米国が高関税を課せば、その影響は世界中に波及します。各国との関税交渉は数度にわたり延期され、いまだ決着に至っていません。日本企業もサプライチェーン再構築という課題を突き付けられています。

「予測不能」と評されるトランプ氏の次の一手をどう読むか。本誌では、米国務省で主席アナリストを務めた経験を持つ経済学者が「ゲーム理論」を用いて、トランプ外交の読み解きを試みています。

経済にとどまらず、政治的・軍事的にも波乱が続きそうです。

トランプ氏は再選前から「戦争を終わらせる」と訴え、3月にはウクライナに譲歩を求めました。ところが7月には一転、ロシアのプーチン大統領の戦争を止めない姿勢に業を煮やしたのか、ウクライナへの武器供与再開を表明しました。

6月には、イスラエルを支援する形で米国がイランを空爆。歴代政権の介入主義を否定する形で当選したトランプ氏が、矛盾した行動をとったようにも見えました。トランプを支持する人々の間でも、戦争をめぐって対立が表面化し、米保守思想の複雑さが浮き彫りになりました。

特集では、こうした米国内外の動きを第一線の識者と共に多角的に分析。締め切り直前まで変化する情勢を反映し、世界の「今」を読み解く視座を詰め込みました。激動の「トランプ時代」を生きるためのヒントがここにあります。ぜひご一読ください。

担当記者:兵頭 輝夏(ひょうどう きか)
東洋経済記者。愛媛県生まれ。 東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年入社、食品・飲料メーカーを担当。温泉や銭湯が好き。

目次

第1特集
トランプ時代の新・世界地図
解読! 地政学

PART1
変貌する米国

[対談]日本の生き残り方は トランプ地政学を理解せよ
元駐米大使 杉山晋輔×双日総合研究所 チーフエコノミスト 吉崎達彦

元米国務省チーフエコノミストが解説 ゲーム理論で読み解く関税交渉の行方 エミリー・ブランチャード
[インタビュー]元NSAのトップが語る 米軍戦略の要諦
「トランプ氏の行動は一貫している」元米国家安全保障局長 マイケル・ロジャース

ポピュリズムの爆発が思想地図を変えた グローバル経済に異議 トランプを支える保守思想の今 会田弘継
米政権内には複数のグループが並立 米中関係は中長期では遠心力 佐橋 亮
トランプは中国の軍備増強にどう対峙するか 米軍の軍事戦略「アジアシフト」の本気度 新垣 拓
[インタビュー]「米中ロ“三国志”の時代がやってきた」 前駐中国大使 垂 秀夫

PART2
トランプと向き合う世界

(中国) 脅威を強調する「国家安全保障白書」の中身 「トランプは好都合」という事情 山本勝也
(中東) さらば、バイデン政権の理念外交  「人権より経済」で再接近する米国と湾岸諸国
(中東) ボスコンもガザ占領計画に関与? イスラエルが突き進む強硬路線 曽我太一
(ロシア) じわじわと進むロシアの占領地拡大 プーチンが終えられない軍事侵攻 山添博史
(欧州) 米国との間で深まる「過去にない対立」 欧州に求められる米国抜きの未来への備え 鶴岡路人
(北朝鮮) 核をめぐる米朝協議の可能性 自信深める「核保有国」次の一手 坂井 隆

第2特集
新生ドンキ 爆勝への道
訪日外国人の4分の1が来店 インバウンド快進撃のからくり
40代同期入社新ツートップに聞く ドンキをこれからどうするか?
 ドン・キホーテ 次期社長 鈴木康介×パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 次期社長 森屋秀樹

NEWS & TOPICS最前線
FIFA“電通外し”を翻意 W杯放映めぐる交渉の内幕
池袋西武、半年遅れで開業 見えないヨドバシとの連携
安川電機の「株価10%安」 米関税以外にも下落要因


連載
|経済を見る眼|トランプ大統領が大学を攻撃する意図|苅谷剛彦
|ニュースの核心|収支は1兆円のプラス。INCJから何を学ぶか|山田雄大
|トップに直撃|ヤマトホールディングス 社長  長尾 裕
|フォーカス政治|参院選後の政権枠組みはどうなるか|塩田 潮
|マネー潮流|個人情報の行政相互利用を進めよ|中空麻奈
|中国動態|中国経済が陥る中央集権化の代償|梶谷 懐
|財新 Opinion&News|政府が自動車業界に品質確保を指示した裏側
|グローバル・アイ|トランプが「影のFRB」をつくる本当の狙い|ケネス・ロゴフ
|FROM The New York Times|窮地に立つホワイトカラー AIが職を奪う「真の相手」
|少数異見|「黄金株」に気をつけろ
|ヤバい会社烈伝|黒澤明『生きる』 ラストの瞬間 描けてますか?|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法 112|佐藤 優
|経済学者が読み解く現代社会のリアル|コロナワクチンの教訓 「ナッジ」はどうあるべきか|佐々木周作
|話題の本|『能力主義をケアでほぐす』 著者 竹端寛氏に聞く ほか
|名著は知っている|『文章読本』[中編]
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