第1特集「最高値相場で勝ち抜く株」の編集を担当した並木です。
3カ月に1度、恒例の「会社四季報」との連動企画です。四季報は9月18日の発売予定ですが、それを待たずして「週刊東洋経済」の読者の皆様にそのエッセンスをお届けします。特集で掲載している5つの「超先取りランキング」は、すべて四季報の最新予想を活用したものです。ランキングを通じて、日本の上場企業の最新の姿を感じ取っていただければと思います。
私が当社へ入社したのは1997年、山一証券が倒産した年でした。「失われた30年」の中で記者稼業を続けてきた私にとって、「株高」や「バブル」は縁遠い世界でした。金融危機や大型倒産など、その後始末ばかりを取材してきたように思います。
ですので、私には昨今の株高や「最高値更新」をスンナリとは受け入れられないところがあります。過熱感がある、反動が来る、すぐにそう思ってしまいます。しかし、今回改めて取材をして、これまでの株高とは違う局面にあると感じるようになりました。
それはシンプルな話ですが、インフレが進む中での株高、ということです。食品から身回り品、さらには物価から最も遅行すると言われる家賃まで上昇しています。インフレなのだから株価も上がって当然。もちろん、株価には企業業績から国内・米国景気、財政・金融政策などさまざまな要因が絡みます。また、AIや半導体など特定の業種に人気が集中していることには注視が必要です。ですが、今回の株高はそれなりの根拠があると感じました。
個別銘柄に投資する場合、重要なのはインフレ下で実力を発揮できる企業かどうかを見極めることではないでしょうか。経営者がインフレにマインドセットして、積極策に打って出る準備をしているか。今後、企業業績はさらに二極化するように感じます。有望な企業を発掘するヒントに、ぜひ本特集を手にとっていただければ幸いです。
担当記者:並木 厚憲(なみき あつのり)
これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。『週刊東洋経済』副編集長、ニュース編集部編集長などを経て、現在編集局次長。