週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2025年11月22日・29日合併号最新号
2025年11月17日 発売
定価 950円(税込)
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【特集】商社 大異変


ウクライナ危機後の資源価格高騰は商社の業績を一気に押し上げましたが、ここに来て資源市況や為替、金利の激変が商社の経営に異変を引き起こしています。「勝ち筋」を見つけ、戦い抜くのはどの商社か。伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、住友商事、丸紅の5大商社に、豊田通商、双日を加えた「7大商社」の現状や今後をリポートします。三菱商事の洋上風力撤退の独自検証や各社の投資戦略など、総合商社を徹底的に掘り下げます。産業リポートは「ローム 巨額投資の代償」と「ショパンコンクールの舞台裏」です。
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担当記者より

特集「商社 大異変」を担当した森創一郎です。

今期、資源市況が振るわず、総合商社では2年前の「純利益1兆円台」といった景気のいい話は聞こえてきません。AIや半導体関連企業のように今をときめく業種ではありません。ではなぜ、今、総合商社なのでしょうか。

三菱商事は8月、中西社長自身が陣頭指揮を執った国内洋上風力事業からの撤退を決めました。インフレや為替、金利の激変で風車を中心に購入予定の機材価格が高騰し、事業の採算が見込めなくなったからです。一方で、LNG事業の拡張、アメリカのシェールガス企業の大型買収を画策するなど、「王者復活」に向けてフル回転しています。

コツコツ型の伊藤忠商事は2月にセブン&アイホールディングスへの出資は断念したものの、セブン銀行への出資を決め、返す刀でジェネリック製造会社の買収にも動きました。純利益、時価総額、自己資本利益率で商社のトップに立とうとコツコツと業績を積み上げています。

資源投資で失敗を重ねてきた住友商事は9月に3000億円にのぼる資金でアメリカの航空機リースへの投資を決めたかと思えば、翌10月には傘下のSCSKへのTOB(株式公開買い付け)を発表しました。投資額は8800億円!

総合商社は絶えず、あっと驚くような話題に事欠きません。「なぜ今」というより、「常に注目していなければならない」という業界なのです。

総合商社は「コングロマリット」(事業の複合体)であることをもって「総合」なのですが、ビジネスのわかりにくさゆえに市場からの評価が下がる「コングロマリットディスカウント」にさらされ続けます。

「投資の神様」と言われるウォーレン・バフェット氏は割安に放置された商社株に注目しました。バフェット氏に「わかりやすい」と言わしめた総合商社のビジネスモデルをいかに世界の投資家に説明していくかも大きな課題です。

こうした話題を詰めこんで、7大総合商社の「今」をレポートしました。各社のトップには今の課題にどう向き合うか、今後、事業をどう伸ばしていくのか、直接聞いています。ぜひ一読ください。

担当記者:森 創一郎(もり そういちろう)
1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリーライター、放送記者を経て2020年から東洋経済記者。東洋経済編集部副編集長。

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
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    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

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ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
各社の経営課題を総点検
商社 大異変


PART1
名門の岐路

洋上風力プロジェクト崩壊の真相 三菱商事 安値受注が招いた蹉跌
三菱商事 2027年度に「純利益1.2兆円」 カギ握るLNGと大型買収
[インタビュー]三菱商事社長 中西勝也
 「事業環境が激変する中でも総合力で成長を図っていく」

得意の資源分野にアクセル 三井物産に問われる“対話力”
[インタビュー]三井物産社長 堀 健一
 「資源の事業は競争力があり かつ予見性も高い」

ファミマの金融ビジネスに変化も 伊藤忠 セブン銀行出資で新戦略
[インタビュー]伊藤忠商事社長 石井敬太
 「医薬品事業のM&Aで新たな商流に到達できる」

PART2
注力事業の成算

市場の信頼を獲得できるか 住友商事 失敗しない投資戦略
時価総額10兆円構想の現場 丸紅が医薬品販売で攻勢へ
「アフリカ通」の新社長 豊田通商の大胆投資戦略
植村社長が語る新天地 双日 ウズベキスタン1500億円投資の成算
新潮流 新たな“金脈”に前のめり IPビジネスになだれ込む5大商社

[スペシャルインタビュー]伊藤忠商事会長 岡藤正広
 「新しいことをしないと商社の魅力は衰える」

産業リポート
ローム 巨額投資の代償
[インタビュー]ローム社長 東 克己
 「投資ストップの判断が遅れ ちょっとやりすぎた」

産業リポート
日本勢も奮闘 ショパンコンクールの舞台裏
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