週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2021年1月9日号
2021年1月4日 発売
定価 730円(税込)
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【第1特集】富裕層 マネー学

コロナ禍は空前のカネ余りをもたらしました。思い切ったリスクを取れば、ハイリターンを得ることも夢ではありません。お金の殖やし方を知り尽くす富裕層は今、どのような資産運用をしているのでしょうか。

不動産や仮想通貨、未上場株まで期待リターン別のハイリスク投資法から、まだ使える意外な節税術、M資金詐欺など富裕層を狙った甘いワナの数々まで徹底取材しました。
 

【第2特集】Go To イートの大矛盾

苦境に立つ飲食店を支援する目的のキャンペーン。だが、聞かれるのは不満や悲鳴だ。矛盾を招いた背景とは。
 

【第3特集】誤算の電力市場改革


電力の安定供給の確保を目的に創設された容量市場が高値入札に揺れている。制度設計に誤算はなかったのか。

担当記者より

特集「富裕層の“マル秘”マネー学」を担当した田島靖久です。お金持ちは、やはり一般人には想像もつかないような世界に住んでいるようです。いや、むしろそんな“ぶっ飛んだ”世界に住んでいるからお金持ちになったのかもしれません。

ある40代のIT企業経営者が手掛けているのは「ランドバンキング」。大規模スポーツイベントなどの開催が予定されているような東南アジアの土地を安値で購入して、開発に伴い値が上がったところで売却。数千万円で購入した未開発の土地が、数億円に化けることもあるそうです。

また、あるFXトレーダーは、毎日午前9時から午前2時まで、ひたすらディスプレーに映し出される為替チャートを見つめながら過ごして、年間5億円ものリターンを得ているそうです。

クラシックカーに投資する富裕層も増えています。中でもフェラーリは人気が高く、古くなるほど値が上がっていくとのこと。「趣味と実益を兼ねて投資している」と都内のある会社経営者は話していました。

ここに紹介したのはほんのごく一部。これまで長期の分散運用を行っていた富裕層も、新型コロナで「いつ何が起きてもおかしくない」と、より大きなリターンを得られるような短期投資に向き始めているようです。こうしたハイリスク投資を誌上で紹介するということは今まであまりなかったのですが、知る人ぞ知る世界を覗き見するような気持ちで、ぜひお読みください。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
東洋経済記者。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2019年10月から現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
富裕層 ㊙マネー学
ハイリスク商品に果敢に挑戦 「肉食系富裕層」の実態
政府の支援策で資産価値上昇 コロナ禍で膨らむ富裕層資産

Part1 富裕層の儲け方
期待リターンで富裕層を4つに分類 資産運用マル秘テクニック
①地主タイプ 債券で高利回りを狙う
メガバンクの100倍以上の銀行も 定期預金で殖やす裏技
②中小企業社長タイプ 不動産・金で高み目指す 
③外資エリートタイプ 仮想通貨・FXで荒稼ぎ 
ヘッジファンド投資の正体
一獲千金狙いで大人気 フィンテックサービスの真価
④IPO長者タイプ 大化け期待の未上場株
[座談会]富裕層の知られざる実態
得手・不得手を知り使い分けよう アドバイザーの上手な選び方
富裕層向け事業は最後の成長分野 猛攻勢かける証券会社

Part2 富裕層が使うカネ
月の教育費100万円もザラ 金持ちの金遣いと金銭感覚
できるだけ多く残したい! 富裕層必見の意外な節税術
アンチエイジングから絵画まで 富裕層の知られざるブーム
富裕層が人知れず通う店

Part3 狙われる富裕層
あの敏腕経営者もコロッとだまされた 富裕層が陥った甘い儲け話
大企業のトップがだまされ続ける 「M資金詐欺」の底知れぬ魔力
マッチングサイトを利用した詐欺も横行 富裕層を夢見る男が落ちた罠

第2特集
飲食店から上がる悲鳴 Go To イートの大矛盾
出口の見えない大苦境で挫折 倒産は過去最多、飲食店の受難
始まった外食テックの覇権争い 「グルメサイト頼み」の終焉
データ比較でわかる大手の実力 明暗分かれた食べログとぐるなび

第3特集
誤算の電力市場改革 異例の高値入札の波紋
容量市場、何が問題だったのか

スペシャルリポート
「村上ファンドがやってきた」 物言う株主に怯えるゼネコン

注目閣僚に聞く
行政改革担当相 河野太郎
「デジタル化の本当の目的は人に寄り添う行政の実現だ」


ニュース最前線
HISが上場来初の赤字 旅行の「店舗販売」に限界感
コロナ禍でも新規路線就航 ANA、国際線増便の狙い
ガンダムがとうとう動いた バンナムの周到「知財戦略」


連載  
|経済を見る眼|コロナ禍が生んだナショナリズムの行方|苅谷剛彦
|ニュースの核心|米バイデン新政権の対中政策は「人権」が軸に|中村 稔
|トップに直撃|ワコールホールディングス 社長 安原弘展
|フォーカス政治|なぜ菅氏はGo Toで判断を誤ったか|歳川隆雄
|グローバル・アイ|コロナ禍の「丑年」株式相場 ブルとベア、軍配はどちらに?|ジム・オニール
|INSIDE USA|同盟国に苦しい決断迫るバイデンの「対中包囲網」|ジェームズ・ショフ
|中国動態|習近平の「人民に優しい」技術戦略|益尾知佐子
|財新|5Gスマホ販売増で自動車産業が苦況石化業界でエチレン増産計画相次ぐ
|マネー潮流|レアディザスター・モデルの陥穽|森田長太郎
|少数異見|電動化は乗用車よりトラックだ
|知の技法 出世の作法|菅義偉政権の政局対応と外交・安全保障政策のズレ|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|最低賃金引き上げ時は家賃の変動にも注意せよ|山岸 敦
|リーダーのためのDX超入門|「取締役会」の布陣でわかるDXの実行力|山本康正
|人が集まる街 逃げる街|大阪府 東大阪市|牧野知弘
|クラシック音楽最新事情|ウィズコロナの音楽界は 我慢と革新の1年に|田中 泰
|話題の本|『経済学の堕落を撃つ』著者 中山智香子氏に聞く ほか
|経済クロスワード|2021年の社会・経済
|「英語雑談力」入門|unleash|柴田真一 
|ゴルフざんまい|夢は世界へ 若手の活躍に期待|青木 功
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|