週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2021年2月20日号
2021年2月15日 発売
定価 730円(税込)
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【第1特集】アートとお金

長引くコロナ禍の下でアート市場が活況を呈しています。値下がりリスクが小さい「安全資産」として、アート作品が世界の富裕層によって購入されているのです。現代アートや古美術の一大コレクターとして知られる実業家・前澤友作氏はそのブームの象徴的存在です。

オークションでは日本人アーティストの作品に驚くような価格高騰が起きています。世界的なカネ余りの中で注目度が高まる、アートをめぐる経済の最前線を追いました。
 

【第2特集】カメラは生き残るか


スマホの普及などに押され、デジタルカメラの市場はピークの約14分の1に。「カメラ三強」は正念場を迎えている。

担当記者より

特集「アートとお金」を担当した印南志帆です。1月末の土曜日、東京・代官山で開催されていたある現代アートのオークション会場を訪れました。そこで目にしたのは、デニムにスニーカーといったカジュアルな出で立ちをした30~40代とおぼしき人々が、まるで代官山ショッピングのついでにふらりと立ち寄りましたといった感じでオークションに参加している様子。会場の外には、立ち見客もズラリ。オークションといえば、着飾った老夫婦などが集うきらびやかな雰囲気を勝手にイメージしていた私は、その意外な光景にびっくりしました。

今回のオークションでは、オンライン上での入札もあわせて約650点もの作品が夜までずっとオークションにかけられていました。奈良美智、草間彌生、バンクシーといった世界的に著名な現代アーティストの作品ばかりではなく、ポップな画風の国内の若い作家の作品が次々と、まるで魚市場で行われているまぐろのセリのように、予想落札価格の数倍もの価格で落札されていきます。まさにバブルの様相を呈していました。

いま、現代アートの世界に多くの若いコレクターが参入してきています。発端はZOZO元社長の前澤友作氏。彼が「ビジネスに成功した実業家がアートを買うこと」を世に知らしめたことから、若手のIT起業家がこうしたオークションに参加したり、個展に行って作品を買ったりすることがちょっとしたブームになっているのです。IT企業の経営者の間では、アートの同好会が複数あるようです。

なぜクルマでも不動産でもなく、アートなのでしょうか。若手作家の作品の中には、わずか数年間で何倍もの価格で取引されるようになったものもあり、その値上がり率は不動産の比ではありません。コロナ前は、世界各地で開催されるアートフェアに、世界中の実業家がアートを通してフランクにコミュニケーションができる社交の場がありました。さらには「カルチャーへの造詣が深い」という社会的イメージ…。日本の若手実業家が魅了されるのも納得です。

今回の特集は実は、1年前から提案していた企画が実現したもの。日本人にとってアートは美術館で見るものという印象すら印象が強いかもしれません。ただ、見るだけではもったいない。東洋経済の読者の皆さんがマーケットの世界を知れば、アートはもっと面白くなるはず。そう確信しました。ぜひお読みください。

担当記者:印南 志帆(いんなみ しほ)
東洋経済記者。早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。日用品、化粧品、百貨店などの流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機業界の担当を経て、現在は『週刊東洋経済』編集部兼ゲーム業界記者。平安時代の歴史が好き

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
緩和マネーで爆騰! アートとお金

Part1 アートビジネス編
コロナ禍で名作の争奪戦に 7兆円アート市場の狂騒
2大オークション会社に聞く 「2021年のアート市場」
「国内人気の作家、世界で戦えるか」 クリスティーズジャパン社長 山口 桂 
「10年に1度クラスの作品が市場へ」 サザビーズジャパン社長 石坂泰章
ダ・ヴィンチに510億円の理由 作品の値段はこう決まる
アート市場の陰の主役 美術商の仕事の実態
会社員がイチから始める アート投資の極意5カ条
著名ギャラリーが推薦 予算30万円で買える注目作家
100円からバンクシーが買える勃興するアートベンチャー 
愛好家に聞く「アートの醍醐味、何ですか?」 
「僕のような買い方は本当に勧めない」 精神科医 高橋龍太郎
「社員が芸術家に接し、多様性を知る」 マネックスグループCEO 松本 大
相続税は? 減価償却対象? アートと税金Q&A
「香港と並ぶアート市場に」 行政改革担当相 河野太郎
衰退する「画壇」の権威 作家のキャリア今昔物語
「『欲望と理性』の両輪で美術界は前に進んでいく」 現代美術家 会田 誠
  
Part2 美術館編
「脱マスコミ依存」が急務 コロナ禍の美術館の難題
「デジタルで稼ぐ術、まだ模索中」 森美術館館長 片岡真実
番組開始から45年! 「日曜美術館」の舞台裏
ファンづくりに知恵を絞る 私立美術館の「懐事情」
美術館への寄付で債務返済 スルガ銀行創業家の錬金術
「アート思考」に企業が注目 美大生の進路に異変

Part3 教養編
作家・中野京子が選ぶ 見るべき西洋美術10作
美術史家・山下裕二が選ぶ 日本美術を知る5作
美術ジャーナリスト・鈴木芳雄が選ぶ 話題の現代アート8作

第2特集
徹底解剖「三強」メーカーの生存戦略 カメラは生き残るか
ミラーレスで圧倒的存在感 ソニーが破壊したデジカメ市場
カメラ事業、どう立て直す?
「台数は追わない 勝負はこれからだ」 ニコン常務執行役員 池上博敬
「カメラでやれることはまだまだある」 キヤノン常務執行役員 戸倉 剛

ニュース最前線
ソニー、初の純利益1兆円 次の成長占う新中計の行方
突然の「クラブハウス」流行 日本上陸までの舞台裏
ビットコイン価格が急騰 相場を支える機関投資家


連載  
|経済を見る眼|東京五輪開催をめぐる損得勘定|早川英男
|ニュースの核心|「ゲームストップ騒動」と米株式市場の行方|中村 稔
|発見!成長企業|竹内製作所
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|東京大学次期総長 藤井輝夫
|フォーカス政治|正統性なき政権が招く政治への絶望|山口二郎
|グローバル・アイ|老練なバイデン大統領の清新にして骨太な政権運営|エリザベス・ドリュー
|INSIDE USA|始まった規制強化のうねり 新政権で増す門番役の重み|安井明彦
|中国動態|周到な「春節大移動」封じ込め|富坂 聰
|財新|車載用半導体の供給不足が深刻化風力発電 数字急増のからくり
|マネー潮流|米個人投資家の結託は何が問題か|木内登英
|少数異見|話題の音声SNS「クラブハウス」にご用心
|知の技法 出世の作法|反政権を巧みに封じ込めた ロシアのプーチン大統領|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|人の移動を促す政策に 失業者増大リスクの懸念|笠原博幸
|リーダーのためのDX超入門|アマゾンから学ぶ後継者選びの重要性|山本康正
|話題の本|『U』著者 森 達也氏に聞く ほか
|経済クロスワード|アートとお金
|人が集まる街 逃げる街|静岡県静岡市|牧野知弘
|ゴルフざんまい|今年も好プレーで 人々に感動を|青木 功
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2021年2月20日号」(2月15日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
15ページ
40ページ
■目次での表紙写真クレジット
■記事での写真クレジット

【誤】『PixCell-Reedbuck (Aurora)』©Sandwith
 ↓
【正】『PixCell-Reedbuck (Aurora)』©Sandwich
73ページ ■話題の現代アート8作

AKI INOMATA の作品説明について
【誤】ニューヨークのエンパイア・ステート・ビル、ロンドンブリッジのように、街を象徴する作品を載せます
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【正】ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルのように、街を象徴する作品を載せます