週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2021年4月10日号
2021年4月5日 発売
定価 730円(税込)
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【第1特集】マルクスvs.ケインズ

SDGs(持続可能な開発目標)は地球環境危機を解決できるのか。脱炭素戦略のためのグリーンニューディールは有効か──。環境問題を切り口に高まる、資本主義の未来への危機感。そこで改めて関心を集めているのが、マルクスとケインズの思想です。

格差の拡大、テクノロジーとの向き合い方など、国家と社会、個人のありようが根本から問い直されている時代。難問の解決を目指して大思想家の知恵に学ぶための最新ガイドです。
 

【第2特集】「中央銀行」の正念場


異例の金融緩和が続く中、日本では市場機能や金融仲介機能の低下が深刻化。今後は米国の長期金利が世界経済へ与える影響に警戒が必要だ。

担当記者より

特集「マルクスvs.ケインズ」を担当した野村明弘です。私が在籍している東洋経済解説部では、メンバーが毎週1回集まり、いま世の中で起きている経済や政治の出来事について、2時間にもわたる激論を交わしています。そんな中でふと、大阪市立大学の斎藤幸平准教授による『人新世の「資本論」』という本が異例のヒットを挙げているという話が出てきました。今年1月のことです。

その後、解説部メンバーみんなで早速この本を読みました。私自身は2つの新しさを感じました。1つは『資本論』を著した後の晩年のマルクスは、実は資本主義の限界を論じ「脱成長」や「脱資本主義」を説いていたということ。もう1つは、マルクス論を通じて気候変動問題の真の要因と解決策を探ろうとしていること。そして私も含め、メンバーに共通していた感想は、「考え方は確かにおもしろい。でも、この思想を現実的にどう政策に落とし込むか、社会に結びつけるかとなると、ハードルは高そうだ」というものでした。

格差拡大、気候変動、テクノロジーの脅威、そしてそこへ襲ったパンデミック。ここ数年、国内外で起こった出来事によって、戦後社会が信念としてきた思想やイデオロギーが目の前で崩れ落ちています。私たちは今、いったい何を拠りどころとすればいいのでしょうか。それは本当に、斎藤氏の説く「新マルクス主義」なのでしょうか。

今回の特集は、リーマンショック以前まで世界を席巻していた新自由主義、その後復権したケインズ主義、そして、今急速に支持を拡大している新マルクス主義など、まずは過去の大思想家たちが残した経済思想や政治思想を整理しました。この中に、世界が抱えるさまざま問題の真因を探り、解決の選択肢を与えてくれるものが見つかるのではないかと考えたのです。

特集タイトルは「マルクスvs.ケインズ」としましたが、実は作り手としては、マルクス主義が正しいともケインズ主義が正しいとも論じていません。ぜひみなさんにも興味を持っていただき、こうした考えをベースに思索をめぐらせてくだされば幸いです。

担当記者:野村 明弘(のむら あきひろ)
東洋経済解説部コラムニスト、編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
マルクス vs. ケインズ 

[図解]戦後社会の信念とイデオロギーを打ち壊した「現代の焦点」
信念1 資本主義が人々の生活水準を向上させる?
信念2 世界は経済発展とともに民主化する?
信念3 テクノロジーは人類に進歩をもたらす?
解読!変貌する世界の思想マップ

15分でOK! 経済思想がすっきりわかる用語解説
有効需要の原理/所得の分配と再分配/外部経済、外部不経済/
使用価値、交換価値/協同組合/消費者主権論/大衆社会/社会主義経済計算論争

資本主義に未来はあるか
「持続可能な資本主義は実現できる」
国際基督教大学特別招聘教授、東京大学名誉教授 岩井克人

マルクス主義は現実解を示せるのか
「資本主義の グレートリセットが必要だ」
 大阪市立大学大学院准教授 斎藤幸平

[誌上講義1]マルクス「未来への構想」
『資本論』で訴えたのは人間関係の再構築だ

[誌上講義2]ケインズが起こした革命
平等こそ経済成長の源 世界恐慌下の大転換

[誌上講義3]ハイエクの中央銀行批判
貨幣発行を国が独占せず民間の競争に委ねよ
ハイエクならMMTをどう評価? 競争的貨幣発行はばらまき阻む

テクノロジーと民主主義
「A I、SNSと民主主義は共存できるのか」
ハーバード大学ロースクール 教授 ローレンス・レッシグ

[誌上講義4]アーレント「現代人への警告」
トランプ現象の本質 日常にある全体主義の闇

日本の哲人・宇沢弘文
今こそ響く思想 社会的共通資本
ベーシックインカム批判 「ばらまく」ことの落とし穴

原子力技術との向き合い方
「原子力発電の危険性を 哲学者はどう考えたか」
関西外国語大学准教授 戸谷洋志

評論家、翻訳家・山形浩生が選ぶ 「今知るべき経済思想」12冊

第2特集
「中央銀行」の正念場
バーナンキショック再来はあるか 新興国で高まる資金流出懸念
専門家に聞く 今後の金融政策とマーケット
・みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミスト 門間一夫
・UBS証券チーフエコノミスト 足立正道
・ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部長 尾河眞樹

ニュース最前線
いすゞと日野がタッグ結成 両社を結んだトヨタの思惑
LINEの情報管理に甘さ 信頼を裏切った大きなツケ
株主提案可決で経営陣刷新 創薬ベンチャーで起きた奇跡


連載  
|経済を見る眼|ギグワーカーをめぐる法整備が急務だ|太田聰一
|ニュースの核心|かかりつけ医の整備を加速せよ|野村明弘
|発見!成長企業|イーレックス
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|前田建設工業 社長 前田操治
|フォーカス政治|改めて思う「日銀の独立性」の難しさ|軽部謙介
|グローバル・アイ|先進国のワクチン独り占めはコロナ「永久戦争」への道|ダロン・ アセモグル
|INSIDE USA|縦の格差か横の文化闘争か 民主左派に見る分断の構図|会田弘継
|中国動態|会談で露呈した米中のすれ違い|小原凡司
|財新|健全なプラットフォームをどうつくるか
|マネー潮流|カーボンニュートラルの賭けは一方向|高井裕之
|少数異見|またも、正気を失いつつある日本人
|企業事件簿|闇の彼方に消えた株式|高橋篤史
|知の技法 出世の作法|「プーチンは殺人者」発言で 急速に悪化する米ロ関係|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|コロナワクチン接種開始 希望者の揺れる心にケアを|佐々木周作
|リーダーのためのDX超入門|デジタル作品を高値で売買、「NFT」とは何か|山本康正
|話題の本|『私が原発を止めた理由』著者 樋口英明氏に聞く ほか
|経済クロスワード|資本主義と思想
|人が集まる街 逃げる街|福岡県北九州市 門司区|牧野知弘
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2021年4月10日号」(4月5日発売)の広告企画ビジネスアスペクトに、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
7ページ アドバンスクリエイトの広告 1段目

【誤】「Dynamic OMO」は02年10月から自社内での運用を開始
 ↓
【正】「Dynamic OMO」は20年10月から自社内での運用を開始
3段目

【誤】02年以降、通信販売と並行して保険販売ショップを開設し
 ↓
【正】04年以降、通信販売と並行して保険販売ショップを開設し