週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2021年4月17日号
2021年4月12日 発売
定価 730円(税込)
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【第1特集】沸騰! 医療テックベンチャー

2020年に世界の医療関連ベンチャーの調達額は465億ドルと過去最高を記録しました。なんと10年前の5倍です。米グーグルやアマゾン、アップル、さらには中国の巨大IT企業もこぞってヘルスケアに進出しています。

本特集では国内のバイオ・医療ベンチャー業界の現状を徹底分析したうえ、有望スタートアップ21社を紹介。次なる成長マーケットに関心ある方は必読の最新ガイドです。
 

【第2特集】背水の百貨店


コロナ禍で苦境が続く百貨店業界。事業モデルの変革なくして生き残りの道はもはやない。

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担当記者より

特集「沸騰!医療テックベンチャー」を担当した長谷川隆です。体長1ミリメートルほどの「線虫」が、尿中のがんのにおいを識別できる。スマホのゲームで子どものADHD(注意欠陥・多動性障害)を治療する。通院しなくても禁煙治療がアプリでできる…。医療の世界で、かねて「あったらいいな」と思われていたことが、いよいよ現実になってきています。

この10年ほど、バイオ・医療分野の技術の進歩は目覚ましいものがあります。
身近な例では、新型コロナウイルス感染症が、なぞの感染症として登場してから、短期間で解析が進み、ウイルスの構造や特質が次々と明らかになりました。新型ウイルスが確認されてから、わずか1年でワクチンが実用化されました。

新型コロナに限らず、病気の予防や発見、診察、治療などで、多くの進歩があります。
なぜ、バイオ・医療分野でこうしたことが可能になっているのか?
 
まず、DNAシーケンサー(遺伝子解析装置)の進化です。遺伝子情報はDNAを構成する4種類の塩基の配列で表現されますが、DNAシーケンサーはこの配列を読み取ります。膨大な配列情報の解析にはITの手助けが必要ですが、ソフトウエアの能力が上がりました。クラウドサービスの登場で、スタートアップもこの分野に参入しやすくなりました。

1つ目と関連しますが、ITとの融合は、タンパク質の立体構造のシミュレーションが、早く、安く、正確にできるようになっています。医薬品の候補物質をつくるには、病気の原因を阻害するようなタンパク質をつくる必要がありますが、ソフトウエアの能力向上で、このタンパク質の設計図を描きやすくなりました。

3つ目は、AI(人工知能)です。膨大な画像情報や文献情報を短期間で処理し、実際に役立つようにまとめる作業にAIは向いています。例えば、これまで人の目で見ていた内視鏡の画像をAIで読み込ませ、健康な組織・細胞と、病気との違いを学習させれば、スピードアップが図れます。

そして、健康や医療は、じつはスマートフォンとの連動性がよいことです。スマホの能力が上がり、バイタルデータ(血圧、体温、脈拍などの生態情報)の測定や治療に使えるアプリが次々と開発されています。スマホに高機能なアプリを組み入れることで、大がかりな測定・治療器具が不要になりつつあります。スマホアプリはもともとスタートアップが得意とする分野で、ITとヘルスケアとの融合が進みやすい。

こうした世界を、ITの巨人たちも黙って見ているわけではありません。グーグル、アップル、アマゾンはもちろん、中国勢も医療テックビジネスに潤沢なお金をつぎ込んでいます。医療・バイオ領域に対する世界の投資額は10年前から5倍にも伸びました。

今回の特集では、国内で有望視されているバイオ・医療ベンチャーも紹介しています。沸騰中の医療テック業界の熱を感じ取っていただけると幸いです。

担当記者:長谷川 隆(はせがわ たかし)
東洋経済記者。

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目次

第1特集
沸騰! 医療テックベンチャー

Part1 グローバルの潮流
コロナ禍でマネー流入加速 沸騰する医療テック市場
マネーが集まる4つの注目トレンド
人体こそビッグデータ ITの巨人が医療を狙う理由

Part2 日本のベンチャー
医療を変える新旗手たち 有望ベンチャー21社
CureApp 世界初の禁煙治療アプリ
iCARE 法人向けの健康管理システム
メディカルノート 最適な治療に出合えるサイト
MICIN オンライン診療システムの先駆け
カケハシ 薬歴システムを起点に急成長
プレシジョン AI診察支援で誤診を減らす
JUNTEN BIO 免疫抑制剤に苦しむ患者を救う
糖鎖工学研究所 糖鎖研究のパイオニア
アイリス インフルエンザ診断を画像AIでサポート
HIROTSUバイオサイエンス 線虫を用いた尿によるがん診断
bitBiome 微生物ゲノムを単一細胞レベルで解読
Veritas In Silico mRNAを標的にした創薬
iCorNet研究所 「心臓ネット」で心機能を改善
クオリプス 阪大発、iPS細胞由来の心筋シート
アーサム セラピューティクス 脱落した候補物質を別の疾患向けに開発
ブレイゾン・セラピューティクス 脳疾患のドラッグデリバリー
ティムス 「カビ」から脳梗塞の治療薬
PRISM BioLab 化合物ライブラリーで創薬
Provigate 血糖値モニタリングで生活習慣改善
メドメイン AIで病理診断、九大・起業部発
Green Earth Institute 非可食バイオマスを化学品・燃料に

バイオ・医療ベンチャー36社 上場バイオの現在地

営業利益率59%の優等生 ペプチドリームの快進撃
「成功のカギは事業モデルの差別化」 ペプチドリーム前会長 窪田規一

苦闘する上場ベンチャーたち 経営迷走する中堅バイオ 株主の期待に応えられるか

Part3 日本の大手も参戦
「初診」の特例解禁から1年 オンライン診療の新商機
内視鏡での診断に創薬まで ここまで進んだAI活用
「創薬初期のAI活用で開発コストは劇的に低下」 京都大学大学院教授・LINC代表 奥野恭史
禁煙に加え糖尿病・うつ病も 治療用アプリがやってくる
米「ダヴィンチ」に挑む 国産初の手術ロボ登場
神戸は国内最大級の医療集積地 イノベーションを巻き起こせ

第2特集
背水の百貨店
「百貨店の"場所貸し" は加速するしかない」 J.フロント リテイリング社長 好本達也
新社長は外商強化で地方店再生 「大衆の集客」に活路なし 三越伊勢丹は富裕層を重視

ニュース最前線
日立が米IT企業を傘下に 過去最大1兆円買収の成否
野村が米国で巨額損失 新戦略の展開に漂う暗雲
ニトリ、異業種開拓の明暗占う「島忠統合」に懸念 


連載  
|経済を見る眼|人材レンタルや出向起業が経済を変える|佐藤主光
|ニュースの核心|新型コロナのゼロリスク志向と思考停止|大崎明子
|発見!成長企業|クボタ
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|りそな銀行 社長  岩永省一
|フォーカス政治|「コロナ総選挙」は五輪閉幕後が有力|塩田 潮
|グローバル・アイ|強まる独裁国の技術覇権主義 求められる民主ハイテク同盟|アナス・フォー・ラスムセン
|INSIDE USA|弱小のアジア系抗議デモ BLMとの違いはなぜ?|瀧口範子
|中国動態|中国で広がるH&M「不買運動」|伊藤亜聖
|財新|電池交換式EVが中国で普及の可能性ドイツvs.日本、中国の自動車市場で火花
|マネー潮流|「いつか来た道」をたどるのか|中空麻奈
|少数異見|閑散としたオフィスから見えてくるもの
|企業事件簿|「M資金」詐欺 荒唐無稽な話に乗せられる経営者|高橋篤史
|知の技法 出世の作法|中国・ロシアの接近が対米・対日で意味するもの|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|認可保育所の利用調整に意図せざる「逆効果」|山口慎太郎
|リーダーのためのDX超入門|日立・パナの巨額買収はDXに有効か|山本康正
|話題の本|『放射能の人類学』著者 内山田 康氏に聞く ほか
|経済クロスワード|医療テック
|人が集まる街 逃げる街|埼玉県 八潮市|牧野知弘
|ゴルフざんまい|いつもの風景が戻った大きな第一歩|小林浩美
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