週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2021年5月15日号
2021年5月10日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201330515

【第1特集】コンサル全解明

大学生の就職人気で銀行や商社を抜き、トップに躍り出たコンサルティング業界。企業のDX化の追い風を受けて急成長しています。大手コンサルだけでも新卒・中途合わせて年間5000人以上を採用しており、市場規模は間もなく1兆円に届くとみられています。

しかしクライアントへの具体的な提案内容、サービスの価格などは秘密のベールに包まれています。その実態を明らかにするとともに、コンサルを上手に使う方法を伝授します。
 

【第2特集】サイバーセキュリティーの大問題


国内外の企業に対するサイバー攻撃は後を絶たない。いざというときの備えを怠ると痛い目に遭う。

担当記者より

特集「コンサル全解明」を担当した田島靖久です。都内のある中堅企業が一昨年、創業以来初めて、全社的なデジタル改革のコンサルをあるコンサルティング会社に依頼しました。支払った報酬は数千万円。3カ月かけて出てきた提案書はすばらしく見えたものの、横文字の専門用語ばかりでいまひとつよくわからない。おまけにその内容は、業務と組織の抜本的な変更を提起するものでした。結局、この会社のデジタル改革は実行に移すことができず、数千万円の費用は水泡に帰すことに…

これと似たような話をあちらこちらで耳にするようになりました。ここにきて急に企業がDX(デジタルトランスフォーメンション)を求められるようになり、コンサルティング業界がかつてないほどの活況を呈しています。社内にITの知識を持つ人材はいない、しかも、会社全体を変革できるような視点が必要になるとなれば、コンサル会社を頼らざるをえないと、需要が高まっているのです。

ところが、冒頭の会社のように、依頼する側にも一定程度の知識がなければ、頭のよさそうな人たちの言われるがままになって思うような成果を得られず、高い費用が無駄になる可能性も。コンサル会社の側もさすが、顧客をつかんだらあの手この手で離そうとはしません。提案だけでは終わらず、その実行のためにシステムを導入・実装し、運用までも担うケースが増えてきています。

コンサルとはどのような仕事をしている人たちなのか、コンサルティング料はどうやって決まっているのか。今回の特集では、そんなベールに包まれたコンサル業界の全貌を明らかにしています。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
コンサル全解明

激化する人材争奪戦 沸騰するコンサル業界
「ヤクザなやつら」が劇的に変化 30年で市民権得たコンサル

Part1 コンサル儲けのからくり
業務内容と報酬を大解剖 「人」と「期間」で賢く稼ぐ
コンサルの合弁会社が増える理由 成果に“コミット”する報酬の新体系
石垣スーパーシティにも触手 地方創生に本気のコンサル

Part2 激化するコンサルバトル
戦略、IT、会計系が大混戦 仁義なき陣取り合戦
競合先に移籍した幹部を提訴 トップコンサルタントの争奪で泥仕合
大手6社のトップが語る「勝ち残り戦略」
アクセンチュア 日本法人社長 江川昌史
ボストン コンサルティング グループ 日本共同代表 内田有希昌
デロイト トーマツ コンサルティング 社長 佐瀬真人
PwCコンサルティング 代表執行役CEO 大竹伸明
EYストラテジー・アンド・コンサルティング 社長 近藤 聡
KPMGコンサルティング 社長兼CEO 宮原正弘
武器は親身さと安さ 中小向けコンサルの奮闘

Part3 コンサルの天国と地獄 
大手企業の裏に“黒子”あり 巨大案件実現の舞台裏
給料は高いのに辞める人が続出 「出世」と「給料」の表と裏
高収入の裏にある異常な生活 コンサルタント残酷物語
押し売り経営指南から整理屋まで “エセコンサル”にご用心
インサイダー情報も飛び交う? OB・OG会が重宝されるワケ
退職者、早期退職者も選択肢に 顧問という生き方

企業を成長させるためのコンサルの賢い選び方

第2特集
サイバーセキュリティーの大問題
もしもあなたの企業が脅されたら サイバー攻撃で狼狽 企業が陥りやすい失敗
新車が販売できない事態も? セキュリティーに新たな基準 自動車業界に2つのハードル

巻頭リポート
インフラ投資と多国籍企業増税 バイデンが放つ米国再建策
「米国製造業再興への第一歩 税制度の公平化にも期待」
マサチューセッツ大学アマースト校教授 ジェラルド・A・エプシュタイン

ニュース最前線
温暖化ガス46%削減を表明 目標達成へ険しい道のり
ガソリンエンジンと決別 ホンダが決めた大胆戦略
パナソニックの「巨額買収」 成長回帰への拭えぬ不安


連載  
|経済を見る眼|世界の成長を取り込む資産運用の重要性|柳川範之
|ニュースの核心|国の責任を問う福島原発訴訟、最高裁で決着へ|岡田広行
|発見!成長企業|シンバイオ製薬
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|INPEX社長 上田隆之
|フォーカス政治|今こそ求められる内政の「司令塔」|牧原 出
|グローバル・アイ|経済を壊す企業減税のわな バイデンの法人増税は正しい|ダロン・アセモグル 
|INSIDE USA|AIが差別を加速する? FBの広告に見る大問題|肥田美佐子
|中国動態|高層ビル規制に乗り出した事情|田中信彦
|財新|半導体チップの値上げが相次ぐ理由造船大手が過去最大の契約受注
|マネー潮流|円高時代に逆戻りする気配|佐々木 融
|少数異見|日本は管理社会を目指すべきなのか
|企業事件簿|地方有力企業の虚飾|高橋篤史
|知の技法 出世の作法|日米首脳会談で見えた 日本外交のプラグマティズム|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|大名屋敷のあった土地では企業の生産性が上がる?|山﨑潤一
|リーダーのためのDX超入門|社長の危機感で加速したSOMPOの変貌|山本康正
|話題の本|『さよなら朝日』著者 石川智也氏に聞く ほか
|経済クロスワード|コンサルティング業界
|人が集まる街 逃げる街|岩手県西磐井郡 平泉町|牧野知弘
|編集部から|
|読者の手紙 次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号
  • 10/20(月) 週刊東洋経済 2025年10月25日号