週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2021年7月17日号
2021年7月12日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】ソニー 掛け算の経営


純利益が初めて1兆円を突破したソニーですが、電機部門ではまだリストラが継続中です。次の狙いは、電機とエンタメ事業のシナジーを生み出す「掛け算の経営」です。吉田憲一郎社長はソニーを「テクノロジーに裏打ちされたエンタメ企業」と再定義しています。

本特集では半導体から“YOASOBI”まで、ソニーを支える強いビジネスを総点検。さらに絶好調の裏に潜むリスクや「ポスト吉田」の人事まで、ソニーの今を徹底分析しました。

担当記者より

特集「ソニー 掛け算の経営」を担当した佐々木亮祐です。今年4月から電機業界の担当となり、今回が初めて手掛ける特集でした。担当が変わると、その業界構造から個別企業の詳細に至るまですべてイチから勉強しなければなりません。そのような中で、ソニーを取材すればするほど、前担当の外食業界にもよく似た企業があったことに思い当たりました。

スターバックスです。スタバに接客マニュアルがないのは有名な話ですが、それはサービスの基本精神だけを共有して後はすべて現場に任せているため。同じようなことをソニーにも感じました。あるOBのインタビューで、ソニーは「選択と集中」ならぬ「放任と撤退」を行う企業だという話がありました。トップダウンで事業の進退を決めるのではなく、現場で自由にやる中で見込みがないと判断すれば撤退してよいというのです。大きな企業理念を共有していれば、あとは現場の一人ひとりが自分には何ができるかを考える。ソニーとスタバにはそんな共通点があるようです。

今年4月にソニーは「ソニーグループ」と社名を変更しましたが、持株会社であるにもかかわらず「ソニーホールディングス」としなかったのは、横のつながりを大事にしたかったからという話もあります。そういえば、スタバでも本社のことを「ヘッドオフィス」ではなく「サポートセンター」と呼びます。上意下達の組織ではなく、あくまでも本社は黒子役という意向の表れです。

コーヒーを売るのではなく、コーヒーを楽しむ時間を売るスタバ。ハードを売るのではなく、ハードとソフトの掛け算で展開していくソニー。ソニーのことを知るほど、スタバとの共通点が見つかります。それは、強い企業の共通点でもあるようだとつくづく実感しました。

担当記者:佐々木 亮祐(ささき りょうすけ)
1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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目次

特集
ソニー 掛け算の経営
[図解]グループ体制への変更で何が変わる? ソニーの現在地
エレキが本社から分離/「掛け算」事業が続々誕生
エンタメ関連の出資が相次ぐ
[インタビュー]「異業種間の技術交流が肝 エレキ中心からエンタメや金融も主役に」 ソニーグループ 副社長兼CTO 勝本 徹

第1章 掛け算の経営
グループの技術が総結集 EV開発の真の目的
[インタビュー]「半導体を売って終わりじゃない」 ソニーグループ常務 AIロボティクスビジネス担当 川西 泉
業績不振時も研究開発費率は維持 特許が示すソニーの強み
ネトフリ、ディズニーと配信契約 協業で狙う映画の収益安定化

第2章 絶好調事業の今後
自社スタジオ発のヒットが続出 止まらないPSの快進撃  
YOASOBIだけじゃない ヒットが生まれ、育つ必然
  [インタビュー]ソニー・ミュージックエンタテインメント YOASOBI「生みの親」に直撃  
「SNSへの投稿は自分たちで」屋代陽平
「セオリーを壊し新しいものを」山本秀哉
イメージセンサーで首位独走 半導体「日本一」の持続力
ビリビリに出資し中国市場を深耕 海外アニメ市場を制覇せよ
評価次第で給与に大きな差 入社1年目から「実力主義」
時価総額はソニーの4分の1 パナの「失敗の分岐点」

第3章 ソニーの死角
絶好調は続くのか 忍び寄る3つのリスク
復活ソニーの「次」をどう描く 「ポスト吉田」は誰だ
[インタビュー]元ソニーの経営学者が語る
「吉田社長のロジカルさは強みであり、最大の弱み」 早稲田大学ビジネススクール 教授 長内 厚
将来性と問題点を探る ソニー株は“買い”か?
[インタビュー] 「ソニーのライバルは、元から松下ではなくバンダイでしょ」 ソニー・ミュ ージックエンタテインメント元社長 丸山 茂雄

追悼 中西宏明 経団連前会長
豪腕リーダーの責任感 2つのイフと残された宿題

スペシャルリポート
100社の決算を総まくり 格差鮮明で地銀再編続く
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新連載 異見百見
菅政権が目指す「早期に1000円」の現実味 最低賃金の大幅引き上げ、是か非か
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ニュース最前線
追い込まれての社長辞任 不正ただせぬ三菱電機
セブン、北米重視を鮮明に 見えない国内成長の道筋
兜町の大家「平和不動産」 株主が問うた東証との蜜月


連載 
|経済を見る眼|政権の政策スタンスの変化を見逃すな|小峰隆夫
|ニュースの核心|ポストコロナに長期停滞を脱するには|大崎明子
|発見!成長企業|スパイダープラス
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|パーソルホールディングス 社長 和田孝雄
|フォーカス政治|文明の転換期に政治は何ができるか|山口二郎
|中国動態|習近平と若者、共鳴する「自信」|益尾知佐子
|財新 Opinion&News|中国EVメーカーが車載用電池不足で悲鳴
|グローバル・アイ|気候変動の巨大金融リスク 「緑の白鳥」を監視せよ|ヘレン・レイ
|Inside USA|MSとアマゾンが提携 GAFAが狙う次の市場|山本康正
|FROM The New York Times|コロナ禍の新インフレリスク FRB、金融政策の死角とは
|マネー潮流|気候変動対策に関与する日銀の課題|木内登英
|少数異見|「持たざる経営」を生かせる個人、生かせない企業
|ゴルフざんまい|全米女子オープンの優勝者が日本から!|小林浩美
|知の技法 出世の作法|クレムリン文書が示す 米ロ首脳の冷えた関係|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|「児童手当」の拡充は 母親の労働供給を減らす?|佐々木 勝
|話題の本|『どのアメリカ? 矛盾と均衡の大国』著者 阿川尚之氏に聞く ほか
|経済クロスワード|ソニー
|人が集まる街 逃げる街|東京都中央区 月島|牧野知弘
|編集部から|
|先週号の読まれた記事 次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2021年7月17日号」(7月12日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
53ページ ■ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの放送事業の利用者について

【誤】視聴者の総数は約13億人に達する
 ↓
【正】加入者の総数は約9億人に達する