週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2021年8月21日号
2021年8月16日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】「コロナ後経済」の大難問


コロナワクチンの接種が進み経済再開に沸く米欧中と、回復の鈍かった日本。そこへ変異型ウイルス「デルタ株」の猛威が襲っています。東京五輪後には「リベンジ消費」が始まるといったポストコロナの経済回復シナリオは、大きな修正を求められています。

ニューノーマルの下での勝ち組企業はどこか。マンション価格は下がるのか。金融マーケットはどうなるのか。そして医療逼迫のリスクは――。秋以降の動きを21テーマで大予測します。
 

担当記者より

特集「『コロナ後経済』の大難問」を担当した井艸恵美です。この特集が校了を迎えようとしていた7月下旬、東京都の新型コロナウイルスの新規陽性者数が初めて3000人を超えました。8月に入っても感染拡大は衰える兆しを見せるどころかさらに深刻化。医療現場からはこれまで以上に切実な声が上がっていました。それでも、帰宅してテレビをつければ明るい五輪の話題で持ちきりでした。この危機的な状況がはたしてどれだけの人に伝わっているのでしょうか。ずっと新型コロナと闘う医療現場の取材を続けてきましたが、今回ほど現場と世間とのギャップを感じ、もどかしい思いをしたことはありません。

実は、この特集で取材を始めたころ私は、今年4~5月に大阪や兵庫でコロナ治療に当たっていた先生方を取材していました。第4波の大阪では医療崩壊が現実のものとなっていました。重症患者向けの病床が埋まり、重症患者が軽症患者向けの病棟にも溢れ出て、軽症者が入院できずに自宅療養になる患者が増加した、というのが当時の状況です。

ところがそんな話を聞いている只中にも、足元東京の状況は刻々と変わっていきました。今や第4波の大阪とは比較にならないほど数は大きく、深刻です。

7月上旬に1000人程度だった自宅療養者の数は、その後1カ月で10倍以上に跳ね上がり、現在は2万人近くまで膨れ上がっています。さらに1万人を超える感染者が「入院調整中」とされ、待機を余儀なくされています。現在の東京では、中等症であっても入院が困難です。第4波の大阪では、残念ながら自宅療養中に亡くなられた方が十数人出てしまいましたが、今回の東京はいったいどうなるのでしょう。想像さえできません。

8月2日に政府が「これまで原則入院としていた中等症の患者を自宅療養させる」という方針を発表しました。私はその数日前に、厚生労働省の専門家会合を取材していましたが、そのような話は一つも出てきませんでした。政府分科会でも話はなかったといいます。あまりにも唐突な発表に大混乱が起こりましたが、すり合わせを行う時間もなかったほど、追い詰められていたということなのでしょう。

これを書いている今も、感染者は増え続けています。とにかく感染拡大が止まることを祈るばかりです。

担当記者:井艸 恵美(いぐさ えみ)
群馬県生まれ。上智大学大学院文学研究科修了。実用ムック編集などを経て、2018年に東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部を経て2020年から調査報道部記者。

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目次

特集
「コロナ後経済」の大難問
<世界経済>ワクチンとデルタ株、時間との戦い 世界経済再開の大試練
<日本経済>有力エコノミスト18人の日本経済予測 回復は限定的、構造改革が急務
<コロナ後に狙える株>ニューノーマル時代の勝ち組企業を探す
『会社四季報プロ500』&『株式ウイークリー』、2編集長の「推し銘柄」  

<ポストコロナ 新常態を探る 21のギモン>
■マクロ経済
[01] 米国主導の世界株高 金融マーケットの好調はいつまで続くのか
[02] 資金繰り支援の先 中小企業の倒産はこれから増えるのか
[03] 労働政策の抜本転換が必要 コロナ後の賃金・雇用はどうなるのか
[04]「途上国のワクチン生産へ融資 税や社会保障の必要性も痛感」 アジア開発銀行 総裁 浅川雅嗣
[05]「バブル崩壊後に備えて 不況時に強い投資先を探せ」 投資家 ジム・ロジャーズ
[06] コロナ対策で国民からそっぽ 衆院選間近! 菅政権はいつまで持つのか 政治ジャーナリスト 泉 宏
[07] すべてが目算狂い 東京五輪で得をした人、損をした人は誰か

■産業・企業
[08]「音楽、演劇の生の力は大きい コロナ収束でV字回復する」 ぴあ社長 矢内廣
[09]「外食産業は盛り返す 団体客相手の店は苦戦か」 FOOD&LIFE COMPANIES 社長 CEO 水留浩一
[10]「空室率の上昇は止まる リモートワークは難しい」 CBRE日本法人 社長兼CEO 坂口英治
[11] 問われる店の価値 自動車オンライン販売は拡大するか
[12]「乗客数はコロナ前に戻らない 郊外人気を追い風にする」 東急電鉄 社長 渡邊 功
[13] 働き方改革の柱 普及ゆえに問題も テレワーク族は栄えるか
[14] 通販需要で建設ラッシュ 物流施設は過剰にならないか
[15] 旅行・出張自粛中 海外との往来解禁はいつか
[16] 金融緩和でマネー流入 五輪が終わり、マンション価格の高騰は終わるのか

■医療
[17] 中等症で自宅療養も デルタ株が猛威 医療逼迫はどうなる
[18] 医療資源の偏在 課題とされてきた病院再編は進むのか
[19] 従来株より強力 コロナワクチンはデルタ株に効くのか
[20] 副反応への評価 コロナワクチン 死者700人をどうみるか 
[21] 飲み薬が焦点に 重症化防ぐ最後の砦 コロナ治療の新展開
    
産業リポート
ゼネコン再編ののろしか? 大和ハウス工業 異例人事の舞台裏
[インタビュー]ゼネコン再編 私はこうみる 大和ハウス工業 社長 芳井敬一/大成建設 社長 相川善郎

ニュース最前線
夏休みも戻らぬ空の賑わい 2強と中堅の格差浮き彫り
日本製鉄「笑顔なき」最高益 待ち受ける2つの課題
過熱する電池への投資合戦 トヨタが慎重姿勢貫く真意


連載  
|経済を見る眼|五輪の好機を生かせず、コロナ対応の無策|佐藤主光
|ニュースの核心|日銀「気候変動オペ」に漂う危うさ|中村 稔
|発見!成長企業|シキノハイテック
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|エフエム東京 社長  黒坂 修
|フォーカス政治|皇室を「観光資源化」する菅氏の真意|歳川隆雄
|中国動態|中国が台湾侵攻能力を誇示する真意|小原凡司
|財新 Opinion&News|中国半導体「SMIC」の深刻な社内対立
|グローバル・アイ|陰る中央銀行総裁の威光 「世界の救世主」も今や昔|ハワード・ デービス
|Inside USA|全米初のベーシックインカム コロナが変えた社会の認識|瀧口範子
|FROM The New York Times|宇宙も「アマゾン化」するか ベゾスが拓く新フロンティア
|マネー潮流|揺るがない日本の「インフレ期待」|森田長太郎
|少数異見|日本は「お得意さん」を大切にしているか
|知の技法 出世の作法|ロシア首相の択捉島視察が 北方領土問題に与える意味|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|ビジネスの出会いは コロナ禍でどう変化したか|西田貴紀
|話題の本|『生きのびるための流域思考』著者 岸 由二氏に聞く ほか
|経済クロスワード|東京五輪とポストコロナ
|人が集まる街 逃げる街|高知県 高知市|牧野知弘
|ゴルフざんまい|今年の男子ゴルフは 各世代で楽しみ倍増|青木 功
|編集部から|
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