週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2021年10月16日号
2021年10月11日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201331017

【特集】実家のしまい方


親が残した家屋を子供が持て余した結果、空き家問題が全国で深刻化しています。空き家は維持費だけで年20万円はかかり、解体すれば100万円超が必要になる「負動産」。人口流出が進む地方では処分の方法も限られます。今や全国の7戸に1戸が空き家になりました。

誰もが直面する「実家の片付け」問題について、1円でも高く売る方法から遺品整理の心得までハウツーを満載。関連する法律や空き家予備軍の多い地域のデータもカバーした決定版です。
 

担当記者より

特集「実家のしまい方」を担当した大野和幸です。今回、できるだけ生の声を聞こうと、事前に実家についてのアンケートを取り、4600人以上の方から回答がありました。

高度成長期のよき時代を生き、物を捨てられない親と、合理的に捨てたい子どもとの葛藤。田舎で隣の家と境界線を巡ってのゴタゴタ。親が死んで遺産分割の協議になったら、初めて現れてきた腹違いの兄弟。年老いた母が認知症となり、セルフネグレクト(自己放任)で家じゅうがゴミ屋敷のようになってしまった、という声も聞かれました。実家を巡ってはそれほど悲喜こもごものドラマがあります。

思うに、同じ相続でも、現金・預金や都会の不動産は子どもたちが“獲り合い”、逆に田舎のボロで価値のない家は子どもたちが“押し付け合う”という、まったく反対の光景があるようです。

日本全国にある空き家は849万戸。これは総住宅数の13.6%で、7戸に1戸の割合です。空き家になる原因としては、親の死亡で子どもが実家を受け継いだり、親が要介護で実家から老人ホームに移ったりしたものの、その後に誰も住んでいないというケースが多い。その意味では、高齢化や核家族化、インフラの老朽化、都市への人口集中など、老いた先進国が抱える“金属疲労”を、空き家問題は象徴しているように感じます。

今特集では、実家の片付けで実際に役立つノウハウから、大規模修繕に直面するタワマンの未来まで、幅広く実家に関するテーマを取り扱っています。ぜひお手に取ってご覧下さい。 

担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
東洋経済新報社入社後、精密、コンピュータ、通信、銀行、自動車、エネルギーなどの業界を担当。2014年7月からニュース編集部編集長。東洋経済オンライン編集部長、週刊東洋経済マンスリーエディション編集長を経て、現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
実家のしまい方
[図解]実家という"負動産" 空き家増殖のメカニズム
「実家の片付け」4600人アンケート

第1章 もはや「負動産」! 実家の片付け
片付けられない親子の葛藤 誰もが実家に悩んでいる
維持費だけで年20万円が必要に 空き家にのしかかる負担 上田真一
固定資産税の負担も大きく変わる 特定空き家になると税金は6倍
遺品整理をプロに頼めば数万円から 家に残す物は1%でいい 内藤 久
古い家はアスベスト除去に注意 解体には100万円超も 竹内英二
「実家を1円でも高く売る方法」 6つのQ&Aで解説
価格・立地・築年数・業者選びまで ハウツー教えます! 山本健司
必ずしも不便=不人気とは限らない 街再生に必要な場の魅力 中川寛子
[インタビュー] 「大都会の事故物件はこうして発生する」 事故物件サイト管理人 大島てる

第2章 空き家列島、"老いる"ニッポン
登記義務や遺産分割など進む法整備 空き家解消に国も動く 藤戸康雄
30年後の大規模修繕をどうするのか タワマンは限界集落になる 榊 淳司
ニュータウンは息を吹き返すが... 大規模団地が沈んだ歴史 櫻井幸雄
イトーピアがブリリアに変貌する舞台裏 老朽マンション「再建記」
実家にこもる“子ども部屋おじさん” 「8050問題」で親子共倒れも
相続で不動産を手放す人も増加 高級住宅街・世田谷が 向き合う「水害リスク」 長嶋 修
移住人気剝げ、地域経済復活探る 熱海バブルが災害で暗転 伯耆原良子
キャンプ人気で買い手が殺到 山林購入で直面する甘くない現実 田中淳夫
新興戸建てベンチャーの鼻息 "仕入れ戦争"の過激な現場
地方だけでなく首都圏も危うい 【地方別】【都心距離別】空き家予備軍率ランキング 野澤千絵

スペシャルリポート
生殖ビジネスの光と闇 求められる国のルール作り

ニュース最前線
三菱電機、調査報告で露呈 「言ったもん負け」の文化
楽天、銀行上場で資金確保 携帯事業は「背水の陣」
アステラスの開発に逆風 巨額買収会社の治験が停止


連載  
|経済を見る眼|岸田新首相に何を求めるか|佐藤主光
|ニュースの核心|中国などリスク浮上、金融正常化は遠い|大崎明子
|発見!成長企業|コンフィデンス
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|スカイマーク 社長 洞駿
|フォーカス政治|日銀法の目的規定は正しかったのか|軽部謙介
|中国動態|習体制「歴史教育」で締め付け|益尾知佐子
|財新 Opinion&News|中国がTPP加入で得られる「果実」
|グローバル・アイ|ドイツ総選挙に見えた希望 極右政党はなぜ失速したか|ヤン=ヴェルナー・ミュラー 
|Inside USA|コロナ禍で浮かび上がった 雇用の安全網の課題と教訓|安井明彦
|FROM The New York Times|豪州の潜水艦計画が引き金に 過熱するアジアの軍拡競争
|マネー潮流|新常態化するエネルギー危機|高井裕之
|少数異見|私が「仮想通貨」支持者に転向したワケ
|ゴルフざんまい|稲見萌寧選手の記録更新に期待|小林浩美
|知の技法 出世の作法|岸田文雄新首相は「首相機関」の強化に動く|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|無駄な医療費を増やす 「無償化」の思わぬ悪影響|重岡 仁
|話題の本|『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』著者 インベカヲリ★氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|編集部から|
|先週号の読まれた記事 次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2021年10月16日号」(10月11日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
70ページ ■大規模団地が沈んだ歴史
写真の説明文の(上)(下)が入れ違っていました。

【誤】高島平団地の周辺では人口減でいくつかの小学校が廃校となった(上) 多摩ニュータウンは住宅以外の施設も呼び込むなど再生図る(下)
 ↓
【正】高島平団地の周辺では人口減でいくつかの小学校が廃校となった(下) 多摩ニュータウンは住宅以外の施設も呼び込むなど再生図る(上)