週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2021年10月30日号
2021年10月25日 発売
定価 780円(税込)
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【特集】早慶上理・MARCH・関関同立


早慶上理、MARCH、関関同立と呼ばれる13の大学は、私立の偏差値上位校として人気が高く、規模も大きいため経営面でも「勝ち組」といえる存在です。その一方で、研究力では国立大学との差は大きく、国際的な知名度では埋没感が否めません。少子化が進み、コロナ禍もある中、そうした私大上位校はどこへ向かっていくのか? 各大学の「次の戦略」をリポートしました。同時に、大きく揺れ動く受験動向や、学部単位で就職などの「出口」を基にで評価した「最強の学部」を見える化しています。
 

担当記者より

特集「早慶上理・MARCH・関関同立」を担当した宇都宮徹です。恒例の大学特集ですが、今回の特集では初めての試みがあります。それは、13大学150学部の「出口評価」。5大商社、外資系コンサルなどの人気企業、公務員、大学院進学など、進路別の人数を学部別に独自調査したのです。こうしたデータは、大学単位では見かけることがありますが、各大学の学部単位で見るとその序列が変わってきます。

また、多くの人は大学受験時の偏差値は気にするものの、そこから先の進路選びにおいてはやはり大学単位のものしか見ていないのではないでしょうか。「入口」よりも「出口」の評価は重要です。たとえば、東京理科大学の経営学部は「入口」である大学受験時の偏差値は、際立って高いというわけではありませんが「出口」については上位大学に並ぶ高い評価となりました。

その一方で、入口の評価と同様、出口の評価も総じて高かったのはやはり早、慶、上智です。これらの大学が大企業や人気企業から引く手あまたである理由は、これまでの先輩が優秀な実績を残しているからにほかなりません。そう考えると、高評価の裏には10年、20年という積み重ねがあると考えることもできるでしょう。偏差値は、その年の受験事情によって上下することがある一方で、出口の評価はそう簡単には変わらないのです。

学長・総長のインタビューも合わせてお読みいただけると、その大学、学部のこれからがお分かりいただけるはずです。 

担当記者:宇都宮 徹(うつのみや とおる)
東洋経済記者。1974年生まれ。機械業界を担当。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信担当、『週刊東洋経済』編集部(連載、エンタメ、就職、大学などの編集担当)、『会社四季報プロ500』副編集長。2019年4月から週刊東洋経済副編集長。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
私大トップ校の次の戦略
早慶上理・MARCH・関関同立


[図解]トップ私立大学の現在地
早慶上理・MARCH・関関同立 大学プロフィール

■学部序列
上位校はさらに難しく 偏差値ランク20年変遷史
20年間の学部偏差値の変遷と序列
[独自診断]「出口」で評価する 最強の学部

■13大学の戦略
慶応・早稲田の目線
慶応義塾大学 ポストコロナ見据え中期計画を大幅に見直し
早稲田大学 提携を続々締結し 知のネットワーク構築

土俵は世界 上智・理科大
上智大学 学ぶ中身を自分でデザイン 新教養教育を22年から開始
東京理科大学 学部・学科再編は最終章 「世界の理科大」 になれるか

最先端目指すMARCH
明治大学 「研究の明治」シフトで国際競争力アップを狙う
青山学院大学 手厚い支援で研究者を育成 大学院の進学率も上昇
立教大学 豊かな教養を身に付ける全学部共通カリキュラム
中央大学 法学部全学年が都心へ移転 2大キャンパス時代へ
法政大学「旬な学び」実現のため 学部横断的履修を強化

関関同立の危機意識
関西大学 志願したい大学1位でも強い危機感。国際化に着手
関西学院大学 DX・AI時代を見込んだ「質の高い就労」を実現
同志社大学 リーダー育成も学び舎も主軸は「ダイバーシティ」
立命館大学 起業家・イノベーション人材を全学挙げて育成

13大学トップインタビュー
慶応義塾大学 塾長 伊藤公平 「多彩な学びを実現する大学同士の協調が必要だ」
早稲田大学 総長 田中愛治 「優秀な教員の採用が進めば世界に貢献する人材が育つ」
上智大学 学長 曄道佳明 「論理的思考と批判的思考で分析する人材を」
東京理科大学 学長事務取扱 岡村総一郎 「生活者の目線を持った研究者の育成が不可欠だ」
明治大学 学長 大六野耕作 「世界レベルの研究を国内外へ発信していく」
青山学院大学 学長 阪本 浩 「サーバント リーダー育成の教育を進める」
立教大学 総長 西原廉太 「カリキュラム磨き クオリティー高い教育を提供する」
中央大学 学長 河合 久 「学際的な学びを取り入れて、グローバル化へ」
法政大学 総長 廣瀬克哉 「学問を、自由に生きるための武器とすべきだ」
関西大学 学長 前田 裕 「大胆な数値を掲げ、学内外に本気を示す」
関西学院大学 学長 村田 治 「AI時代だからこそ人間らしい コンピテンシーも磨く」
同志社大学 学長 植木朝子 「“エンパシー”を学ぶための機会と環境を」
立命館大学 学長 仲谷善雄 「教えすぎず 自分で考える場をつくる」

[研究・人材]名物教授招聘で強化も 研究力を決める大学人材
13大学トップの所属学部
受験生の志向は? ダブル合格時の進学先

■受験
入試の特徴から読む 13私大が求める学力
学生確保のため校数増加 付属校の「内部進学力」

■キャリア
「学歴重視」はまだまだ根強い? 出世力・就職力のリアル
国立大に劣ることはない? 高まる私大のベンチャー機運
13大学出身の社長・代表者を紹介 早慶上理・MARCH・関関同立 上場企業 トップ一覧

ニュース最前線
念願のTSMC日本誘致 「半導体確保」の重い対価
ユニクロ、異例の慎重計画 試される
2つの難題
ENEOS巨額買収に漂う 再エネシフト出遅れの焦燥


連載  
|経済を見る眼|コロナ共生で活躍する社会インフラ|苅谷剛彦
|ニュースの核心|上下から対等へ。日鉄がトヨタを訴える時代|山田雄大
|発見!成長企業|日本電解
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|日立建機 社長  平野耕太郎
|フォーカス政治|岸田政権は“安定低空飛行”で推移へ|歳川隆雄
|中国動態|中国「脱炭素」がもたらす電力不足|福本智之
|財新 Opinion&News|中国のノーベル賞受賞に必要なのは自由な交流
|グローバル・アイ|成長できないBRICs 協調性なき新興国連合の末路|ジム・オニール
|Inside USA|米社会に新たな「分断」 引き金はワクチンパスポート|瀧口範子
|FROM The New York Times|ネトフリ最大級のヒット作に 人気の理由は格差への共感
|マネー潮流|どうなる? 米国の金融政策正常化|森田長太郎
|少数異見|「エビデンス」なんてなくてよい
|ゴルフざんまい|目覚ましい活躍を生むジョーンズの教え|三田村昌鳳
|知の技法 出世の作法|クレムリン情報からみるタリバン政権の具体的戦略|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|21年ノーベル経済学賞は 自然実験と因果関係に着目|近藤絢子 成田悠輔
|話題の本|『認知症の私から見える社会』著者 丹野智文氏に聞く ほか
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|編集部から|
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訂正情報

「週刊東洋経済2021年10月30日号」(10月25日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
62ページ ■最先端目指すMARCH

明治大学をめぐる記述
【誤】明治として初となるベンチャー企業・ミートエポックを創設した。
 ↓
【正】ベンチャー企業・ミートエポックを創設した。
68ページ ■立教大学 西原廉太総長の就任年

【誤】2020年
 ↓
【正】2021年
83ページ ■上場企業役員の出身大学ランキング

【誤】25位 北海道大学 国立 155人
 ↓
【正】25位 東海大学 私立 155人