週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2021年11月6日号
2021年11月1日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】ニッポン再生計画


岸田政権の下で最初の総選挙は、与野党ともバラマキ型の公約のオンパレード。日本に持続可能な成長をもたらすための道筋は示されませんでした。日本の高齢者人口は2040年ごろにピークを迎える見通しで、それに向けて社会の仕組みを大きく転換する必要があります。

低成長の下での公的債務の累増、賃金伸び悩み、企業の競争力低下など、日本の混迷は深まるばかり。その根にある昭和型の経済モデルから脱却する道を気鋭の論客たちと探りました。

担当記者より

特集「ニッポン再生計画」を担当した野村明弘です。10月31日はコロナ後初となる衆議院議員総選挙の投票日。短い選挙戦で候補者たちが繰り広げていた論戦をどのようにご覧になり、どのような票を投じましたか。

私自身は、コロナ禍の中での選挙とはいえ、与野党が力説している公約の内容があまりにも「異例」だと感じていました。10兆円単位でバナナの叩き売りをしているような、ある種の喜劇にも思えたほどです。この国をどうしたいのか、日本社会の未来について、誰も中長期的な視点で語っていないことに、危機感を覚えました。

若い人たちも同じように不安を抱えているようです。特集に合わせて、40歳以下を対象にアンケートを実施したところ、約7割の人が日本の未来を悲観していることがわかりました。

そこで、私が所属している東洋経済解説部のベテラン記者たちが、7つのテーマから日本の進むべき道を探ったのが今回の特集です。経済成長、賃金・雇用、日本型経営と産業、政党政治と民主主義、移民、環境・エネルギー、外交・安保——。今の日本が抱える課題はいずれも難しく、処方箋をズバリと示すというところまではいきませんでしたが、少なくとも方向性を示すことはできたと思っています。腰を据えて考え抜き、さまざまな意見や見方がある分野についても勇気をふり絞って原稿を執筆しましたので、その内容は読者のみなさんがぜひ評価してください。 

担当記者:野村 明弘(のむら あきひろ)
東洋経済解説部コラムニスト、編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
ニッポン再生計画
[図解] ニッポンの再生に向け 昭和モデルから脱却できるか

PART I
ニッポンは変われるか

論点1 | 経済成長 
高度成長モデルと決別を
[インタビュー] 
●学習院大学教授 宮川 努
「日本経済は次の成長への『仕込み期間』」

論点2 | 賃金・雇用 「安売り」依存やめ 人への投資増やせ
[インタビュー] 
●BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
「社会保障財源には消費増税 プラス社会保険料引き下げを」
●慶応大学大学院教授 鶴 光太郎
「企業は社会貢献で理念を共有へ 働き手は『自立』と『自律』を」
ミレニアル・Z世代アンケート 求められる政策は経済成長と少子化対策

論点3 | 日本型経営と産業 日本企業 復活への道筋
[インタビュー]
●Vitalogue Health ファウンダー&CEO 長谷川彩子
「日本が不利だとは思わない 多様性の尊重に注力する」
●atama plus 代表取締役 稲田大輔
「個が勝負できる社会づくりを教育でサポートしたい」

論点4 | 政党政治と民主主義 「持続可能な国」を造る政治を
 [対談]前衆議院議員 小川淳也 × 東京大学大学院教授 五百旗頭 薫

PART II
世界の中での立ち位置

論点5 | 移民 高度外国人材を吸引せよ
[インタビュー]
●モルガン・スタンレーMUFG証券 シニアアドバイザー ロバート・フェルドマン
「AIを使いこなすSTEMに優れた人材誘致が重要」 
 ●亜細亜大学 アジア研究所教授 九門大士
「“日本人社員化”が問題。採用目的をクリアにすべきだ」

論点6 | 環境・エネルギー 脱プラ、脱炭素 解決のカギは地域にあり
[インタビュー]岸田流「成長と分配」の実現度
●慶応大学名誉教授 竹中平蔵 
「規制改革に加え 第3次臨調の立ち上げを」
●大阪市立大学大学院准教授 斎藤幸平
「格差是正と気候変動への対策を急げ」
 
論点7 | 外交・安保 「外交の幅」をもっと広げよう
[インタビュー]
●上智大学教授 宮城大蔵
「魅力的な日本をつくる戦略立て 能動的な外交を」

スペシャルリポート
東京機械vs.アジア開発 買収防衛策めぐり壮絶バトル
 [インタビュー] 
●アジア開発キャピタル(ADC)社長 アンセム・ウォン
「輪転機事業に関心あり 経営プランも持っている」
●東京機械製作所社長 都並清史
「かつてないほど強烈な防衛策だとはいえない」

深層リポート
リニア工事で問われる大深度法の虚構と現実
武内更一弁護士に聞く地下工事の問題点 「大深度法は虚構を前提にした法律だ」

ニュース最前線
トヨタが米国に電池工場 パナとの間に吹く隙間風
農家への賠償で算定間違い 東電で多発する不祥事
米国牛価格は1年で約2倍 ミートショックの異常ぶり


連載  
|経済を見る眼|電力や医療の需要急増、どう対処するか|柳川範之
|ニュースの核心|今こそ必要な「災害ケースマネジメント」の制度化|岡田広行
|発見!成長企業|トーセイ
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|サンリオ 社長  辻󠄀 朋邦
|フォーカス政治|2大政党体制への展望は開けるか|山口二郎
|中国動態|海南島「自由貿易港構想」で脚光|田中信彦
|財新 Opinion&News|中国の「電力不足」解決策は市場化改革だ
|グローバル・アイ|気候変動がもたらす大失業 「雇用保障」は空論ではない|パブリナ・チャーネバ
|Inside USA|米政界の債務チキンレース かつてない混乱に身構えよ|ジェームズ・ショフ
|FROM The New York Times|児童ポルノ画像の検出図る アップルとEUの危うさ
|マネー潮流|悪性スタグフレーションを防ぐには
|少数異見|感情的な銀行批判で筋を曲げるべきではない
|知の技法 出世の作法|軍事的挑発を強めて 対話を求める北朝鮮|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|夫婦の働き方と役割分担は生活満足度に影響を与える|菅野早紀
|話題の本|『文在寅政権期の韓国社会・政治と日韓関係』著者 小針 進氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
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今後の発売スケジュール

  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号

訂正情報

「週刊東洋経済2021年11月6日号」(11月1日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
23ページ ■東京機械vs.アジア開発 買収防衛策めぐり壮絶バトル

ブルドックソース株の買収をめぐり、米スティール・パートナーズを「濫用的買収者」と認定した裁判所
【誤】最高裁判所
 ↓
【正】東京高等裁判所