週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2021年12月4日号
2021年11月29日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201311217

【特集】発掘! 未来の成長企業


日本の上場企業では昭和20年代に設立された会社が最多と、米国に比べて「高齢化」が顕著です。約2200社ある東証1部上場企業の時価総額を全部足しても米GAFAM5社の合計に及びません。日本市場の沈滞ぶりが際立ちますが、成長企業が潜んでいないわけではないのです。

本特集では東洋経済が独自に選んだ成長期待銘柄を対象としたランキングに加え、注目企業のトップ16人が勢ぞろい。日本経済の未来を牽引する有望株を見つけるための最高の手引書です。

担当記者より

特集「発掘!未来の成長企業」を担当した二階堂遼馬です。直近ではコロナの影響があるものの、米国の株式市場はほぼ一貫して最高値を更新する一方、日経平均は今年9月にようやく31年ぶり高値に到達。この違いの理由を両市場における成長企業の有無とみる向きは多いでしょう。

実際に岸田文雄政権の肝煎りで立ち上がった「新しい資本主義実現会議」の提言では、日本の上場企業はソニーグループやホンダなど1945~54年設立の会社が119社と最多の一方、米国の上場企業はアマゾンやフェイスブック(新社名メタ)など95~2004年に設立された会社が124社と最多との指摘があります。
 
ほかにも日本は企業年齢の老いが目立ち、ユニコーン(企業価値10億ドル超の未公開企業)の数は21年3月1日時点で米国274社、中国123社、欧州67社なのに対し日本はわずか4社にとどまります。もっとわかりやすいのは合計時価総額です。GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)と呼ばれる米IT業界の巨人5社に対し、東証1部上場企業の約2200社が束になってもかないません。

ただ、未来を牽引する成長企業は日本にもあります。本特集では、東洋経済が独自に選定した成長期待企業の中から過去3期の平均売上高成長率で集計した「新興成長企業ランキング」や、会社の代表者が現役職に就任してからの株式時価総額倍率を集計した「トップの通信簿ランキング」などを掲載しました。

個人的には成長企業を生み出すにはそのための「仕組みづくり」も重要と思っています。SPAC(特別買収目的会社)の解禁といった資本市場の制度設計のみならず、人口を増やすための移民政策や、起業家を輩出するための教育政策なども関わってくるのではないでしょうか。

今春まで約1年米国に在住し、世界中から優秀な人材を集め、優れた教育機関を持つ米国の強さを肌で実感しました。「成長企業を生み出す仕組み」というテーマも、一つの課題として追っていきたいと思います。

担当記者:二階堂 遼馬(にかいどう りょうま)
2008年東洋経済新報社入社。20年1月から休職し、米大学機関に所属。21年5月職場に復帰し、週刊東洋経済編集部副編集長。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
発掘! 未来の成長企業
[総論]民間の活力こそが生命線 掘り起こせ!未来の牽引役

PART1
躍進銘柄のトップと戦略
年収、創業家、ビジネスモデル、キャッシュフロー 成長企業の「見分け方」大全
売上高成長率で浮かび上がる 次世代を担う新興成長企業ランキング150
秘伝!成長企業発掘法 給与の変化に着目せよ!

[インタビュー]新興成長企業の未来戦略
■JMDC
「ヘルスデータの雄 狙うは売り上げ2.5倍」 JMDC社長兼CEO 松島陽介
■アンビスホールディングス 
「施設型ホスピスで急成長 目標は時価総額1兆円超」 アンビスホールディングスCEO 柴原慶一
■JTOWER
「屋外事業が次のカギ 5G追い風に高成長」 JTOWER 社長 田中敦史
■セルソース
「再生医療の症例数に強み 領域拡大、M&Aも視野」 セルソース社長兼CEO 裙本(つまもと)理人
■スパイダープラス
「30%成長は最低ライン 矢継ぎ早に施策を打つ」 スパイダープラス代表取締役CEO 伊藤謙自
■ラクス
「狙うは5年後のトップ3 成長優先で4年間は投資」 ラクス社長 中村崇則

在任期間中に時価総額を上げたのは? 「トップの通信簿」を大公開 時価総額増加倍率ランキング150
秘伝!成長企業発掘法 海外投資家の動きをつかめ!

[インタビュー]市場で評価されたトップの自信
■トリケミカル研究所
「半導体の微細化ニーズを先取りした投資で攻勢」 トリケミカル研究所社長 太附 聖
■レーザーテック
「技術者自らが営業活動 顧客との信頼が差別化に」 レーザーテック社長 岡林 理
■MonotaRO
「後出しジャンケンで勝つ 成長力がPERに表れた」 MonotaRO社長 鈴木雅哉
■日本エスコン
「街づくりが存在価値に 良質物件を確実に届ける」 日本エスコン社長 伊藤貴俊
■ヒノキやグループ
「ヤマダ傘下で経営が安定 時価総額は3倍を目指す」 ヒノキヤグループ社長 近藤 昭
■インフォコム
「『めちゃコミ』に積極投資 22年春には米国へも進出」 インフォコム社長兼CEO 竹原教博
 
起業家側にたまる証券会社への不満 政府が資金調達慣行にメス

PART2
日米メガベンチャーの実力
積極的なM&Aで業容を拡大 飛躍企業の次の一手
新規事業を続々生み出す ラクスルの「変幻自在」経営

[インタビュー]市場開拓のヒントを一挙公開
■ビザスク
「米老舗企業に照準 買うのは『成長と時間』」 ビザスクCOO 瓜生英敏
■SHIFT
「2カ月に1社買収 早業決断の奥義」 SHIFT社長 丹下 大
■オイシックス・ラ・大地
「あえて利便性で勝負せず 食品ECの事業化に挑戦」 オイシックス・ラ・大地社長 髙島宏平
■SBSホールディングス
「成長余地ある同業を買収 社長自ら費用削減を徹底」 SBSホールディングス社長 鎌田正彦

IPOの優等生と劣等生 初値からの騰落率ベスト&ワースト50
政治と株価は切り離せない 個人投資家が狙う穴場のテーマ銘柄
割高懸念の一方、テスラが猛追 GAFAM株の賞味期限
 ●マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元兵八郎
増収率と時価総額上昇率でランキング 米国に眠る「スター企業」はここだ
売り上げ増収率トップ100
時価総額上昇率トップ150

産業リポート
危機に直面した藤田観光 切迫財務脱出の全内幕
「山県公ゆかりの〝椿山荘〞は死守する」 藤田観光社長 伊勢宜弘

ニュース最前線
金融庁が販売指針改定へ 生保業界がざわつく事情
リクルートの特異な好決算 利益3倍の裏に2つの難題
武田薬品が株価に不満 忍び寄る減損のリスク


連載
|経済を見る眼|賃上げ機運に吹く2つの逆風|太田聰一
|ニュースの核心|来たれ、オタク! ある私立高校の挑戦|福田恵介
|発見!成長企業|ENECHANGE
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|三陽商会 社長 大江伸治
|フォーカス政治|外交で「花火」狙う岸田官邸の難題|歳川隆雄
|中国動態|「歴史決議」をめぐる大きな誤解|富坂 聰
|財新 Opinion&News|中国は新時代においても改革開放の旗を掲げよ
|グローバル・アイ|気候対策は米中の協力次第 その実現は国民の圧力次第|ダロン・アセモグル
|Inside USA|トヨタはEVに後ろ向き? 米国の環境派に失望感|瀧口範子
|FROM The New York Times|TikTokで静かに拡散 少女を救った「助けてサイン」
|マネー潮流|経済政策をめぐる用語の混乱|森田長太郎
|少数異見|科学者と同じように、経営者にも自由を
|知の技法 出世の作法|米中オンライン会談で見えた米国の対中姿勢の変化|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|休校後の小学生の学力は平均的に向上、格差は拡大|浅川慎介
|話題の本|『賃金破壊 労働運動を「犯罪」にする国』著者 竹信美恵子氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|編集部から|
|先週号の読まれた記事 次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 10/27(月) 週刊東洋経済 2025年11月1日号