週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2022年2月12日号
2022年2月7日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201320226

【第1特集】ゼネコン四重苦

昨年まで東京五輪の特需に沸いたゼネコン。足元でも仕事量は豊富ですが、競争の激化で工事採算が急悪化しています。資材高、人手不足、そしてアクティビストの揺さぶりなどが複合的に経営を圧迫しており、超大手から地場企業までビジネスモデルの転換は急務です。

大和ハウス工業のような新手との競合も激化する中、どう生き残り策を描くのか。キーパーソンへの取材と豊富なデータで、苦悩するゼネコン各社の「次の一手」を追います。
 

【第2特集】洋上風力 価格破壊ショック


入札3海域をまさかの総取り。三菱商事による洋上風力の価格破壊は、蛮勇か、再エネ時代の黎明か。

担当記者より

週刊東洋経済2/12号の特集「ゼネコン 四重苦」を担当した梅咲恵司です。「あれ?もしかして…」。カタカタカタとパソコンに文字を打ち込んで原稿を書いているときに、ふと気になったことがあって、上場するスーパーゼネコンの4社=鹿島、大林組、大成建設、清水建設の今期営業利益の見込み(会社計画)を電卓で足し合わせてみました。すると、「あら、やっぱり」。4社合計しても、大和ハウス工業1社の営業利益に及ばないことがわかりました。

この利益水準の差は、ゼネコンの「豊作貧乏」ぶりを象徴していると考えます。かつての建設不況期とは違い、現在の建設市場は工事が豊富にあります。大都市圏の再開発工事や国土強靭化関連の工事などが底堅く推移しています。にもかかわらず、大型工事を巡る受注競争が激化しており、ゼネコン各社の採算性は急下降していて、利益水準が低くなっているのです。

今回の特集はハウスメーカー、特に大和ハウスの躍進とゼネコンの苦戦ぶりを対比させるような形で構成しました。これは企画を立てる前に取材した中堅ゼネコンの社長が、「大和ハウスは脅威だ」と語ったことがきっかけでした。

ハウスメーカーの大和ハウスはいまや住宅だけでなく、物流施設や商業施設、ホテルなどの工事も手がけています。傘下にはゼネコンのフジタも抱えており、もはやゼネコン化しています。ゼネコンにとっては、ホテルなどの受注の際にライバルとなることもしばしば。ただ、それよりも「大和ハウスはデベロッパーとしての存在感が増している」と前出の社長は言うのです。物流施設の開発などを強烈に積極化していて、その分、施主=お客さんとしての価格交渉力(値引き圧力)が強いというわけです。

大手ゼネコンは江戸時代や明治時代に創業した老舗企業が多く、道路や橋梁、大型ビルなどで多くの建築実績を持っています。それに対して、大和ハウスの創業は戦後の1955年。扱う建築物件も、規模が比較的小さい住宅が中心ということもあり、ゼネコン関係者はハウスメーカーを格下に見る傾向がありました。

それがいまや、大手ゼネコンは売り上げ規模も時価総額も、大和ハウスにはかなわないのです。「われわれゼネコンはいままで何をやっていたのか、と言いたくなる」。大成建設の山内隆司会長が今回のインタビューで語った言葉は、とても重みがありました。

特集では、ゼネコンに襲いかかる4つの脅威、ゼネコンの生き残りへの「次の一手」といったゼネコン側の視点だけでなく、大和ハウスや積水ハウス、オープンハウスなどの強さの秘密にも迫りました。ぜひ、お手にとってご覧ください。

担当記者:梅咲 恵司(うめさき けいじ)
東洋経済記者。ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

第1特集
ゼネコン四重苦
序列激変と大和ハウスの猛攻


工事潤沢でも採算が大幅悪化 「豊作貧乏」のゼネコン
[図解] ゼネコンに襲いかかる4つの脅威

[ランキング] 追い込まれるゼネコンはここだ!
工事損失引当金が多い20社・増えた20社
政策保有株を減らした20社

Part1
「泥沼化」する受注競争 ゼネコンの台所事情

脅威① 競争激化
成長市場めぐる異業種間バトル 物流施設、開発狂騒の裏
[インタビュー] プロロジス日本法人 社長 山田御酒 「物流施設需要のピークは近い」
町役場の工事に大成建設が参戦 中小ゼネコンの深い憂鬱
脅威② 建設コストの高騰
ゼネコン業績悪化の背景 地方案件も採算性が急下降
脅威③ 若者の業界離れ
下請け業者の悲鳴 「それでは職人を雇えない」
脅威④ 株主からの揺さぶり
業界再編の引き金となるか アクティビストの攻勢続々
[ランキング]「割安&好財務ゼネコン」150社 アクティビストの次の標的は?

[キーマンインタビュー] 経営トップにズバリ問う ゼネコンに活路はあるのか?
大成建設 会長 山内隆司  「変化に適応しないと 企業は生き残れない」
大林組 社長 蓮輪賢治 「大型の技術連合へ 参加する可能性も」
清水建設 社長 井上和幸 「 環境関連事業の強化とDXの推進が不可欠」
 
Part2
激しさを増す 異業種との戦い

大成建設の元社長が大和ハウスへ  仰天人事の先のシナリオ
[インタビュー] 大和ハウス工業 副社長 村田誉之 「熱い思いに心を打たれた」
快進撃続ける大和ハウス 逆算営業で挑む年商10兆円
拡大路線に走らない積水ハウス 厳選・集中開発で勝負
「標準化」で他社を圧倒 「長谷工1強」の実像
住宅新興オープンハウスの勢い加速 「ドブ板+AI」営業のすごみ

Part3
生き残りへ待ったなし ゼネコン「次の一手」

再エネ、リニューアル、脱請負 新たな食いぶちを探せ!
都心の大型再開発 水面下での「仕込み」進めるゼネコン
東北は「需要蒸発」、北海道は「消耗戦」 地場ゼネコンの深刻事態
[ランキング] 自己資本比率が低い地域別「財務ワースト」150社

[キーマンインタビュー] 建設需要減少時代にどう備えるか?
インフロニア・ホールディングス 社長 岐部一誠 「 脱請負と再エネを強化する」
戸田建設 社長 大谷清介 「浮体式風力はいずれ主流に」

第2特集
洋上風力 価格破壊ショック
三菱商事「独占」の内幕

[インタビュー] 入札圧勝のキーマンを直撃
三菱商事 エネルギーサービス本部長 岡藤裕治 「必殺技はない、欧州での経験が生きた」

事業戦略の見直しは不可避 目算が狂ったレノバ、東電
[インタビュー] JERA幹部が明かす敗因と次への決意
JERA 執行役員 矢島 聡 「三菱商事は敵ながら見事だった」

日の丸メーカーに恩恵はあるか GE×東芝連合が担う重責
[インタビュー] GE洋上風力事業 日本代表が明かす
GE 洋上風力事業部 日本代表 大西英之 「三菱総取りを支えた『風車採用』の勝因」

ニュース最前線
丸紅が積年の課題を解決 「米穀物大手」買収の教訓
輸入遅延繰り返すおそれ 「ポテトショック」の深刻度
米本社を国内代理店傘下に ヨギボー買収劇の舞台裏


連載  
|経済を見る眼|財政健全化目標とインフレ基調の経済|佐藤主光
|ニュースの核心|FRBは金融政策に失敗したのか|中村 稔
|発見!成長企業|PKSHA Technology
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|川崎重工業 社長  橋本康彦
|フォーカス政治|岸田首相「黄金の3年」到達を阻む壁|塩田 潮
|中国動態|中国の若者に広がる自国中心主義|田中信彦
|財新 Opinion&News|深刻な中国の少子化問題、打開策はあるか
|グローバル・アイ|民主主義を壊すテクノロジー 「トランプ暴動」の芽は各国に|マヌエル・ ムニス
|Inside USA|民主党を離れるヒスパニック 次期選挙の波乱要因に|会田弘継
|FROM The New York Times|オミクロン株でも依然存在 「長期コロナ感染症」のリスク
|マネー潮流|米銀決算はかく語りき|中空麻奈
|少数異見|キャプテンは何をしていたのか
|知の技法 出世の作法|ウクライナ危機をめぐり 米国を徘徊する稚拙な陰謀論|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|炭素税への「誤解」? 家計の負担増とは限らない|横尾英史
|話題の本|『韓国最大の支援団体の実像に迫る 慰安婦運動、聖域から広場へ』 著者 沈 揆先氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
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|ゴルフざんまい|日本ゴルフツアーは今期も期待大|青木 功
|編集部から|
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訂正情報

「週刊東洋経済2022年2月12日号」(2月7日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
62ページ ■快進撃続ける大和ハウス 逆算営業で挑む年商10兆円

流通店舗事業部が建ててきた施設
【誤】その数は全国4300以上に上る。
 ↓
【正】その数は全国4万3000以上だ。