週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2022年3月12日号
2022年3月7日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】ザ M&Aマフィア


敵対的買収を中心に劇場型のTOB(株式公開買い付け)が激増しています。その裏では弁護士や会計士、PR会社、IR会社などさまざまな分野のプロフェッショナルが暗躍しており、実質的に彼らが日本のM&Aを仕切っています。その知られざる実像を徹底取材しました。

ルールが整備途上の日本では、M&Aマフィアの働きが買収合戦の帰趨を決めます。舞台裏でうごめく「人」に焦点を当てた、かつてないM&A特集。経済ニュースの読み方が変わります。

担当記者より

特集「ザ・M&Aマフィア」を担当した田島靖久です。2021年秋、関西スーパーをめぐって、オーケーとエイチ・ツー・オー リテイリングによる買収合戦が繰り広げられました。企業同士の激しい争奪戦が連日のように報道され、みなさんの記憶にも新しいところではないでしょうか。ところで、このバトルの裏で暗躍していた人たちの存在をご存じですか。

ここ数年、対抗TOBが提案され買収合戦にもつれ込んだり、アクティビストから攻勢を受けたりといった「劇場型」のM&A案件が増えています。企業同士のバトルに見えますが、実はこうした案件を水面下で動かしているのは、FA(フィナンシャルアドバイザー)、弁護士、IR(投資家向け広報)会社、PR会社などの専門家たち。売り手側、買い手側それぞれのバックにつき、実は案件の成否は彼らが握っているといえるほど、その存在感は高まっているのです。

それほど重要な役回りでありながら、一般にあまり知られていないのは、彼らが守秘義務を順守し、かかわった案件について一切口を開かないから。完全なる黒子に徹し、案件成立を目指して奔走する姿はまさに“秘密組織”さながらです。今回の特集では、そんな知られざる彼らの実態に迫りました。

裏側を知ると、日々のニュースに流れてくる企業のM&A報道を見る目が変わってくるかもしれません。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

週刊東洋経済とは

週刊東洋経済

『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

週刊東洋経済の編集方針

  1. 取材力
    当社に所属する約100人の経済専門記者が主要業界、全上場企業をカバー。国内外の経済や業界、企業などを深堀りし、他には読めない記事を提供。
  2. 分析力
    複雑な情報やビジネス慣習、制度変化などを分析し、的確に整理。表層的事象をなぞるのではなく、経済や社会の底流で起きている構造を読み解く
  3. 中立性
    企業や業界側の立場や事情に追従することなく、本誌記者は取材対象を客観的立場で分析・評価し、ときには忖度なく切り込む。

3つのポイント

視野が広がる幅広いテーマ
「健全なる経済社会を先導する」という創刊理念のもと、企業戦略やマクロ経済だけでなく、社会問題や海外情勢など幅広いテーマで特集を組み、中立的な立場で情報発信をしています。

図解や表でわかりやすく
ビジネス誌の中で随一の規模を誇る約100人の記者集団が、「経済から社会を読み解く」スタンスで徹底取材。旬な情報を図解や表にまとめて、わかりやすく解説します。

『会社四季報』の独自データで深掘り
約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
ザ M&Aマフィア
[Prologue] 歴史的買収合戦の舞台裏 暗闘するマフィアM&A
初公開! M&Aの黒子たち ─主な案件のFAと弁護士事務所─

「乗っ取り」から「TOB」へ ビジネスになったM&A
[図解] M&Aマフィア全解剖

PARTⅠ マフィアの暗闘
専門家チームのまとめ役 FAは「扇の要」 勝利に導く総合格闘家
「株主の視点に立てとFAが教えてくれた」芝浦機械 社長 坂元繁友

弁護士とIR会社、PR会社のトライアングル 物言う株主も退散の最強タッグ
1本100万円単位! 勝敗を左右する「意見書」

敵対的買収の駆け込み寺 三田証券が人気を集める理由
ピンチに陥ったときの「頼みの綱」 劣勢をはね返すため PR会社が繰り出す荒業

PARTⅡ マフィアの素顔
TOBの裏にヤツがいる 5大法律事務所のスター弁護士たち
孫正義氏も厚い信頼寄せる 大型案件さらう「コンシェルジュ」

大規模案件は外資が席巻 しのぎを削る FAの実力者たち
唯一無二の存在で急成長 謎の実力者「IRジャパン」
M&Aの勝敗を左右 PR会社2大巨頭が繰り広げる代理戦争
マフィアたちの知られざる稼ぎ方 M&Aの「報酬」徹底解説
エイリアンか助言者か アクティビストたちの変貌

株主リターンの低い会社が標的に アクティビストに狙われる会社
●アクティビストに狙われやすい100社ランキング

[Epilogue] 日本は「ブルーオーシャン」 勢いを増すM&Aマフィアたち

緊急リポート
ウクライナショック
ロシア暴挙に制裁 世界経済に大激震
プロが見る ウクライナ戦争の行方Q&A
「SWIFT排除の威力 中銀制裁が切り札に」 中島真志 麗澤大学教授
「侵攻の起点は8年前 安保秩序の変更狙う」 畔蒜泰助 笹川平和財団主任研究員
「東部2州の併合はない 制裁は欧州経済に打撃」 菅野泰夫 大和総研ロンドンリサーチセンター長

スペシャルインタビュー
パナソニック 社長 楠見雄規
「車載電池は諦めていない 組織を変え競争力高める」


ニュース最前線
塩野義「コロナ飲み薬」 海外メーカーと異なる点
変わる電通、ネット広告で悲願の「サイバー超え」へ
再起に邁進するライザップ 「東芝元社長」が経営参画へ


連載
|経済を見る眼|私が考える「新しい資本主義」の問題点|小峰隆夫
|ニュースの核心|高まるインフレ圧力、薄利多売型から転換を|山田雄大
|発見! 成長企業|エクシオグループ
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|三菱マテリアル 社長 小野直樹
|フォーカス政治|財政健全化と「非常時の作法」|軽部謙介
|中国動態|「ロシア支持」だけではない中国の事情|富坂 聰
|財新 Opinion &News|中国が鉄鋼業の脱炭素目標を5年延期する事情
|グローバル・アイ|一党独裁の正統性が揺らぐ? 中国経済の転機と経済失政|ジム・オニール
|Inside USA|厳しい中間選挙の前触れか 子育て支援でバイデンの誤算|安井明彦
|FROM The New York Times|ロシアのウクライナ侵攻で問われるNATOの存在意義
|マネー潮流|原油相場、ブルの中のベア|高井裕之
|少数異見|貸与型奨学金は教育格差是正の特効薬
|知の技法 出世の作法|ウクライナ侵攻で見える ロシアの理論武装の中身|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|高齢者の医療費負担増 健康への悪影響は限定的|佐藤豪竜
|話題の本|『〈叱る依存〉がとまらない』著者 村中直人氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|ゴルフざんまい|注目のチャンピオンズ ディナーの行方は?|三田村昌鳳
|編集部から|
|先週号の読まれた記事 次号予告|

今後の発売スケジュール

  • 11/10(月) 週刊東洋経済 2025年11月15日号
  • 11/4(火) 週刊東洋経済 2025年11月8日号

訂正情報

「週刊東洋経済2022年3月12日号」(3月7日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
65ページ ■しのぎを削る FAの実力者たち

【誤】PwCコンサルティング
 ↓
【正】PwCアドバイザリー