週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2022年5月28日号
2022年5月23日 発売
定価 730円(税込)
JAN:4910201340521

【特集】エネルギー戦争


2.24のロシアのウクライナ侵攻以降、プーチン大統領の「大国復活」の野望とともに、世界のエネルギー秩序は崩壊しました。その余波は今後、「資源を持たざる国」である日本にも襲いかかります。

本特集では、「脱ロシア化」は前途多難であるドイツなど欧州各国のエネルギー事情や、日本での燃料高を背景に、値上げを受け入れなければ電力契約打ち切りを通告するような前代未聞の事態の真相に迫っています。「核戦争すらありうる」と警鐘を鳴らす思想家のジャック・アタリ氏にその真意を聞きました。
 

担当記者より

特集「エネルギー戦争」を担当した秦卓弥です。1週間前に発売した『週刊東洋経済』巻末の次号予告には、特集「エネルギー狂乱」とあります。今号の校了直前にぎりぎりまで編集長と議論し、タイトルを「狂乱」ではなくあえて「戦争」という刺激的なワードに変えたのです。長期化を覚悟しなければならない「ロシア・ウクライナ戦争」に、今後、資源小国の日本はますます巻き込まれていくだろう、と考えたためです。

インタビュー取材をした海外識者や、寄稿いただいた現地ジャーナリストの方々は、次々と「いまは第3次世界大戦を防げるかどうかの瀬戸際」「産業が壊滅的な打撃を受けるかもしれないのに、日本の企業経営者やメディアは緊迫感がなさすぎる」と口にしました。

原油・天然ガスなどの資源価格の高騰が私たちの生活にどういった影響を及ぼすのか、過去のオイルショックと何が違うのか、エネルギー情勢を中心に読み解くような特集を作ろうと考えていた私とは、肌感覚がまったく違っていたのです。最前線のこの張り詰めた空気を少しでも伝えなければと、全体の構成も変えていきました。

「欧州の知性」と呼ばれる経済学者・思想家のジャック・アタリ氏は、「欧州諸国は持続可能なエネルギーへの移行を加速させ、脱炭素社会の模範生になる。日本もそのモデルになれる」と見通しています。ぜひ、お手にとってご覧ください。

担当記者:秦 卓弥(はた たくや)
流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年4月から再び『週刊東洋経済』編集部。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

特集
プーチンが破壊した秩序 エネルギー戦争
[図解]「脱ロシア」でエネルギー秩序が一変

[インタビュー] 経済学者・思想家・作家 ジャック・アタリ
「核戦争すらありうる 最悪の事態に備えよ」

申し込みお断り、契約打ち切りも 燃料高で「電力難民」急増の危機
ミサイル攻撃に安全対策は無力 原発は武力攻撃に耐えられない
再エネと断熱、EVが主役に 待ったなしの「ユーザー側」対策
[インタビュー]  「デマンドレスポンスはなぜ重要か」 東京大学生産技術研究所 岩船由美子

[インタビュー]  日本経済団体連合会会長 十倉雅和
「不都合な真実を直視し エネルギー自給率向上を」
サハリンだけではない資源権益 ロシア制裁に苦悩する商社

地政学リスクが日本の安定供給を揺さぶる 世界のエネルギー・資源マップ
ガス途絶リスクに揺れるドイツ 欧州「脱ロシア」化は前途多難 熊谷 徹
[インタビュー]  「安定供給と脱炭素の両立を」 日本エネルギー経済研究所 小山 堅
抜け道だらけのエネルギー制裁 第3次石油危機は来るか? 岩瀬 昇
歴史的円安との2重苦 日本経済を襲う資源高
[財新リポート] 中国・ロシアがマーケットを攪乱 ニッケル急騰事件の深層

産業リポート
超強気の多角化戦略 キリンの賭け
[インタビュー]  「ヘルスサイエンスで道筋をつける」 キリンホールディングス社長 磯崎功典

スペシャルインタビュー
RTFKT共同創業者 ブノワ・パゴット
「僕らはナイキと一 緒に最先端のブランドをつくる」

ニュース最前線
資源高騰で軒並み最高益も 商社が脅えるロシアリスク
生保で「租税回避」を指南 マニュライフに下る厳罰
混沌のビットフライヤー 「ファンド買収」の行方


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