週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌。

担当記者より
2022年9月10日号
2022年9月5日 発売
定価 730円(税込)
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【特集】ゼネコン「両利きの経営」


ゼネコン業界再編の機運が一気にヒートアップしています。異業種参入、アライアンス、グループ化という3つの形から、転換期を迎えるゼネコンの最前線を描きました。再編の行方について、大手ゼネコンのトップに聞きました。こうした動きの背景にあるのは、建設市場の先行きの不確かさを見据え、「非建設」事業を強化する動きです。本特集ではREIT参入、不動産開発、環境ビジネスなど非建設事業との「両利きの経営」に走る各社の取り組みにも迫りました。地方・中小ゼネコンの「危険度ランキング」も要チェックです。
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担当記者より

特集「ゼネコン 両利きの経営」を担当した梅咲恵司です。ゼネコンに関する特集については、7カ月前の2/12号で「ゼネコン 四重苦」を取り上げたばかり。これほどの短期間で同じ業界の特集を組むことはなかなかありません。それだけゼネコン業界の最近の動きが活発化しているということかもしれません。

今回の特集は「業界大再編」と「両利きの経営」という2つをキーワードに展開しました。どちらも、ここ1年ほどの取材の中で印象に残っていた言葉です。

「ゼネコンに再編なんて起こらないよ」。昨年の冬のこと、取材中に雑談していた際に、中堅ゼネコンのある幹部がそう言い切りました。ゼネコンの関係者には、「合併すると1+1が2になるのではなくて1のまま。単純に入札機会が減るだけ」という意識が根底にあります。確かに、これまでも大きな再編につながることはありませんでした。

ところがその後、状況が大きく変わりました。特に驚いたのが、異業種の参入です。昨年12月に、総合商社の伊藤忠商事が準大手ゼネコンの西松建設に出資。総合商社が大手ゼネコンに出資したことは、過去にはありません。今年7月には、麻生が準大手ゼネコンの大豊建設に出資しました。

もうひとつの印象的な言葉は、1年ほど前のインタビュー時におけるスーパーゼネコンの経営トップのものでした。その経営トップはインタビューに入る前に、こう切り出しました。「『両利きの経営』を読みましたよ」。

『両利きの経営』は東洋経済新報社刊の経営書です。その経営トップは記者である私ならば『両利きの経営』を読んでいるだろう、と思って声をかけたのでしょうが、恥ずかしながら、私はその時点では読んでいませんでした。

慌ててその後に、同書を手にとってみると、腑に落ちました。ゼネコン各社は今、本業である建設事業だけでなく、不動産開発や施設の運営管理など非建設分野の強化に乗り出しています。まさに「両利きの経営」を志向しているのです。西松建設が伊藤忠商事と経営タッグを組んだのも、不動産開発などの非建設分野を拡充することに主眼が置かれています。

業界再編と両利きの経営は、表裏の関係にある--。前出の経営トップは、今後の取材や企画の「着眼点」を私に示唆してくれたのでしょう。

特集では、ゼネコンの再編は新しい「3つの形」で進むこと、建設と非建設の「二兎を追う」新時代に入ることを取り上げました。東洋経済の豊富なデータに基づいた独自ランキングも複数用意しました。ぜひ、お手にとってご覧ください。

担当記者:梅咲 恵司(うめさき けいじ)
ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
非建設との「二兎」を追う ゼネコン「両利きの経営」

[Prologue]
転換期迎えるゼネコン
図解 大再編へ3つの形

Part1
「業界再編」の荒波
大再編1 異業種参入
①伊藤忠や麻生が相次ぎ進出 異業種が見いだす鉱脈
②待ったをかけた任天堂創業家 激化する東洋建設買収戦
[インタビュー] 「交渉入りの環境づくり必要」東洋建設 専務 藪下貴弘
大再編2 アライアンス重視
25社連合は技術革新を起こせるか 「大型連携」の期待と不安
[インタビュー] 「2022年に量産化したい」鹿島建設 専務 伊藤 仁
大再編3 M&Aによるグループ化志向
①清水建設、「堅実経営」のはずが… 拡大戦略の「2つのリスク」
②データセンターへ果敢に攻勢 大和ハウス、新戦略の苦悩

[社長インタビュー] 超大手ゼネコントップを直撃 どう見る「業界再編の行方」
「建設業は労働集約産業から技術優先産業へ変貌する」大成建設 社長 相川善郎
「川上から川下までの領域を個社開発する時代ではない」大林組 社長 蓮輪賢治
「建設業の『2024年問題』に果敢に挑戦していく」清水建設 社長 井上和幸

[総まくり、最新版]「割安放置」ゼネコンはここ!
アクティビストに狙われやすいゼネコンランキング150社

Part2
新時代の「両利きの経営」

「造注」から「脱請負」へ 「REIT参入」の乱打戦
バブル再び? 不動産開発の焦点 千葉利宏
木造化、再エネ、環境配慮コンクリ 「環境ビジネス」の3領域
20年前から「小口案件」探索 インフラ運営の「源泉」
[インタビュー] 「コンセッションしか生き残る道はない」インフロニア・ホールディングス 社長 岐部一誠
オープンハウス関西猛攻 1.2兆円市場に食い込む営業力

Part3
中小ゼネコンの断末魔

忍び寄る「コロナ倒産」 地方ゼネコンの悲鳴
地域別、地方・中小ゼネコン 危険度ランキング
自己資本比率 地域別ワース200社

[Epilogue]
新規参入組が新風を巻き起こすか レガシー産業が問われる 変革の本気度

産業リポート
みずほとソフトバンク 「情報銀行」2つの誤算

産業リポート
ユニクロ 「慎重値上げ」に透けて見える周到な準備

ニュース最前線
半導体需給に変調の兆し 「サイクル」は繰り返すか
伊藤忠がアクセンチュアに  コンサル正面対決挑む事情
五輪不正疑惑のAOKI  間際に相次いだ唐突人事


連載
|経済を見る眼|日本の「時間当たり生産性」上昇という謎|小峰隆夫
|ニュースの核心|中国の突然の対日接近をどう読むか|西村豪太
|発見! 成長企業|トーカロ
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|ヤマハ 社長 中田卓也
|フォーカス政治|意思疎通なきコロナ対策が生む混迷|牧原 出
|中国動態|秋の党大会、新しい布陣はどうなるか|富坂 聰
|財新 Opinion&News|アリババ、4~6月期の売上高が初の前年割れ
|グローバル・アイ|「ウクライナ復興資金」はこうすれば調達できる|マーカス・フェダー
|Inside USA|成長鈍化のGAFAM、米中間選挙で強まる逆風|山本康正
|FROM The New York Times|低所得者世帯は「一律2万ドル」 学生ローン返済免除の鮮烈
|マネー潮流|日本のエネルギー危機が顕在化へ|佐々木 融
|少数異見|日本企業から「老害」がなくならない理由
|知の技法 出世の作法|若手政治学者の爆殺めぐるロシアとウクライナの暗闘|佐藤 優
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