週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2022年11月5日号
2022年10月31日 発売
定価 780円(税込)
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【特集】コンサル、弁護士、税理士


弁護士を筆頭にエリート職業である“士業”。しかし、激変の波が各士業を襲っています。キーワードは「コンサルティング」。今や弁護士も会計士もコンサルを含めた提案を行わないと立ちゆかなくなっています。一方のコンサル業界は、経営戦略だけでなく、DXなどデジタル案件も取り込むことに成功し、今やエリートたちの頂点に立っています。この特集では、「コンサル」「弁護士」「税理士」に絞って各業界の現状と課題を浮き彫りにします。
 

担当記者より

特集「秀才たちの新ヒエラルキー 高揚するコンサル、したたかな弁護士、黄昏の税理士」を担当した大野和幸です。今やあらゆる業種の中で最も光り輝いているのがコンサルタントでしょう。総合系コンサルティング会社首位のアクセンチュアの場合、東京大学や京都、早稲田、慶応義塾など最難関大学では、つねに注目される企業の1~2位を占めています。

年収は20代後半のマネージャークラスで1000万円以上、30代のディレクターで同2000万円~3000万円、さらにパートナーに昇格すれば億も夢ではありません。コンサル会社をステップアップと見切り、起業してスタートアップを上場させた事例もあります。マッキンゼー・アンド・カンパニー出身のメドレーやプログリットがそう。最近では、トップの社長(元社長)が民放キー局の人気女性アナウンサーと相次ぎ結婚し、話題を呼びました。

あるコンサル会社のトップは、「若くしてクライアントの幹部と議論し、その会社を動かせる」醍醐味をやりがいの一つに挙げます。確かに、バブル崩壊後30年以上も成長できず停滞しているのに、自分では変わることのできない多くの日本企業にとって、外部から改革してもらうため、コンサルタントはうってつけの存在なのかもしれません。そうした企業の潜在的ニーズにコンサル会社はうまく入り込んだと言えるでしょう。

加えてコロナ禍で浸透したDX(デジタルトランスフォーメーション)も、企業のコンサル需要を掘り起こしました。アクセンチュアはデジタル人材を多く抱え、多い場合は数百人もの人間をクライアントの元に常駐させ、顧客と一緒にシステムの実装まで付き合う。かつて、パワーポイントで机上の戦略を訴えていた戦略系コンサルと違い、実際にDX化までサポートする総合系コンサルのアクセンチュアがのしてきた原因はそこにあります。「戦略」+「デジタル」がもはや抱えないキーワードです。

一方、こうしたコンサルの上り龍のような勢いに、4大会計事務所「ビッグ4」と呼ばれる監査法人も、近年では本業の監査業務以外にコンサル業務にも力を入れています。すでにビッグ4のうち3つが、売上高のうち、コンサル業務などの非監査部部門が監査部門を上回っています。相次ぐ会計不正もあって監査業務は質の向上が問われており、むやみに監査先数を増やせない実情もあります。コンサルには国家資格も要らないし、成長を実現しやすいのは、顧客の決算や中期経営計画とも親和性のあるコンサル分野が手っ取り早いからです。

さらには弁護士法人や税理士法人も、本業の法務や税務以外に強化しているのはコンサル業務。特に「5大法律事務所」と言われる大手5法人は、国境をまたぐM&Aや各国の規制、さらに地政学リスクへの対応など、純粋な法律業務だけでは、顧客のニーズに応えられなくなっています。世界のコンサル会社と競合し合っている理由もそこにあります。

今号では、そんな知的エリートのヒエラルキーの頂点に立ったコンサルの現在と今後、さらにコンサルとぶつかる公認会計士や弁護士、税理士たちを取り巻く最新事情についてリポートしています。ぜひご覧になって下さい。

担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
秀才たちの新ヒエラルキー
高揚するコンサル  したたかな弁護士  黄昏の税理士

[図解] マウントを取り合う知的エリート

Part1 新ヒエラルキーの頂点 コンサル
必要になるのは「デジタル」×「デザイン」 独走アクセンチュアの行く末
[図解] タイプ別に見るコンサル業界MAP
産業界に人材を輩出、根を張る コンサル会社出身の主な経営者一覧

あの伊藤忠や電通も本気になった アクセンチュアvs.異業種戦争
[覆面座談会] 若手コンサルが見た理想と現実
[コラム] 難関大の注目企業ランキング 東大・京大・早慶生のコンサル人気が沸騰
[コラム] コンサルの平均年収ランキング トップは30代前半で2000万円台

[トップインタビュー] わが社の勝ち方
アクセンチュア日本法人 社長 江川昌史
ボストン コンサルティング グループ(BCC)日本代表 秋池玲子

ビッグ4の寡占化で起きた必然  EY、コンサル分離の「激震」
3大法人は撤退、受け皿は準大手 値上げ要求で増える監査難民

[トップインタビュー]
デロイトトーマツ グループ CEO 木村研一 
KPMGジャパン チェアマン、あずさ監査法人 理事長 森 俊哉
EY Japan チェアパーソン兼CEO 貴田守亮
PwC Japan 代表執行役兼グループ代表 木村浩一郎

Part2 過払い後も貪欲 弁護士
新興勢力は大量雇用、大量集客 首位西村あさひ、追うTMI
[図解] 大手法律事務所の設立と変遷
非弁行為に当たるか法務省が判断 リーガルテックは適法か否か

弁護士ドットコム・アンケート調査
■弁護士が選ぶ 弁護士ランキング
■法務部員が選ぶ 弁護士ランキング

こんなときどうする? ビジネスパーソンのための法律相談室
[コラム] 法務部門を強化する企業が続出 企業内弁護士の高まるプレゼンス
[コラム] 変わりゆく弁護士ビジネス 「離婚」と「交通事故」が収入源
司法試験の合格率は50%近く 民事事件の獲得競争は激化へ

[トップインタビュー]
西村あさひ法律事務所 執行パートナー 中山龍太郎
TMI総合法律事務所 代表 田中克郎
[キーパーソンインタビュー] 
中村・角田・松本法律事務所 パートナー 中村直人
弁護士ドットコム 社長 元榮太一郎

Part3 高齢化で募る焦燥 税理士
専門特化と地域重視で差別化 全国展開する辻・本郷が突出
[図解] 職員数と拠点数で見る税理士法人ランキング

中小事業主は取引継続に不安も インボイスに苦闘する税理士
コロナ禍で膨らんだ給付金バブル 士業が不正受給に陥った理由
[コラム] 資金繰りや支援、経営助言も クラウド会計で税理士はどうなる
[コラム] 先生が倒れた! 事務所はどうなる 税理士に降りかかる跡継ぎの難問

帳簿があれば節税も可能?  副業「300万円」をめぐる攻防
不動産による“相続節税”の目安 「4・3・1の法則」に注意
持ち株会社に二重課税はおかしい?  ソフトバンクグループは税負担なしか

[トップインタビュー]
辻・本郷税理士法人 理事長 徳田孝司
税理士法人山田&パートナーズ 統括代表社員 三宅茂久

ニュース最前線
三菱電機の不正調査終了 1年半の混乱で見えたもの
コロナとインフル同時流行 75万人感染想定に漂う不安
日本のアニメ関係者が当惑 ネットフリックスの新戦略


連載
|経済を見る眼|企業理念をいかに共有すべきか|柳川範之
|ニュースの核心|習近平独裁の完成と「敗者」の異様な沈黙|西村豪太
|発見! 成長企業|三菱総合研究所
|会社四季報 注目決算|今号の4社
|トップに直撃|アンジェス 社長  山田 英
|フォーカス政治|政権維持の秘策は「安倍氏のまね」|塩田 潮
|中国動態|「成長重視」を鮮明にした習政権|福本智之
|財新 Opinion&News|米国「デカップリング」、中国の対抗策とは
|グローバル・アイ|安全地帯できれい事を並べるエリートに耳を貸すな|スラヴォイ・ジジェク
|Inside USA|中間選挙前に「新たな中道」を探る民主党主流派|会田弘継
|FROM The New York Times|驚きの社名変更から1年 メタ「新戦略」の前途多難
|マネー潮流|財政規律弛緩の怖さ、国民と共有を|中空麻奈
|少数異見|革新的な技術を許容する覚悟はあるか
|知の技法 出世の作法|「核実験をする」というロシアの北朝鮮情勢分析|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|環境規制の不都合な帰結 「汚染」は途上国に移転する|手島健介
|話題の本|『「ヤングケアラー」とは誰か』著者 村上靖彦氏に聞く ほか
|シンクタンク 厳選リポート|
|PICK UP 東洋経済ONLINE|
|ゴルフざんまい|熱戦を演出するコースセッティング|三田村昌鳳
|編集部から|
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2022年11月5日号」(10月31日発売)に、以下の間違いがありました。訂正してお詫び致します。
 
11ページ ■習近平独裁の完成と「敗者」の異様な沈黙

【誤】今大会では中国共産党の規約に「2つの確立」が盛り込まれた。
   ↓
【正】今大会では「2つの確立」の重要性が強く打ち出された。
55ページ 秋池玲子・ボストン コンサルティング グループ(BCG)日本代表の経歴

【誤】社外取締役を歴任
   ↓
【正】削除