週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年2月11日号
2023年2月6日 発売
定価 750円(税込)
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【第1特集】なるか2040年「脱エンジン」 背水のホンダ 

ホンダが2040年の「脱エンジン」目標を打ち出してから、間もなく2年。自ら退路を断った決断の先には何があるのでしょうか。本特集では車種半減という不退転の大決断の中身、アキュラの移行を皮切りとした「EV出遅れ組」からの起死回生策、テスラへの対抗意識がにじむソフトウェア利益4000億円の野心、部品メーカーやディーラーに迫る試練、ソニーとの異業種連携で狙う創造と破壊、などをリポートしています。徹底取材によって見えてきた、社内でひそかに検討されている事業改革の全体像を描き出しました。
 

【第2特集】NTT人事大改革  脱・年功序列で大ナタ


日本型企業の代表格が打ち出した、脱・年功序列。30万人超の巨艦は変われるのか。

担当記者より

特集「背水のホンダ」を担当した横山隼也です。

2040年に車種半減―。最初に取材で把握したときには、耳を疑いました。自動車メーカーにとってラインナップの充実は商品戦略において1丁目1番地のはず。中でも、ホンダは高級ブランド「アキュラ」から、日本で大人気の軽自動車「N BOX」まで、幅広い価格帯の商品を取り扱っています。

時間をかけて取材を進めていくと、彼らがなぜ劇的な改革に向かうのかが少しずつ見えてきました。
EVシフトや自動運転など技術の高度化で広がる開発領域。テスラやBYD、GoogleやAppleの新参者の参入。そこにあるのは業界の地殻変動が起きていることに対するホンダ首脳陣の危機感です。

新車の開発に5~6年の時間がかかるのは業界の常識ですが、20年先まで長期の時間軸で詳細な将来計画を描いていることにも素直に驚きました。2030年、2040年の断面で、彼らはどういったモデル、サービスを売り、いくら稼ぐかも描いていたのです。

「単にエンジンから電池やモーターに替わるというだけの話ではない」。ホンダの幹部や元首脳はそう警鐘を鳴らします。異口同音に言うのは、自動車メーカーではどうにもできない領域が増えていることです。

三部社長は「過去の栄光の延長線上に未来はない」と繰り返し発言しています。波紋を呼んだ2040年「脱エンジン」目標は危機感からくるホンダの決意表明とも言えます。計画はあくまで計画ですが、そこからは覚悟が伝わってきます。

ホンダはこれまで危機を成長の糧として、ユニークな商品を生み出してきました。「最近は“ホンダらしさ”を失っている」とも言われますが、この特集を通じて以前のやんちゃさが残っているのでは?とも感じました。

商品戦略や台数計画、新規事業の方向性・・・。特集ではホンダがもがき、悩みながらも練り上げる経営戦略を盛り込み、ホンダを通じて、岐路に立つ自動車業界の今後を映す内容を意識しています。ぜひ、お手元にとってご覧ください。

担当記者:横山 隼也 (よこやま じゅんや)
東洋経済 記者
報道部で、日産自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
なるか2040年「脱エンジン」
背水のホンダ


2040年には車種半減 不退転の大決断 「脱エンジン」衝撃の中身
営業利益率は2%と低迷 今の4輪は「稼げない事業」

Part1 挽回
「アキュラ」の移行が皮切り 「EV出遅れ組」からの起死回生策
[コラム] BYDがテスラを猛追 新局面を迎えるEV市場

テスラへの対抗意識がにじむ ソフトウェア利益4000億円の野心
ジ ェットにロボット、宇宙まで 車にこだわらないホンダイズム

1年で組織体制見直し 変革を迫られる3年目の三部体制
[コラム] 本社建て替えを計画 「NeOプロジェクト」とは

Part2 波紋
「脱エンジン」で進む選別 部品メーカーを待ち受ける淘汰と再編
[コラム] 地域経済も困惑 2025年で工場閉鎖の真岡市の今

強いられる生存競争 ディーラーは収益激変 店舗網維持へ試練
[コラム] ディーラーは「食い合い」に警戒感 期待と不安が入り交じるネット直販

技術者の確保に高いハードル 「テックタレント」採用を阻む壁
自動車業界の給与ランキング トヨタや日産より寂しい水準のホンダ

Part3 革新
異業種連携で挑む 「高級車×ソフト」 ソニーと狙う創造と破壊
[インタビュー] 新会社で打ち出すクルマの新価値 ソニー・ホンダモビリティ
水野泰秀 会長兼CEO 「競合とは正面から勝負せず」
川西 泉 社長兼COO 「自動車に"知性"が備わる」

強みの「良品廉価」が通用しない ソニー・ホンダの成否が占う日本のEV戦略
[エピローグ]  崩壊に向かう産業ピラミッド 今こそ問われるホンダの存立意義

第2特集
NTT人事大改革 脱・年功序列で大ナタ
「民営化後最大」の制度変更 真のIT企業になれるか
序列と出世街道に変化 ドコモ、データに光

[ 誌上座談会 ] 抜擢人事は一握り? 社員たちの戸惑いと本音
[インタビュー] 「人材流失に危機感 脱年次で抜擢人事を」
NTT執行役員・総務部門長 山本恭子

スペシャルリポート
トヨタ、14年ぶり社長交代の真意

ニュース最前線
日本電産が大幅下方修正 車載事業が赤字の衝撃
金融庁と証券業界 仕組み債で生じた隙間風


連載
経済を見る眼|「大学全入時代」が突きつける課題と希望|太田聰一
ニュースの核心|世界のEV化にこれ以上遅れるのは致命傷だ|山田雄大

発見! 成長企業|ASNOVA(アスノバ)
会社四季報 注目決算|今週の4社
トップに直撃|TDK社長 齋藤 昇
フォーカス政治|米国に「満額回答」した岸田首相|歳川隆雄
中国動態|「対立を避ける」外交のしたたかさ|富坂 聰
財新 Opinion&News|需要伸び悩みか、テスラが中国で5回目値下げ
グローバル・アイ|世界の中央銀行を分断する「緑の断層」|ハワード・デービス
Inside USA|日米の防衛はこれから、さらに統合されていく|ジェームズ・ショフ
FROM The New York Times|否定した広告プランを導入 ネトフリ創業者の引き際
マネー潮流|日銀、4月以降は金融政策の転換が進む|木内登英
少数異見|旅行支援策が終わった先に起きること
知の技法 出世の作法|斎藤幸平氏による新たな『資本論』解釈③|佐藤 優
経済学者が読み解く 現代社会のリアル|優遇措置の効果と国益は? 高度人材誘致を考える|奥井 亮
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  • 11/10(月) 週刊東洋経済 2025年11月15日号

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「週刊東洋経済2023年2月11日号」(2月6日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
90ページ ■話題の本
『2冊のだいすきノート』の著者インタビュー

胃がんをめぐる記述
【誤】通常の胃がん患者は男性が9割で中高年に多いのに対し、
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