週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年6月24日号
2023年6月19日 発売
定価 800円(税込)
JAN:4910201340637

【第1特集】富裕層のリアル 国内150万世帯、受難の時代 

純金融資産保有額が1億円以上の国内の富裕層約150万世帯が、全世帯の資産の2割を握っています。優雅な生活を送っているように見えますが、陰では投資や税金対策に頭を抱え、時に苦しむ様子も垣間見えます。本特集では富裕層vs.国税のいたちごっこともいえる億万長者たちのしたたかな最新節税術、分譲マンションの「即転」など過熱する不動産投資、税務調査の舞台裏実録などその実像に迫りました。また学費年1000万円も当たり前の熱を帯びる教育への異次元投資や基金設立など目下のトレンドも描いています。
 

【第2特集】迫る物流危機 運送業の憂鬱


物流業界の残業規制導入まで1年を切ったが、いまだに時代遅れの取引が横行する。2024年問題を機に是正は進むのか。

担当記者より

特集「富裕層のリアル」を担当した中村正毅です。本特集の取材過程で、富裕層の個人投資家から異次元のエピソードを聞かせてもらいました。

その個人投資家の知り合いで、資産が数千億円にも上る企業オーナーがいます。そのオーナーは今年に入り外貨建ての債券で40億円の損失を出したとのことですが、そのエピソードをあっけらかんとお茶をしながら話してきたそうです。

強がっているのかと思いきや、そのオーナーは昨年、別の債券で100億円の損失を出していたといいます。「それに比べれば半分以下の損失だ」と笑う様子を見て、富裕層としての次元の違いを見せつけられたとのことでした。

おそらくそのオーナーは、1000億円単位の運用資産があり、投資によって資産額が日々数十億円増減することが日常なのでしょう。庶民で言う数万円ぐらいの金銭感覚なのかもしれません。

ただ、企業オーナータイプの富裕層はこれまで勝負に勝ち続け、成功を収めてきた人たちのため、当然ながら負けず嫌いです。数十億円程度の損失で途方に暮れることはないのかもしれませんが、別の投資によって絶対に取り返そうと躍起になっている姿が目に浮かびます。

投資の世界で損失をすぐに取り返そうとするのは、御法度とされています。一種の興奮状態にあり、その後の投資で冷静な判断がしづらくなるからです。

本特集では、そうした投資の罠にはまってしまった富裕層の実情についても探っています。
是非雑誌を手に取って、知られざる富裕層の世界をのぞいて見てはいかかでしょうか。

担当記者:中村 正毅(なかむら まさき)
これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険、消費者金融などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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週刊東洋経済とは

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『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
富裕層のリアル
国内150万世帯、受難の時代

[ Prologue ] 富裕層らが2.4兆円の大損! 海外債券投資の罠

Part1 資産家の虚実
資産保有額上位2%の実像 徹底解剖! ニッポンの富裕層
金利上昇とドル高が後押し ドル建て債券に富裕層が熱視線 世古口俊介
[ 覆面座談会 ]  知られざる資産家の実像
[インタビュー] 創業者のリアル 伝説の起業家が見た天国と地獄
「連帯保証したことに後悔はない」アスキー創業者 西 和彦 

Part2 資産防衛最前線
富裕層vs.国税のいたちごっこ したたかな最新節税術
金融緩和で過熱する不動産投資 分譲マンション「即転」の波紋
知られざる舞台裏 実録・これが税務調査だ!

Part3 富裕層に学ぶ人生哲学
カナダは受け入れ拡大で人気に 富裕層に広がる海外移住の実情
学費年1000万円も当たり前 熱を帯びる教育への異次元投資
超富裕層の王道は財団設立 寄付の新潮流、基金に脚光
遺族が金沢医科大学を提訴 「認知症なのに3億円寄付させた」
高まる60歳代の起業熱 スタートアップの期待と逆風
[インタビュー] “修羅場”の経験を生かし シニア世代の起業を支援
元三井住友銀行専務執行役員 Brighten Japan 代表取締役 沢田 渉

第2特集
迫る物流危機 運送業の憂鬱
三井系の物件もシステム導入 アマゾン、再配達削減に次の一手
法令無視で業者からは悲鳴 ゆうパック「下請けたたき」の弊害
新技術の活用広がる 空きトラックを減らせ! マッチングで運送を効率化

産業リポート
コスモvs. 旧村上ファンド 株主総会前に激化する対立
[インタビュー] 「村上さん側の主張は株主還元に終始」 コスモエネルギーホールディングス 社長 山田 茂
[インタビュー] 「コスモ経営陣は保身しか考えていない」 投資家(コスモ大株主) 村上 絢

ニュース最前線
千葉銀など3社に処分勧告 銀証連携で仕組み債を乱売
難題浮上のスカイマーク 「組合軽視」で一触即発
無印のユニクロ出身社長 地方大量出店で正念場


連載
|経済を見る眼|日本企業の変化への期待と不安|早川英夫
|ニュースの核心|ピークチャイナ後に中国経済は日本化するのか|西村豪太
|発見! 成長企業|ビズメイツ
|会社四季報 注目決算|今週の4社
|トップに直撃|しまむら 社長 鈴木 誠
|フォーカス政治|長男更迭で高まる行為規範の必要性|牧原 出
|マネー潮流|異次元の少子化対策は成果を生むか|中空麻奈
|中国動態|ナラティブに頼る中国理解は危うい|富坂 聰
|財新 Opinion&News|競争環境の整備を進め、外資企業を誘致せよ
|グローバル・アイ|AIは少子高齢化社会の福音となりうる|ジム・オニール
|Inside USA|オフィスをアパートへ、米都市で巻き起こる議論|瀧口範子
|少数異見|テレビ局に「報じない自由」はあるのか
|ヤバい会社烈伝|ニセ稲盛経営 アメーバって 単細胞ってこと?|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法⑮|佐藤 優
|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|少人数学級の導入は教員にもよい影響がある|北條雅一
|話題の本|『第三の大国 インドの思考 激突する「一帯一路」と「インド太平洋」』著者 笠井亮平氏に聞く ほか
|社会に斬り込む骨太シネマ|『遠いところ』
|シンクタンク 厳選リポート|
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|ゴルフざんまい|ゴルフの歴史をたどる旅に、望郷の感|三田村昌鳳
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  • 11/10(月) 週刊東洋経済 2025年11月15日号