週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年8月26日号
2023年8月21日 発売
定価 800円(税込)
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【特集】沸騰するインバウンド 復活するナイトタイム


コロナ禍の沈静化で日本経済が正常化へと向かう中、さらなる飛躍のキーワードとなるのが「インバウンド」と「ナイトタイム」です。ついに中国が団体旅行を解禁し、訪日観光客は実に200万人増が見込まれます。買い物から体験へと大きく変貌するインバウンド需要を取り込むべく進化する、ホテル、飲食店、地方観光の最前線を追いました。また政財界の要人が接待などで使う花柳界や高級クラブなど、復活した「夜の経済」の知られざる実像ものぞき見ました。インバウンドで上がる株、厳選24銘柄も掲載しています。

担当記者より

高級ブランドが軒を連ね、買い物客で賑わう東京・銀座。昨年末から、急に外国人の姿が目につくようになりました。年が明け、地下鉄銀座線の1車両全てが外国人で占められている状況を目の当たりにし、これは完全に潮目が変わったと思いました。

しかもです。日が暮れて午後8時半になると銀座にはネオンがつき始め、いわゆる「夜の街」に姿を変えます。コロナ禍で大きなダメージを受け、そうした街の明かりは消えていたのですが、ここ数ヵ月、ビジネスマンを中心に客足が戻ってきていました。

これは特集になる! そうひらめいて作ったのが今回の「沸騰するインバウンド 復活するナイトタイム」です。
取材をはじめると、コロナ前に「爆買い」で話題になったインバウンドが大きく姿を変え、地方にまで足を伸ばしていました。そこでは日本人でさえあまり知らない宮大工や刃物といった伝統文化に触れ、造詣を深めていました。「インバウンドが高度化している」。それが率直な感想です。

となれば、受け入れる側も変わらざるを得ません。そこで今回はツアー、ホテル、飲食店など業界ごとに成功している人たちを取材、インバウンドを取り込むノウハウを掲載しました。

さらに夜の街の現状を追うべく、高級クラブや芸者遊びができる花街、そしてダンスクラブなどの取材を敢行。知られざる夜の世界をふんだんにご紹介します。

原稿の締め切りを迎えてバタバタしていたさなか、大きなニュースが飛び込んできました。中国政府がこれまで禁止していた日本への団体旅行を解禁したというのです。慌てて特集のカバーストーリ―を差し替えました。関連業界にとって大きなインパクトを与えるものだったからです。

秋に向け訪日客が200万人増加するという試算もあります。インバウンドもナイトタイムもこれからが本番のようです。

担当記者:田島 靖久(たじま やすひさ)
週刊東洋経済編集部副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件・事故を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社し現職。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
沸騰するインバウンド 復活するナイトタイム

[プロローグ] 訪日観光客が200万人増 中国団体旅行解禁の衝撃
東急歌舞伎町タワーの全貌 インバウンド&ナイトタイムの聖地
[インタビュー]「好きを極めてもらいたい」 東急 執行役員 新宿プロジェクト企画開発室長 木村知郎

part1
3つのRを取り込め!

【ツアー】「買い物」から「体験」へ 大きく変貌する訪日観光客
[コラム] 地方に外国人を呼び込め 逆転狙う地方都市
【ホテル】さらば特徴のないホテル 顧客の絞り込みで成功 大手ホテルの特化戦略
【ホテル】物語にサービスレス 地方ホテルの新たな挑戦
【飲食店】すし体験にSNS対応まで 訪日客が殺到する料理店の秘密
[コラム] ブームの陰でうごめく インバウンドに群がる人たち
客室清掃の現場は「もう限界!」 深刻化するホテルの人手不足

part2
復活! ナイトタイム

日本経済活性化の起爆剤 始動する「夜の経済」
ロンドンは約4兆円! ナイトタイムの「経済効果」
日本一の社交場 新橋花柳界の世界
[インタビュー]「本物」を守り続けながら、新しさも追う 金田中 四代目 女将 岡副徳子
社用需要も復活 老舗ショークラブ 人気の秘密
[インタビュー] ナイトタイムのプロに聞く アフターコロナ成功の秘密 ナイトタイムエコノミー推進協議会 代表理事 齋藤貴弘

外国人の訪日本格化で上がる株は? インバウンド株 会社四季報
テーマ①  / テーマ② 宿 / テーマ③ 買い物 / テーマ④ 遊び

スペシャルリポート
終わらない円安 再び1ドル145円の介入水準
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ニュース最前線
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|会社四季報 注目決算|今週の4社
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|経済学者が読み解く 現代社会のリアル|長期国債買い入れにはどのような効果があるのか|二羽秀和
|話題の本|『企業進化を加速する「ポリネーター」の行動原則 スタートアップ×伝統企業』著者 中垣徹二郎氏に聞く ほか
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|シンクタンク 厳選リポート|
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|編集部から|
|次号予告|

訂正情報

「週刊東洋経済2023年8月26日号」(8月21日発売)に、以下の誤りがありました。訂正してお詫び致します。
 
45ページ ■中国団体旅行解禁の衝撃  
エイチ・ツー・オー リテイリングをめぐる記述            

【誤】上得意客の買い物に同行する「ストアアテンド部」を外商部の下に設置。
   ↓
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