特集「不動産・オフィス 大余剰」を担当した梅咲恵司です。
「私自身は日本一の高さには固執していない」。数多くの超高層オフィスビルが都内で建てられていますが、その一角を担う不動産関連会社の首脳は会見後の囲み取材でこぼしました。拡大一辺倒の都市開発に、関係者も不安を抱き始めているのでしょう。
大型オフィスビルの大量供給はとどまるところを知りません。一方でリモートワークが定着したこともあり、オフィス需要は細っていく懸念があります。
需要バランスの悪化は、エリアごとの「勝ち負け」を生む要因になります。特集で取り上げた「オフィス人気エリア・不人気エリア」では、主要駅ごとにオフィス賃料と供給量をグラフ化し、マッピング化しました。
それを見ると、ビジネス街として知られる「中野」や「川崎」の人気は、急低下していることが一目瞭然です。超大型のオフィスビルが竣工した「田町」も、足元の需給バランスが崩れています。
首都圏、大阪、名古屋のそれぞれのエリアをマッピング化しました。今後、どういったエリア、街に人が集まってきそうなのかを探るうえでも参考になると思います。
一度加速した都市再開発の勢いは止まりそうもありません。大量のビル供給は日本経済にとって正しいのかを、立ち止まって検証する時期にきているのかもしれません。
ぜひ、お手にとってご覧ください。
担当記者:梅咲 恵司(うめさき けいじ)
ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。
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