週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2023年12月9日号
2023年12月4日 発売
定価 820円(税込)
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【特集】ビジネスパーソンの守護神 無敵の新幹線


コロナ禍の収束で人々の移動が戻り、新幹線の需要は復活中です。ビジネス利用などで全国でほぼ9割まで回復しています。本特集ではピーク時は3分に1本の頻度で走る、ニッポンの新幹線の強さに迫りました。自動運転など搭載される新技術から見える次世代車両の革新性や、今や「走るオフィス」といわれるほどビジネス向けに効率を徹底追求したのぞみの進化を描いています。また北陸、東北、北海道、西九州の各新幹線の現状と今後の展望を全国各地のルポで浮かび上がらせました。データで見る「新幹線四季報」も掲載。
 

担当記者より

特集「無敵の新幹線」を担当した大野和幸です。今年・来年の年末年始(12月28日~1月4日)は東海道・山陽新幹線の「のぞみ」が全車指定席になります。通常では、自由席が1~3号車にありますが、それが一斉になくなります。

それだけではありません。今年4月からはJR各社とも、シーズンを「通常期」「繁忙期」「最繁忙期」「閑散期」の4つに分け、指定席特急券でそれぞれ価格差を付けています。例えばJR東海の場合、今年12月は、最繁忙期の29日・30日が通常期より400円増し。逆に来年1月は、閑散期の9日・10日・11日が通常期より200円引き。最大で600円の格差があるのです。

つまり、今年12月30日にのぞみに乗りたい人は全員、指定席を事前に予約のうえ、通常より上乗せした料金を払わなければならない。もう、帰省客が自由席に座ろうとごった返す、東京駅ホームの行列の風景は見られなくなるかもしれません。

これが進めばJR各社も、航空機やホテル、テーマパークのように、繁閑で値段を常時機動的に変動させるダイナミック・プライシング制(変動価格制)を導入する可能性もあります。需要のある期間(時間)は高く、需要のない期間(時間)は安く、です。

以上は変化の一端です。

東京━名古屋━新大阪の3大都市圏をつなぎ、ビジネス利用が6割を占める東海道新幹線は、ビジネス色をどんどん強めています。車両の一部に「S WorkPシート」を導入、3列席を2列席に広げてパーティションを付け、ノートPCを操作しやすいようリクライニング角度を小さくするなど、“隙間時間に少しでも仕事をしたい”ビジネスパーソンに向けた仕様にしています(追加料金で1200円必要)。車両と車両の間には「ビジネスブース」を設置し、声を出して室内でリモート会議ができるようにも変えました(10分200円。30分以上は10分300円)。まるで“動くオフィス”ともいえます。

その意味では少しでも効率を追求し、利用者の動きを先取りするようなJR東海の姿勢は、新時代に合ったものなのでしょう。少なくとも平日ののぞみは、駅弁を買っておしゃべりしながら富士山など車窓の風景を楽しむような、牧歌的なシーンはなくなりつつあります。そういえば、この10月末で車内のワゴン販売も廃止され、モバイルオーダー(グリーン車のみ)に変わりました。

今特集では、つねに進化しつつあるのぞみの変貌のほか、北海道や北陸、九州など全国各地の新幹線ルポ、静岡県知事の一部“容認”で前進しつつあるリニアの最新事情など、ありとあらゆる新幹線の情報を盛り込んでいます。ぜひ手に取ってご覧ください。

担当記者:大野 和幸(おおの かずゆき)
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。相続や年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。

>>週刊東洋経済編集部の制作にかける思い

目次

特集
ビジネスパーソンの守護神 無敵の新幹線
のぞみは進化、リニアに次代を託す 復活した新幹線が大胆に変わる

Part1
ニッポンの大動脈・東海道新幹線の今
自動運転など搭載される新技術を大予測 新幹線「次世代車両」の革新性
のぞみの地位は最速リニアに交代 新幹線が速達の役を終える日
新幹線が積み上げた技術の歴史 スピードから省力化へと転換

ビジネス向けに効率を徹底追求 のぞみは今や「走るオフィス」
LINEヤフーやNTTでも導入 新幹線通勤、その理想と現実

水問題で徹底抗戦しているが… リニアに静岡が抵抗した理由
世紀の発見は幻に終わった 常温超電導でどうなるリニア

GRAVURE SPECIAL 1
「顔」で見る歴代新幹線

Part2
全国各地ルポ・新幹線は今日も熱い
次の注目は小浜・京都ルートでの大阪延伸だが… 北陸新幹線が敦賀延伸 地元で広がるお祭り騒ぎ
高速化へは騒音対策などが要件に 時速360キロメートルに挑む東北新幹線
東海方面やインバウンドの利用も 今どき「こだま」の人気ぶり
2024年の物流危機に備えるべし “荷物新幹線”で生鮮品もOK

札幌五輪断念に工事難航のダブルパンチ 北海道新幹線、札幌延伸は延期か
佐賀が反発、先行開業の長崎は静観 フル規格で迷走する西九州新幹線
大雨の被害から守れ 災害と新幹線
バンドン━スラバヤ延伸の行方 インドネシア高速鉄道、貫通への課題

GRAVURE SPECIAL 2
新幹線は「メンテナンス」が命

Part3
データで見る「新幹線四季報」
JR東海と西日本が上方修正へ JR上場各社の業績・財務等比較 24年3月期独自予想
JRとメーカーは密接な関係にある 部品メーカーと車両メーカーの相関図

ニュース最前線
オープンAIで「お家騒動」 倫理と営利めぐるジレンマ
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連載
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