週刊東洋経済

情報量と分析力で定評のある総合経済誌

担当記者より
2024年1月6日・1月13日合併号
2024年1月4日 発売
定価 880円(税込)
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【第1特集】EVシフト 絶頂と絶望

EVシフトの流れが変調を来し始めました。米中対立の激化など保護主義の高まりで、資源調達や製造に難題が噴出しています。今後の販売停滞を見据え、欧米勢は投資計画の縮小に動いています。米テスラと中国BYDが市場を席巻する中、周回遅れの日本はどう動くのでしょうか。本特集では中国、米国、欧州の3大市場の最前線や、リードするテスラとBYDの真贋、そしてトヨタ、ホンダ、日産など日本勢の勝ち筋を描きました。いま日本で買うならこのEV、あえて買うならこのエンジン車など、ビジュアル解説も充実しています。
 

【第2特集】爆騰5大商社 CFOたちの遠謀


資源市況の浮き沈みを乗り越えて、総合商社はなぜいま絶頂期を迎えたのか。

担当記者より

特集「EVシフト 絶頂と絶望」を担当した大竹麗子です。最近、自宅の周辺でテスラ車をよく見かけるようになりました。日本でもEVシフトがじわじわ進んでいるのだと感じていましたが、いまその潮流に変化が起きています。

各国が環境規制を強化し、アメリカは30年までに新車販売の50%をEVにする目標を、EUは35年に合成燃料を使う車両を除きエンジン車の販売を禁止する方針を掲げています。一方で、EVはエンジン車に比べ値段が高く、充電インフラの整備も道半ば。現状では、消費者にとってEVは使いにくい存在です。実際、アメリカでは政府による多額の購入補助金があっても、EVの在庫が積み上がっています。

さらに状況を複雑にするのが、各国の保護主義的な政策です。欧米ではEVや電池の生産工場などサプライチェーンを囲い込み、EVに関連するあらゆる投資を呼び込もうとしています。この結果、自動車メーカー側は資源調達や製造上の課題に突き当たることとなり、販売がますます停滞しかねません。

このままEVシフトはしぼんでいくのか。状況はそう簡単ではありません。脱炭素が喫緊の課題である以上、「揺り戻し」はあってもEV普及は進んでいく。各メーカーが難題を前に戦略を描き直しています。

特集には、米国や欧州、そしてEV大国である中国のEVシフトの実情から日本の自動車メーカーの戦略まで幅広く盛り込んでいます。年間100万台の大台を突破し、EV市場を牽引するアメリカのテスラ、中国のBYDの好調は続くのか。日本勢は彼らとどう戦うのか。激動のEVシフトの最前線を伝える今回の特集、ぜひお手にとってお読みください。

担当記者:大竹 麗子(おおたけ・れいこ)
1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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『週刊東洋経済』は、変化する世の中を確かな視点で解明する総合ビジネス週刊誌です。

創刊は1895年(明治28年)、日本国内で最も歴史のある週刊雑誌でもあります。企業戦略から主要業界事情、国内外の政治経済はもちろん、近年はビジネス実用、テクノロジー、社会問題まで、経済の複雑化やビジネスパーソンの関心の広がりに対応し、幅広いテーマを取り上げています。

一方で創刊以来、一貫しているのはセンセーショナリズム(扇情主義)を排除し、ファクトにこだわる編集方針を堅持することです。「意思決定のための必読誌」を掲げ、今読むべき特集やレポートを満載し、価値ある情報を毎週発信しています。

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約3,900社の上場企業すべてに担当記者を配置。財務情報から海外進出情報など『会社四季報』ならではのデータベースから独自の切り口で深掘りし、分析した連載や特集を『週刊東洋経済』で展開しています。

目次

第1特集
EVシフト 絶頂と絶望

[プロローグ]EV市場に入り交じる活況と混迷
イチからわかるEVの基本 BEV、PHEV…、種類や仕組みを徹底解説

Part1
EVシフト 加速と揺り戻し

自動車事業参入20年で迎えた好機 テスラとBYDがEV市場席巻
[コラム]電池コストが重荷 EVが稼ぎにくい理由とは
テスラ車はサンタクロースが登場? EVで利益稼ぐカギはソフト
ソニー・ホンダの実験車 アフィーラは移動価値変えられるか

【中国市場】競争激化で日系シェア急落
BYDが価格破壊 「EV強国」へ猛進
三菱自は中国撤退を決断 日系は体制再編で巻き返し急ぐ
【米国市場1】各社がEV戦略を見直しへ
EV販売急失速、政府目標に漂う暗雲
【米国市場2】規制が電動化を加速する
日本勢が米国で直面する3大試練
[インタビュー]マツダ社長兼CEO 毛籠勝弘
「トヨタとの合弁工場を育てる」

【欧州市場】ドイツのEV動向がEUに大きく影響する
ドイツ、補助金終了がEV普及阻む

【ビジュアル解説】
いま買うならこのEV
あえて買うならこのエンジン車

Part2
巻き返し狙う日本勢

【トヨタの戦略】当面はHVで海外勢に対抗も EV巻き返しへ正念場
自動車メーカーだけではない EVシフトで話題の25銘柄
【ホンダの戦略】2040年の脱エンジン目指す EV事業離陸へ続く模索
【日産の戦略】仏ルノーとのアライアンスを生かせるか EV拡大へ、収益力の向上がカギ
【スズキの戦略】日本勢の中では切迫度はまだ低い インド死守へ地の利を生かせるか 
【SUBARUの戦略】スモールメーカーとしての生き方 「カナダでトップ」を目指す理由

アイシンとデンソーは構造転換に挑む EVシフトで加速する部品会社の再編と競争
【図解】中国勢が締め出され、韓国勢躍進 需要沸騰! 車載用電池の米国投資マップ
[エピローグ]EVシフトの先にある現実 自動車立国・日本の勝ち残り方

第2特集
爆騰5大商社 CFOたちの遠謀
三井物産 「中盤戦」から結果を出していく投資戦略
三菱商事 「成長なければ黒字事業も売却」の鉄則
伊藤忠商事  市況変動の影響が小さい持続的な成長を貫く
丸紅 「先人の赤字案件」断ち 復活の明快戦略
住友商事 「PBR1倍割れ」脱却へ 懸案に対応し収益を安定化

ニュース最前線
ダイハツで大規模試験不正 全工場停止で広がる波紋
USスチール買収に2兆円 日本製鉄が成長の分岐点に
三菱UFJモルガンに憤り 70億円請求のAT1債訴訟


連載
|経済を見る眼|人文系軽視で大学の起死回生はできるか|苅谷剛彦
|ニュースの核心|アジア戦略の再構築を迫られる日本企業|西村豪太
|発見! 成長企業|SCREENホールディングス
|会社四季報 注目決算|今週の4号
|トップに直撃|ウエルシアホールディングス 社長 松本忠久
|フォーカス政治|残された選択肢が狭い岸田政権|牧原 出
|マネー潮流|2024年の金融市場は安定するか|中空麻奈
|中国動態|中国EVの橋頭堡になるハンガリー|吉岡桂子
|財新 Opinion&News|中国経済の回復には民間経済の活力が不可欠だ
|グローバル・アイ|2024年の経済を左右するインフレに希望到来|ジム・オニール
|FROM The New York Times|試金石となる裁判で大敗 グーグルを襲う「訴訟の嵐」
|少数異見|関西万博は開催の理由がありまっせ
|ヤバい会社烈伝|大予測2024 私の目は誤魔化せん まだ持っとるじゃろ|金田信一郎
|知の技法 出世の作法|佐藤流・情報の収集と分析の手法㊵|佐藤 優
|経済学者が読み解く現代社会のリアル|霞が関「夜の人流」に官僚の長時間労働を見る|片山宗親
|話題の本|『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』著者 成田修造氏に聞く ほか
|社会に斬り込む骨太シネマ|『終わらない週末』
|シンクタンク 厳選リポート|
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  • 11/10(月) 週刊東洋経済 2025年11月15日号