特集「EVシフト 絶頂と絶望」を担当した大竹麗子です。最近、自宅の周辺でテスラ車をよく見かけるようになりました。日本でもEVシフトがじわじわ進んでいるのだと感じていましたが、いまその潮流に変化が起きています。
各国が環境規制を強化し、アメリカは30年までに新車販売の50%をEVにする目標を、EUは35年に合成燃料を使う車両を除きエンジン車の販売を禁止する方針を掲げています。一方で、EVはエンジン車に比べ値段が高く、充電インフラの整備も道半ば。現状では、消費者にとってEVは使いにくい存在です。実際、アメリカでは政府による多額の購入補助金があっても、EVの在庫が積み上がっています。
さらに状況を複雑にするのが、各国の保護主義的な政策です。欧米ではEVや電池の生産工場などサプライチェーンを囲い込み、EVに関連するあらゆる投資を呼び込もうとしています。この結果、自動車メーカー側は資源調達や製造上の課題に突き当たることとなり、販売がますます停滞しかねません。
このままEVシフトはしぼんでいくのか。状況はそう簡単ではありません。脱炭素が喫緊の課題である以上、「揺り戻し」はあってもEV普及は進んでいく。各メーカーが難題を前に戦略を描き直しています。
特集には、米国や欧州、そしてEV大国である中国のEVシフトの実情から日本の自動車メーカーの戦略まで幅広く盛り込んでいます。年間100万台の大台を突破し、EV市場を牽引するアメリカのテスラ、中国のBYDの好調は続くのか。日本勢は彼らとどう戦うのか。激動のEVシフトの最前線を伝える今回の特集、ぜひお手にとってお読みください。
担当記者:大竹 麗子(おおたけ・れいこ)
1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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